Boto3の設定あれこれ(profile名、アクセスキー、Config、DEBUGログの設定とか)
はじめに
ローカル環境でBoto3を利用する時にコード内でprofile名を指定したり、アクセスキーを埋め込むことがある。それ以外にBoto3利用時にはConfigやDEBUGログ出力を設定することもでき、こちらは開発環境や本番環境でも活用できる。これらの設定は公式ドキュメントに記載されているがそれぞれ別のページに記載されているため、自分が一覧で見やすいようこの記事にまとめた(ง •̀_•́)ง
Boto3自体を詳しく知りたい場合は、以下の記事も読んでみてください。
Sessionについて
AWSのAPIを利用するメソッドを持つClient/Resource
オブジェクトは、boto3.client('AWS_SERVICE_NAME')
やboto3.resource('AWS_SERVICE_NAME')
を利用して生成できるが、この時の引数にいくつか設定を指定することができる。
import boto3
s3_client = boto3.client('s3') # Clientオブジェクト生成
s3_resource = boto3.resource('s3') # Resourceオブジェクト生成
これらのclient()/resource()
メソッドは、内部的にはSession
オブジェクトのclient()/resource()
メソッドを利用している。そのためSession
オブジェクトを生成する時にBoto3の設定をして、そこからClient/Resource
オブジェクトを生成することもできる。
ちなみに公式ドキュメントではSession
オブジェクトを生成するコードとして、boto3.Session()
を利用している場面と、boto3.session.Session()
を利用している場面とが混ざっていてややこしいので個人的な補足をしておく。(以下の2パターンがある)
import boto3
my_session = boto3.Session()
s3_client = my_session.client('s3') # Clientオブジェクト生成
ddb_resource = my_session.resource('dynamodb') # Resourceオブジェクト生成
import boto3.session
my_session = boto3.session.Session()
s3_client = my_session.client('s3') # Clientオブジェクト生成
ddb_resource = my_session.resource('dynamodb') # Resourceオブジェクト生成
上のどちらを利用しても生成されるのは同じboto3.session.Session
オブジェクトであるため、
記述量が短いのboto3.Session()
を使えば良いと思う。
なぜ同じなのに短い記述で済むかと言うと、boto3
パッケージのルート階層の__init__.py
でfrom boto3.session import Session
をしているためである。
コード内でprofile名の指定
まずは一番よく使う(と思う)名前付きprofileの指定方法について。
こちらはclient()/resource()
メソッドでは指定できないので、Session
オブジェクト生成時にprofile名を指定する必要がある。
import boto3
my_session = boto3.Session(profile_name='YOUR_PROFILE_NAME')
s3_client = my_session.client('s3') # Clientオブジェクト生成
ddb_resource = my_session.resource('dynamodb') # Resourceオブジェクト生成
SDKとは関係なく、profileの設定ではIAMユーザーのアクセスキーだけでなくrole_arn
とsource_profile
を利用してIAMロールの利用も可能。
コード内でアクセスキーの埋め込み
コード内で直接アクセスキーを埋め込むことも可能。
この場合はprofile名の指定と異なりclient()/resource()
メソッドでの指定とSession
オブジェクト生成時での指定のどちらも可能。
-
client()/resource()
メソッドでの指定
import boto3
# Clientオブジェクト生成
s3_client = boto3.client(
's3',
aws_access_key_id='YOUR_ACCESS_KEY',
aws_secret_access_key='YOUR_SECRET_KEY',
aws_session_token='YOUR_SESSION_TOKEN' # IAMロール利用の場合のみ設定
)
# Resourceオブジェクト生成
s3_resource = boto3.resource(
's3',
aws_access_key_id='YOUR_ACCESS_KEY',
aws_secret_access_key='YOUR_SECRET_KEY',
aws_session_token='YOUR_SESSION_TOKEN' # IAMロール利用の場合のみ設定
)
-
Session
オブジェクト生成時での指定
同じ設定から複数のClient/Resource
オブジェクトを利用したい場合は、一度Sessionを生成してからの方が記述量が少なくて済む。
import boto3
my_session = boto3.Session(
aws_access_key_id='YOUR_ACCESS_KEY',
aws_secret_access_key='YOUR_SECRET_KEY',
aws_session_token='YOUR_SESSION_TOKEN' # IAMロール利用の場合のみ設定
)
# Client/Resourceオブジェクトの生成
s3_client = my_session.client('s3')
s3_resource = my_session.resource('s3')
ddb_client = my_session.client('dynamodb')
AssumeRoleで取得した一時的な認証情報の埋め込み
IAMロールを利用したい場合はSTSのAssumeRoleで一時的な認証情報を取得して、上で紹介したコード内にアクセスキーを埋め込む合わせ技でも可能。
import boto3
