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異世界転生エンジニア 第5話:Prometheusで魔法ギルドの「見える化」を実現した件について

2024/10/23に公開

プロローグ

万箱統率術(Kubernetes)の導入により、魔法ギルドの運営は大きく改善された。しかし、システムが複雑化するにつれ、新たな課題が浮上していた。

「どの魔法陣が詰まっているのか、魔力の消費量は適切なのか...全体を把握するのが難しくなってきました」

運用担当の魔導師メイラが報告する。これまでの目視確認では限界があった。

第1章:監視の魔眼(Prometheus)の提案

「アーカイムス様、全てを見通す魔眼があります」

「ほう、その魔眼とは?」

「監視の魔眼...Prometheusと呼ばれる監視システムです。そして、その視覚化には魔導板(Grafana)を組み合わせます」

第2章:監視システムの基本構造

監視システムは以下の要素で構成されます:

  1. 魔眼本体(Prometheus Server)

    • 定期的なデータ収集
    • 時系列データベース
    • アラートマネージャー連携
  2. 観測ポイント(Exporters)

    • Node Exporter:基盤の状態
    • cAdvisor:箱の状態
    • Kube State Metrics:万箱統率術の状態
  3. 魔導板(Grafana)

    • リアルタイムダッシュボード
    • アラート通知
    • データ分析機能

第3章:監視設定の実装

基本的な監視設定:

apiVersion: monitoring.coreos.com/v1
kind: ServiceMonitor
metadata:
  name: magic-circle-monitor
  namespace: monitoring
spec:
  selector:
    matchLabels:
      app: magic-circle
  endpoints:
  - port: metrics
    interval: 15s
  namespaceSelector:
    matchNames:
    - magic-production

---
apiVersion: monitoring.coreos.com/v1
kind: PrometheusRule
metadata:
  name: magic-alerts
  namespace: monitoring
spec:
  groups:
  - name: magic.rules
    rules:
    - alert: HighManaUsage
      expr: magic_mana_usage > 90
      for: 5m
      labels:
        severity: warning
      annotations:
        summary: "魔力使用量が90%を超過"
        description: "魔法陣 {{ $labels.magic_circle }} の魔力使用量が危険水準です"

第4章:ダッシュボードの構築

魔導板(Grafana)の主要な表示項目:

  1. システム概況

    • 稼働中の魔法陣数
    • 総魔力消費量
    • 応答時間推移
  2. リソース監視

    • CPU/メモリ使用率
    • ネットワークトラフィック
    • ストレージ使用量
  3. アプリケーション監視

    • 魔法陣の健康状態
    • エラー発生率
    • 処理待ち数

第5章:アラート設定

重要な監視項目と閾値:

groups:
- name: magic_alerts
  rules:
  - alert: MagicCircleDown
    expr: up{job="magic-circle"} == 0
    for: 5m
    labels:
      severity: critical
    annotations:
      summary: "魔法陣が停止"
      description: "魔法陣 {{ $labels.instance }} が応答しません"

  - alert: HighErrorRate
    expr: rate(magic_errors_total[5m]) > 0.01
    for: 10m
    labels:
      severity: warning
    annotations:
      summary: "エラー率上昇"
      description: "過去5分間のエラー率が1%を超過"

  - alert: ManaDepletion
    expr: predict_linear(mana_remaining[1h], 4 * 3600) < 0
    for: 15m
    labels:
      severity: warning
    annotations:
      summary: "魔力枯渇の予兆"
      description: "4時間以内に魔力が枯渇する可能性があります"

第6章:予期せぬ発見

導入後、思わぬ効果が現れた:

  1. 異常の早期発見

    • 潜在的な問題を事前検知
    • パフォーマンスボトルネックの特定
    • リソース最適化の機会発見
  2. データに基づく改善

    • キャパシティプランニングの精緻化
    • コスト配分の最適化
    • サービス品質の向上
  3. 運用効率の改善

    • トラブルシューティング時間の短縮
    • 予防保守の実現
    • 自動化の促進

エピローグ

「見事だ。これで魔法ギルドの全てが見える化されたわけだな」

「はい、ですが...まだ改善の余地があります」

「ほう?」

「はい、次は『ログの河』...Elastic Stackの導入を提案させてください」

「むむ、また興味深い話になりそうだ」

技術的な補足

監視システム導入時の注意点:

  1. スケーラビリティ

    • データ保持期間の設定
    • スクレイピング間隔の調整
    • ストレージ容量の見積もり
  2. パフォーマンス最適化

    • クエリ最適化
    • カーディナリティ制御
    • リテンション設定
  3. 運用設計

    • バックアップ計画
    • アラートポリシー
    • エスカレーションフロー
  4. セキュリティ考慮

    • アクセス制御
    • 認証・認可
    • 暗号化対策

次回:「異世界転生エンジニア物語 第6話:Elastic Stack導入編」に続く

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