新米エンジニア、Obsidianで日記を書く
この記事は Sun* Advent Calendar 2024 17日目の記事です。
はじめに
こんにちは。Sun*に24年4月に新卒で入社した新米エンジニアです。
晴れて社会人としての道を歩み始めましたが、ミーティングやSlackで毎日共有される情報が想像以上に多く圧倒されるばかりの1年目です。
なるべく日々のミーティングの内容や共有された資料などの情報を一元管理したい、インプットとアウトプットを組み合わせることで業務理解を深めたい...
そんな思いから日々のDaily Note(日誌)をつけることにしました。
なぜDaily Noteを書くのか
まず、Daily Noteの意義について振り返りましょう。
前項でも述べたように、私がDaily Noteをつけようと思った理由は
なるべく日々のミーティングの内容や共有された資料などの情報を一元管理したい、インプットとアウトプットを組み合わせることで業務理解を深めたい
でした。そもそもこのように考えたのは次のような理由があったためです。
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ミーティングが意外とあるし濃い
決して多くのミーティングに忙殺されているわけではありませんが、今までミーティングの経験もなく生活していた私にとっては驚きでした。また、ミーティングの内容も濃く、ミーティングに参加して、聞いているだけでは情報を整理しきれず議事録の必要性を痛感しました。 -
プロジェクトに関する資料が多い
Sun*ではデザイナーやPMの方々だけでなく、クライアントの方とも一つのチームとなり日々価値創造をしています。チームでより良いものを作るために、様々な資料が頻繁に共有やアップデートされています。
学生の頃の個人開発や小さなチーム開発とは大違いです。
定義書から設計書、Figmaやmiro、Slackでのやりとりまで、プロジェクトには多くの重要な情報があります。これらを毎日探し出すのにはとても難儀します。 -
自己学習の重要性
エンジニアは新たな技術を学び、自身をアップデートしていくことが重要です。
また、プロジェクトで初めて扱う技術でも自分自身でキャッチアップして行くことが求められます。
日々学ぶことが多い中、新しく得た知識をアウトプットして保存しておくことの重要性を感じていました。
要はアウトプットやメモをしつつ、情報の管理をしたいというのが理由です。
アウトプットの重要性
ここで一度、先程から頻出している「アウトプット」について考えてみましょう。
アウトプットが記憶の定着に効果的なことは周知されていますが、そもそもなぜ記憶の定着に効果的なのでしょうか。
記憶の3段階
ご存知の方もいるかと思いますが、私達の脳は3つのステップをたどり、情報を記憶しています。
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獲得(符号化)
まずは情報を得ることです。外部からの入力を脳が受容できるように符号化し、脳に保存できる形に変換します。例えば、目が「猫」を見ます。その情報は脳に送られ、形や色、明るさなどの特徴に分解されます。それらの視覚的特徴と関連情報(場所や時間)を組み合わせて記憶に保存します -
保持(固定)
①で獲得した情報は内部で保持(貯蔵)され外には現れません -
検索(想起)
保持されている情報を取り出します。
記憶に保持されたもののなかから特定の情報を検索し、出力します。
例えば再び同じ猫に出会ったとき、その猫を再び「目」で受けとり、得られた特徴に紐付いた情報(形や色、関連情報など)を取り出して「この前見た猫か!」と想起します。
記憶の失敗
記憶はこの3つのどの段階においても失敗することがありえます。
もし二度目に合った人の名前を思い出せなければ、それは
- そもそもその人の顔を適切に保存しなかった(符号化の失敗)
- どこかへ忘却した(保持の失敗)
- 名前と顔を結合していなかった(検索の失敗)
のどれかになります。
記憶の定着
では失敗しないようにするにはどうするべきか?
まず、記憶の定着に重要な2つの効果があります。
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テスト効果[1]
テキストを何度も読むより、テストやクイズで思い出そうとする練習をしたほうが長期的な記憶保持が向上します。また、教材をただ再読するより学習後に思い出す訓練を挟む方が、後のテストで高い成績を残すこともわかっています。
重要なのはこの「思い出す」という能動的な行為が脳内での検索を強化するということです -
生成効果[2]
生成効果では情報を自分で生成することで、脳の活動が活発化し、新たな関連付けが起こります。
単なる暗記ではなく、知識が脳内でネットワーク化されるため、より応用が効くものになります。
自身の生成した情報を自身で獲得し、新たに情報を結びつけてるのですね。
これらを用いたものが「アウトプット」です。
アウトプットは検索回路を強化し、情報を繋ぎ直す作業なのです。これにより記憶は定着し、失敗することが減ります。要は筋トレと同じです。
筋力は日々筋肉を使い、追い込むことで肥大化します。
記憶力も日々思い出し、動かすことで向上するのです。
両者とも「力」という漢字があるので同じであることは明白です。
理想のアウトプット先を求めて
上記を踏まえて、私の求める「理想のノート」を考えてみましょう。
- 散らばった情報をどうにかしてまとめたり整理できる
- いつ書いたかわかりやすい
- 自己学習のアウトプットとしても使える
- オフラインで使える
- 毎日手軽に書ける
- 無料
こんな都合が良いメモ帳、あるのでしょうか。
あります、Obsidianならね
Obsidianとは
Obsidianは一言で言うとMarkdownエディタです。
Markdown形式でいろんな文章を書くことができます。
これだけだと普通のMarkdownで記述できるメモ帳ですが、Obsidianの公式HPにはこのような文が書かれています。
Sharpen your thinking.
