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グローバルなPBLを活用した人材育成の可能性

2024/12/18に公開

自己紹介

はじめまして、Sun* GEU(Global Education Unit)に所属している木村と申します。

普段はベトナムのハノイにて、ハノイ工科大学(Hanoi University of Science and Technology、以下HUST)やベトナム国家大学ハノイ校で実践的なIT教育を行っています。(簡単な自己紹介はこちら

ベトナムに来る前は、東京の会計ソフトベンダ(情シス兼製品開発)と金融系SIer(クラウドエンジニア)にて10年ほど、VMwareやAWSを触るインフラエンジニアとして仕事をしていました。

2021年9月に渡越(4年目突入)し、今は妻と子供と3人でハノイ生活を満喫しています。
今回は、私がSun*にJoinしたからこそ挑戦できたPBLという活動について紹介したいと思います。

普段は何をしているか

この記事を読んでいる方は、主にSun*の開発やビジネスについての記事を期待して読んでいる方が多いのではないかと思います。今回は過去のAdvent Calendarにも登場していないSun*の教育事業についての話になるので、まずは簡単に現在の私の業務について紹介します。

まず、メインの業務は授業の実施です。主に大学3年生と4年生向けに、実践的なIT教育を行っています。従来の講義型の授業ではなく、教師はあくまで学生のサポートをする位置付けで、学生自身に主体的に考え行動をしてもらうことを目的に授業を実施しています。

また、授業の他に就職のための面接対策や内定者向けの授業の展開、Sun*スカラシップ面談など、学生の日本就職と入社後の円滑な就業を目指してさまざまな活動を行っています。GEU及びTPF(Talent Connect Unit)は、私が所属する実践IT教師チームの他、日本語教師チーム、TCチーム、Salesなど、まさに学生と日本企業をつなぐために必要な事を全て担っている組織となります。

普段は教育事業部に接触がない方も、これを機会にベトナムでの教育事業を知るきっかけになればと思います。

PBLって何?

タイトルに見慣れないPBLという言葉が入っていますが、そもそもこのPBLとは何かを説明します。

PBLとは、Project-Based Learningの略称で、日本語では「問題解決型学習」や「課題解決型学習」と呼ばれます。参加者が自ら課題を発見し、解決策を考え、システムやプロダクトを構築し、実際に市場で効果検証を行うという一連の流れを通じて行う学習手法です。(PBLはProblem Based Learningという別の定義もありますが、ここではSun*で企画・設計した際の考え方に基づいてお話しします。)

注目されている背景として、変化のスピードが速い社会に対応するためにソフトスキルやソーシャルスキルが求められるということがあります。実践的な学びとなっているので、従来の講義型学習では得られない深い学びが可能です。詳しくは割愛しますが、興味のある方は、「主体的・対話的な深い学び(文部科学省提唱)」や「アクティブ・ラーニング」、「ラーニングピラミッド」について調べてみてください。

2024年度グローバルPBL

2018年から2024年まで(2020,2021は中止)、芝浦工業大学のグローバルPBLの取り組みの一つにSun*が参画しています。私は2022年から担当し、今年で3年目となります。
芝浦工業大学のグローバルPBLの取り組みは学科・国ともに多岐に渡っており、その中の一つがHUSTと協同して実施している本プログラムとなります。

2024年は、芝浦工業大学の学生とHUSTの学生が合わせて30名参加しました。
HUSTでは参加対象の2年生431名に対し125名が応募し、セレクション課題を70名が提出、選定の結果上位14名が参加資格を獲得しました。応募総数からもHUST学生の興味関心が非常に高いことが伺えます。また、当然ではありますが上位数%の学生たちなので、日本語力だけでなく英語力や技術力、ソフトスキルの能力値も高いです。

