普及版LoRaゲートウェイDRAGINO LPS8の使い方
8チャンネルのLoRaWANゲートウェイDRAGINO LPS8の使い方をまとめました。LoRaWANのサービスとして、コミュニティベースのLoRaWANネットワークとしては世界最大級のTHE THINGS NETWORKを使います。なお、本記事は日本国内でゲートウェイを運用する事を想定して書いています。
LPS8とは
LPS8 (LoRa Pico Station)は、Semtech社のゲートウェイチップ(SX1308)と2つのトランシーバー(SX1257)を搭載した、LoRaWANのゲートウェイです
入手方法
日本国内で使用可能な技適取得済のデバイスは DRAGINOダイレクトショップ で販売しています。ここならば個人でも1台から購入可能です
ここのショップはTHE THINGS NETWORKの日本コミュニティを運営されている方が開いています。購入するのに悩んでしまう価格に感じる方もいるかもしれませんが、月額の通信費用は一切かかりませんし、コミュニティー運営のための支援だと思えば出せる金額でしょう。
日本国内向けの確認
海外のショップなどから入手した場合は日本の周波数帯に対応していない場合がありますのでご注意ください。日本国内向けであれば底面のラベルで915/920/923の所に印が付けられ、技適マークが印字されています
設定画面にアクセス
LPS8の設定はPCからWebブラウザを使って変更します。
Wi-Fiからアクセスする
PCのWi-Fi設定から dragino-
で始まるアクセスポイントに繋ぎます。dragino-
以降の文字は英数字が続きますが、機器ごとに異なります
アクセスポイントのパスワードは dragino+dragino
です
Wi-Fiの接続ができたら、Webブラウザを開き http://10.130.1.1/
にアクセスします
認証画面はユーザー名 root
で、パスワード dragino
でログインします
設定画面が表示されます
設定画面にアクセスできなくなった場合
1回の設定で上手くいけば良いですが、ネットワークの設定を間違えたなどで設定画面にアクセスできなかった場合の事を考えて、救出方法を紹介します
有線LANを使ってフォールバックのIPアドレスから設定画面に入ります。PCのLAN端子とLPS8のWAN端子をLANケーブルで繋いでPCのネットワークを次のように設定します
設定項目 | 値 |
---|---|
IPv4の設定 | 手入力 |
IPアドレス | 172.31.255.253 |
サブネットマスク | 255.255.255.252 |
それ以外の項目 | 空白 |
Wi-Fiが有効である場合は無効にします
Webブラウザで http://172.31.255.254:8000
を開くと、設定画面が表示されます。LPS8のファームウェアが古い場合は :8000
を外さないと開けないかもしれません
LAN(Network)の設定
LPS8からインターネットに繋げるため、有線LAN(またはWi-Fi)の設定について紹介します。
有線LANの設定
DHCPによる自動設定であればLPS8のWAN端子にLANケーブルを繋ぐだけで完了します。IPアドレスを固定にしたい場合は設定画面の Network > Network
の画面を開いて WAN Settings
を変更します
Wi-Fiの設定
LPS8は2.4GHz帯のWi-Fiアクセスポイントに対応しています
設定画面の Network > WiFi
を開きます
-
Enable WiFi WAN Client
にチェックを入れます -
WiFi WAN Client Settings
の項目でWiFi Survey
から接続したいアクセスポイントを選ぶか、Host WiFi SSID
にアクセスポイントの名前を入れます -
Passphrase
にアクセスポイントのパスワードを入れます - Encryption を選びます。大体は
WPA2
で良いと思います
Save&Apply
をクリックします。Wi-Fiの接続が確立すると WiFi status: OK
の表示が出ます
IPアドレスを固定にしたい場合は設定画面の Network > Network
の画面を開いて WiFi WAN Settings
を変更します
初期状態では DHCP
になっています。 Static
に切り替えるIPアドレス等の欄が表示されて任意の値を設定することができます
入力を終えたら Save&Apply
をクリックします
ネットワーク設定変更後の設定画面のアクセス
ネットワークの設定を変えたら、それ以降は変更したIPアドレスをブラウザに入れて設定画面を開くようになります。LPS8に設定されたIPアドレスの確認手順は、設定画面のHomeでWiFiまたはEthにカーソルを合わせた時に左下に表示されます。 IP Addr
の値がLPS8に設定されたIPアドレスです
上記の表示の場合は 192.168.0.252
がIPアドレスなので、 http://192.168.0.252:3000
にアクセスすると設定画面が開けます
設定後にAccess Point Settingsを無効にする
ネットワークの設定が完了したら、第三者からの予期しない設定の変更を防ぐためにLPS8のアクセスポイント(最初に接続した dragino-
で始まる名前のアクセスポイント)を無効にする事を推奨します
LPS8の設定画面のホーム画面で WiFi AP