Obsidian is the private and flexible writing app that adapts to the way you think.
†思考を研ぎ澄まします†
MarkdownエディタはVSCodeなど様々なものがありますが、Obsidianは単純なドキュメントやメモ作成のためのMarkdownエディタとして開発されたわけではなく"PKM(Personal Knowledge Management)"、和訳すると「個人知識管理」のために開発されたツールなのです。
Obsidianの重要な機能のひとつに「ノートのリンク」があります。
関係性はあるが異なるノート同士をリンクすることができます。これにより、関連するノートををつなぎ合わせ、雑多に書いたアウトプットをきれいに整理することができます。
また、高い拡張性を持っており、pluginを入れたりThemeを変更することで自分好みにカスタマイズすることが可能です。
運用
Obsidianについていろいろ書きたい気持ちもありますが、私自身使い始めてまだ半年であることと、ネットに日本語の情報も沢山あるので、本記事ではあくまでDaily Noteに注目し、私形の運用方法と使った所感について話したいと思います。
毎日ノートを作成するには手軽に書けることも重要です。日々更新するものなのでなるべくストレスや単調な作業は減らしたいものです。
そこで、このようなTemplateを作成しました。
「PJ Name」には現在参加しているプロジェクトの名前を入れます。
これにより、ワンクリックでDaily Noteが作れるようになりました。
「PJ Name」には各プロジェクトのミーティングの議事録や関係する資料を、
「1on1」には1on1での議事録を、
「気づき」には一日で新しい知見があればそれを忘れないようにメモします。
また、他の日に書いたことと関連する場合はノート同士をリンクで繋ぎます。
また、プロジェクトのミーティングでは前回のミーティングの内容を確認したいことが度々あります。
そのようなときは、Obsidianのリンク機能を用い、前回のミーティングのノートを結びつけていきます。
ファイル同士の結びつきを図表してくれる「グラフビュー」機能で確認するとこのようになりました。
Daily Noteをつけてよかったこと
私のObsidianの運用は、日々仕事が始まったらDaily Noteを作成し、その日の議事録やメモを書くというシンプルなものですが、Daily Noteを始めてこんな良いことがありました
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プロジェクトの資料が散らばらない
SlackやGoogleDrive、miroにFigmaと、プロジェクトの情報共有には様々な媒体が使われることが多いです。それらをまとめておくことで、「あの資料どこだっけ」という時間を減らすことができました。
また、ミーティングの議事録とリンクされているため、プロジェクトに必要な情報に素早くアクセスできるようになりました。 -
学んだことの保管ができる
日々の学びを書き留めることで、学びを保管する場所を作ることができました。
また、前回の学びから発展した内容があれば、その時のノートとリンクで繋ぎ、学びを見失うことが無いようにできます。 -
ミーティングに集中できる
これはDaily Noteに限りませんが、議事録をつける癖を作ることで、どんなときもミーティングに身が入り、取り逃がしを減らすことができました。
これから
Obsidianにはノート同士のリンクの繋がりを図で見ることができる「グラフビュー」機能があります。
公式ドキュメントには、このようなサンプルがあります。
自身の知識の結びつきや成長具合をひと目で知ることができます。
実は私がObsidianを選んだ理由のひとつに、このグラフビューのルックスが良かったというのもあります。これを育てていき、巨大なネットワークにしていくことにやりがいを感じたのです。
これからはよりNote同士のリンクを意識し、このグラフビューを育てていきたいです。
私自身、Obsidianを使い始めてまだまだ日が浅く、効率の良い運用方法を模索している最中です。
この習慣を絶やすことなく、よりよい運用を模索しながら日々の学びを取りこぼさずより社会人として成長していきたいと考えています。
この記事で少しでもObsidianでのDaily Note運用に興味を持たれた方はぜひこれらの記事を御覧ください。
Sun* Advent Calendar 2024では、Sun*のさまざまな職種の社員が執筆した記事を、クリスマスまで毎日公開しています。
明日はRyo KimuraさんによるGEUに関する記事です!お楽しみに!
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Roediger, H. L., & Karpicke, J. D. (2006). Test-Enhanced Learning: Taking Memory Tests Improves Long-Term Retention. Psychological Science, 17(3), 249–255.Z ↩︎
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Slamecka, N. J., & Graf, P. (1978). The generation effect: Delineation of a phenomenon. Journal of Experimental Psychology: Human Learning and Memory, 4(6), 592–604. ↩︎
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