# AssumeRoleで一時的な認証情報を取得
sts_client = boto3.client('sts')
temp_creds = sts_client.assume_role(
RoleArn='arn:aws:iam::123456789:role/YOUR_ROLE_NAME', # IAMロールのARN
RoleSessionName='YOUR_ROLE_SESSION_NAME', # 識別できる名前
DurationSeconds=1800 # 有効期限
)
# 一時的な認証情報を利用してClient/Resourceオブジェクトの生成
s3_client = boto3.client(
's3',
aws_access_key_id=temp_creds.get('Credentials').get('AccessKeyId'),
aws_secret_access_key=temp_creds.get('Credentials').get('SecretAccessKey'),
aws_session_token=temp_creds.get('Credentials').get('SessionToken')
)
Configの指定
Configを利用するとREST APIの挙動に関わる設定が可能。Configが利用できるのはclient()/resource()
メソッドのみ。
個人的に一番利用する機会が多そうな設定は、SDK内でのREST APIのリトライ回数かなと思う。
公式ドキュメントにも記載されているが、Boto3で何も指定しない場合のリトライ処理はLegacyモードという、他の言語のSDKとリトライ対象のHTTPステータスコードなどが異なるものになるため注意。
Legacy mode is the default mode used by any Boto3 client you create. As its name implies, legacy mode uses an older (v1) retry handler that has limited functionality.
他言語のデフォルトと合わせるためにはConfigでretries
をStandardモードに指定する必要がある。
Standard mode is a retry mode that was introduced with the updated retry handler (v2). This mode is a standardization of retry logic and behavior that is consistent with other AWS SDKs.
import boto3
# リトライをStandardモードに設定
s3_client = boto3.client('s3', config=Config(retries={'mode': 'standard'}))
ddb_resource = boto3.resource('dynamodb', config=Config(retries={'mode': 'standard'}))
他にもConfigで指定できるのはいくつかあるが、だいたいはデフォルト値で大きな問題はでない気がする。
ただ、性能や負荷をチューニングしたい場合に触るかもしれない項目を以下に挙げておく。
import boto3
# HTTPクライアントの接続に関わる設定を指定する例
s3_client = boto3.client(
's3',
config=Config(
connect_timeout=30, # DEFAULT 60
read_timeout=15, # DEFAULT 60
max_pool_connections=20 # DEFAULT 10
))
ログの設定
boto3
, botocore
パッケージ内のコードで出力するログのレベルを変更でき、開発時の調査やデバッグの時に便利。
import boto3
# デフォルトだとboto3パッケージが対象で、ログレベルはDEBUGになる
boto3.set_stream_logger()
# boto3/botocoreのパッケージの細かい指定まで可能、ログレベルも変更可能
boto3.set_stream_logger('boto3.resources', logging.WARN)
# パッケージ指定を''にするとboto3/botocore全てのログが出るが、botocoreはcredential情報なども出るので本番環境などでは使わないように注意
boto3.set_stream_logger('')
特に調査に利用できそうなログが出るパッケージはこのへん。
パッケージ名 | ログレベル | 出力内容 |
---|---|---|
'botocore.endpoint' |
DEBUG | リクエスト時のヘッダやパラメーター(ヘッダに含まれる認証情報も出力されるので注意) |
'botocore.parsers' |
DEBUG | HTTPレスポンスボディ |
リージョンの指定
リージョンの設定は、ややこしいことに以下のいろんなところで指定ができる。
-
client()/resource()
メソッド
import boto3
# Clientオブジェクト生成時にリージョンを指定
s3_client = boto3.client('s3', region_name='YOUR_REGION')
# Resourceオブジェクト生成時にリージョンを指定
s3_resource = boto3.resource('s3', region_name='YOUR_REGION')
-
Session
オブジェクト
import boto3
# Sessionオブジェクト生成時にリージョンを指定
my_session = boto3.Session(region_name='YOUR_REGION')
- Config利用
import boto3
# Clientオブジェクト生成時にConfigを利用してリージョンを指定
s3_client = boto3.client('s3', config=Config(region_name='YOUR_REGION'))
# Resourceオブジェクト生成時にConfigを利用してリージョンを指定
s3_resource = boto3.resource('s3', config=Config(region_name='YOUR_REGION'))
まとめ
Boto3を使ってコードを書く時に便利な情報を1ページでまとめることができた😎
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