Nitricの深掘り:ベストプラクティスとAWSへのデプロイ
はじめに
前回の記事では、Nitricのインストールから初めてのアプリケーション実行までの基本的な手順を解説しました。今回は、Nitricを使用する上でのベストプラクティスと、AWSへのデプロイメント方法について詳しく説明します。
デモ動画
Nitricのベストプラクティス
Nitricを効果的に使用するために、以下のベストプラクティスを心がけましょう。
1. リソース宣言のルール
✅ ランタイムコードでリソースを宣言しない
from nitric.resources import api, bucket
from nitric.application import Nitric
public_api = api('public')
# ✅ 正しい宣言方法
files = bucket('files').allow('read')
@public_api.get("/files/:name")
async def get_file(ctx):
# ❌ この宣言は機能しません(ランタイム時のみ呼び出されるため)
bad_bucket = bucket('wont-work').allow('write')
Nitric.run()
✅ トップレベルコードでランタイムメソッドを使用しない
from nitric.resources import api, bucket
from nitric.application import Nitric
public_api = api('public')
files = bucket('files').allow('read')
# ❌ この操作は機能しません
file_contents = files.file('example.txt').read()
@public_api.get("/files/:name")
async def get_file(ctx):
# ✅ この操作は機能します
file_contents = await files.file('example.txt').read()
Nitric.run()
2. リソースの共有と権限管理
✅ 共有リソースの宣言を再利用する
# resources.py
from nitric.resources import api, topic
public_api = api('public')
update_topic = topic('updates')
# services/api.py
from resources import public_api, update_topic
publisher = update_topic.allow('publish')
@public_api.post("/update")
async def new_update(ctx):
await publisher.publish({"test": "message"})
# services/updates.py
from resources import update_topic
@update_topic.subscribe
async def updates_sub(ctx):
print(ctx.req.payload)
❌ 共有リソースの権限を一括で宣言しない
各サービスで必要な権限のみを宣言するようにしましょう。
AWSへのNitricアプリケーションデプロイメント
前提条件
- Nitricがインストールされていること
- AWSアカウントを持っていること
1. Pulumiのインストールと設定
NitricはデプロイメントにPulumiを使用します。以下の手順でPulumiをインストールし、設定します。
- PowerShellを管理者として実行し、以下のコマンドを入力します:
winget install pulumi
または、chocolateyを使用している場合:
choco install pulumi
- インストールを確認します:
pulumi version
- Pulumiアクセストークンを設定します:
- Pulumiのウェブサイトでアクセストークンを生成
- 環境変数を設定:
setx PULUMI_ACCESS_TOKEN "your-access-token-here"
2. AWSクレデンシャルの設定
- AWS CLIをインストールします(まだの場合)。
- AWSクレデンシャルを設定します:
aws configure
- プロンプトに従って、AWS Access Key ID、AWS Secret Access Key、デフォルトリージョン名を入力します。
3. Nitricアプリケーションのデプロイ
- Nitricプロジェクトのルートディレクトリに移動します。
- スタックを作成します:
nitric stack new my-aws-stack aws
-
nitric.aws.yaml
ファイルを編集してAWS固有の設定を行います:provider: nitric/aws@1.1.0 region: us-east-1 telemetry: 10 config: default: lambda: memory: 1024 memory-optimized: lambda: memory: 4096
- デプロイメントを実行します:
nitric up
トラブルシューティング
-
pulumi is required to use this provider
エラー:- Pulumiが正しくインストールされているか確認
- PATHにPulumiのインストールディレクトリが含まれているか確認
-
PULUMI_ACCESS_TOKEN must be set for login during non-interactive CLI sessions
エラー:-
PULUMI_ACCESS_TOKEN
環境変数が正しく設定されているか確認 - 新しいコマンドプロンプトを開いて環境変数の反映を確認
-
-
その他のエラー:
- Nitricの公式ドキュメントを参照
- Nitricのサポートチームに問い合わせ
セキュリティに関する注意事項
アクセストークンやAWSクレデンシャルなどの機密情報は、適切に管理し、決して公開リポジトリにコミットしないでください。
まとめ
このガイドでは、Nitricのベストプラクティス、AWSへのデプロイメントプロセス、そしてPulumiの設定方法について詳しく解説しました。これらの知識を活用することで、効率的かつ安全なクラウドアプリケーション開発が可能になります。
リソースの適切な宣言と権限管理、Pulumiを使用したAWSへのスムーズなデプロイ、そして潜在的な問題のトラブルシューティングを理解することで、Nitricの力を最大限に活用できるでしょう。
次のステップとして、より複雑なアプリケーションの開発や、CI/CDパイプラインへのNitricの統合にチャレンジしてみてください。Nitricの柔軟性と強力な機能を活用することで、様々なクラウドネイティブアプリケーションを効率的に開発・デプロイできます。
参考サイト
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