をクリックします
Enable WiFi Access Point
のチェックボックスを外して Save&Apply
をクリックします
再度ホーム画面を表示した時にWiFi APのアイコンが灰色になってます
LoRaWANの設定
LoRaWANの設定については、接続するサービスによって変わってきますのでここでは設定のポイントのみ紹介します。THE THINGS NETWORKについては、記事作成時が画面が切り替わりが多く、情報が不確定なタイミングになっているため改めて別の記事にまとめようと思います
設定のポイント
- 日本国内ではLoRaの周波数帯は
AS923-1
の920MHz〜923MHz帯
です- LoRaWANのサーバーもその周波数帯に合わせた所を選びます
- 設定画面に表示されているGateway IDをLoRaWANサービス側のGATEWAYの設定画面に入力します
- Gateway IDはLoRaWANネットワークの中でユニークな値で、ゲートウェイ機器各々固有に割り当てられる、LANにおけるMACアドレスのような物です
- LPS8は
Semtech UDP
というプロトコルでLoRaWANサーバーに通信します- LoRaWANサービスのゲートウェイ設定画面で
using the legacy packet forwarder
というような項目があれば選択するようにします
- LoRaWANサービスのゲートウェイ設定画面で
ファームウェアの更新
ファームウェアはこちらから入手できます
lgw--build
で始まるディレクトリから syssquashfs
の名前が含まれるファイルをダウンロードします。他にも openvpn
という名前を含んだVPN接続用のソフトウェアを加えたイメージファイルもありますが、通常のネットワーク環境では不要だと思います。分かる方だけ選べば良いでしょう
System > Firmware Upgrade
をクリックして Firmware Update
の画面を開きます
ファイルの選択からダウンロードしたファームウェアのイメージファイルを指定して、 Upload
をクリックします
Proceed
をクリックするとアップデートが開始されます。しばらくお待ちください
完了後、設定画面を開き直してLoRaWANやNetworkなどの設定が保持されていることと、ゲートウェイの稼働状態が問題ないことを確認します。稀に設定が消えてしまう場合があるようです
設定画面が開けなくなった場合は、上記の「設定画面にアクセスできなくなった場合」のやり方で設定画面を開いてみて、それでも開けなければ以下の手順で再度ファームウェアを入れ直してください
ファームウェアの更新に失敗して起動しなくなった場合
ファームウェア復旧用のモードに切り替えてファームウェア更新の画面を表示させます。
更新画面を開くには有線LAN経由で繋ぎます。PCのLAN端子とLPS8のWAN端子をLANケーブルで繋いでPCのネットワークを次のように設定します
設定項目 | 値 |
---|---|
IPv4の設定 | 手入力 |
IPアドレス | 192.168.255.10 |
サブネットマスク | 255.255.255.0 |
それ以外の項目 | 空白 |
Wi-Fiが有効である場合は無効にします
Toggle
スイッチを押しながらLPS8の電源を入れます。(全てのLEDが1回素早く点滅します)
Webブラウザで http://192.168.255.1
にアクセスするとファームウェア更新画面が表示されます
表示された画面で squashfs-sysupgrade
の名前が含まれるファームウェアのファイルを選択して、 Upgrade firmware
をクリックするとファームウェアの書き換えが行われます
Discussion
LPS8の工事設計認証番号は 210-135041かと思いますが、
種別は「第2条第4号の7に規定する特定無線設備」となっております。
これは陸上移動局に該当しますが、陸上移動局の使用は登録が必要になるかと思います。
記事中では登録が必要な事に触れられていませんので、
使用される方は注意が必要かと思いました。
コメントありがとうございます
確認して、記事を見直ししようと思います
LoRaWANが広まるといいですね!
参考までに、LoRaWANに関する話題を日本語で行って頂けるグループがあります。
こちら、ご活用下さい。
https://www.facebook.com/groups/lorawanjapan
情報ありがとうございます。FBグループに参加しました
質問の件ですが、コミュニティー等に確認したところ、Dragino LPS8は
出力が低い(20mW以下)ので特定小電力無線局の扱いになって無線局登録は必要無いという見解もあるようです。
確かに無線局の登録には低出力に関する特例もあるようなのですが、この件はどなたかからご指摘やご指導が入ってのコメントでしょうか?
なお、実験レポート等で数百km飛ばすような環境だと250mWに出力を上げるので無線局登録は必要なのは理解してます
個人的に購入しようと思いまして調べていました。
確かに特定小電力無線局でれば登録は必要ないと理解しております。
ただし、特定小電力無線局であれば「第2条第8号に規定する特定無線設備」となりますので、210-135041の工事設計認証を受けた特定無線設備の種別に合致しません。
もしかすると、210-135041以外の工事設計認証番号を取得していますでしょうか?