活動は主にオンラインセッションとオフラインセッション(リアルセッション)に分かれて行われます。
6月にキックオフを実施し、まずはオンラインでチーム開発を行ってもらいます。今回はこのオンライン期間中のWebアプリ開発を通じて発生した課題を、リアルセッションで解決するという流れで設計をしました。ここで参加している学生たちはオンライン故のコミュニケーションの難しさやチームで学習することのメリットなどを学んでいきます。技術的には、Python、Django、GitHubの使い方などを学びながらWeb開発を進めました。ただ、従来の学習方法のような授業や講義、研修を行うことなく、目的と課題のみを伝えて学生主体で取り組んでもらっています。

オンラインでのチーム開発が終わった後は、実際に芝浦工業大学の学生さんたちがハノイに来て、2週間みっちりチーム開発を行います。オフラインセッション中では、チーム開発のみならず、チームビルディングを円滑に行うためのワークや、HUST見学と授業体験、ベトナムの日系企業幹部の講演など、ベトナムに来たからこそできる体験を盛り込んでいます。もちろんSun*の宣伝も忘れずに行っています。

参加する学生には、明確に目標を伝えた上で、オンラインセッションとオフラインセッションの終了タイミングで振り返りを行い、何ができて何ができなかったかを認識してもらっています。これは学生全員に自分を客観的に自己理解した上で、今後の改善につなげてもらいたい思いで行いました。HUSTの学生に対しては、さらに踏み込んで日本企業への就職を目指したフォローを行っています。このグローバルPBLでの学びをしっかり言語化し、SCP(企業と学生をつなぐプラットフォーム)への登録と面接練習をサポートしています。
こちらは実際に学生に達成してもらう目標です。全てソフトスキルに関連した目標となっています。

どこに価値を感じているか

Sun*がどんなグローバルPBLイベントを行っているのかについてはなんとなく理解していただけたかなと思います。PBLそのものにももちろん教育的価値はありますが、ここでは私個人がどのような価値を感じているのかについて書きたいと思います。

1. 参加学生にとっての価値
これは上述した通り、ソフトスキルの実践ができることだと感じています。学生は大学でたくさんの授業を受けていますが、ほとんどが講義型授業です。つまり、自ら考え行動するということをしていません。このイベントに参加することでソフトスキルの実践もでき、かつ、それを同年代の海外の学生と一緒に活動できることはそれ自体が価値があるのではないかと感じています。また、HUSTの学生は直接就職活動でアピールできる実績とすることもできます。

2. Sun*にとっての価値
Sun*にとって直接ビジネスとなっているわけではありませんが、Sun*が提供している教育を知ってもらうきっかけになったりとSun*の教育事業部(およびxseeds)のブランド力向上につながるのではないかと思っています。

3. Sun*に関わる日系企業にとっての価値
最近、日本の企業さんからPBLについて興味を持って問い合わせをいただいたことがありました。学生の教育や採用という点で企業側も注目しているのではないかと思っています。ここからは私の妄想ですが、いろんな企業さんがSun*と一緒にPBLを実施することで、企業はより優秀な学生の獲得につなげることができ、学生もその企業への選考を兼ねたイベントに参加でき、Sun*もビジネスとしてPBLを展開するというWin-Win-Winの形になったら最高だなと思います。

4. 自分にとっての価値
自分にとってはいいことだらけです。PBLの企画から実施まで一気通貫で関わることができ、単純にイベントの企画力が上がります。スキルの幅として、授業の実施だけでなくイベント実施ができるようになるためのものすごく貴重な機会です。また、優秀な学生の様々な観点での考え方や行動に直接触れることができるので、日々学びとなります。何より学生とコミュニケーションを取りながら仕事ができるので単純に楽しいです。今後はSun*主体で、他の日本の大学や企業、地方自治体と一緒にこういったイベントの仕事ができれば嬉しいなと妄想しています。

最後に

最後までお読みいただきありがとうございます。
Sun*の教育事業についてはこちらにたくさん記事がありますので、興味のある方は読んでみてください。興味がない方もSun*の教育事業を知るきっかけにしていただければ幸いです。

明日はMiura DaikiさんのAWS × LINE Botについての記事です!お楽しみに。

Sun* Developers

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