【SaaS選定】プッシュ通知サービスの選び方・比較
はじめに
こんにちは。GenAiの菅原です。
プッシュ通知(Push Notification)サービスとは、ユーザーのスマホやタブレット、PCのブラウザやアプリ上に告知やニュース速報などのメッセージを送信するサービスを指します。
ユーザーがアプリを見ていない時に通知を送ることで、アプリへの誘導が可能となります。主にマーケティングにおける、ユーザーのアクティブ化施策の一環として使われます。自前で実装することもできますが、SaaSを導入することによりサービス構築期間を圧縮することが可能となります。
全くコストのかからないサービスから有料のサービスまで、製品によって特徴は異なります。非常に選択肢も多いため、本記事では選定方法から、おすすめなサービスまでご紹介します。
選定方法
プッシュ通知サービスを検討する際には、以下のことを検討します。
実際には以下のうち、顧客や社内の都合など、様々な要素を加味し、重要な検討軸を吟味した上で選定を行なっていきます。人材の習熟度や技術戦略によっても技術選定は変わりますので、一般論としてお使いください。
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- 対応チャネル
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- カスタマイズ性
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- 対応プラットフォーム / API・SDKの提供有無
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- 管理・分析機能
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- 価格
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- サポート / コミュニティ
1. 対応チャネル
プッシュ通知といっても様々なチャネルがあります。要件によって通知するチャネルは適切に選定します。チャネルには以下のようなものがあります。必要な機能を備えたサービスを選びましょう。
- webプッシュ通知
- モバイルプッシュ通知
- Eメール通知
- SMS通知
- In-Appメッセージ
2. カスタマイズ性
ユーザー属性や行動に基づいて特定のユーザーグループに対してメッセージを送信したいなど、プッシュ通知とはいっても要件は様々です。細やかにカスタマイズできる機能があるかどうかが検討の観点となります。例えば以下のような要件を確認し、満たせるサービスを選定します。
- ユーザーグループ(セグメンテーション)ごとの指定ができるか?
- メッセージの内容をシステムの情報を使ってどれほどカスタマイズできるか?
- 配信スケジュールはどのように指定が可能か?
- A/Bテストなどによるマーケティング効果の検証は可能か?
- 送信トリガーはどのようなものに対応しているか?
3. 対応プラットフォーム / API・SDKの提供有無
特定のOSや、開発環境、プラットフォームでの使用が求められている場合、提供されているAPIやSDKの存在が重要となります。公式でSDKが存在しない場合、自前で連携部分の実装をする工数がかかります。制約条件として意識するポイントとなります。
- 対応プラットフォームは何か?(Web/Android/iOS etc.)
- 利用予定の開発環境に合ったSDKは提供されているか?
- APIは提供されているか?
- 開発プラットフォームは何に対応しているか?
4. 管理・分析機能
プッシュ通知の効果を分析し、トライアルアンドエラーを繰り返していくことなしに良い施策を打つ事は難しく、構築時からある程度、運用を見越した選定をする必要があります。使い勝手はそれぞれのSaaSによって使い勝手が違うため、実際にデモを触ってみる等をしながら検討できると良いと思います。
5. 価格
予算に収まる価格かどうかを確認します。無料プランの有無、初期費用、ランニングコストを総合して評価します。無料プランがある場合は、検証してみるのも手でしょう。
- 無料プランはあるか?
- 初期費用はどれくらいか
- ランニングコストはどれくらいになりそうか
- 総じて、予算に収まるか?
6. サポート / コミュニティ
ここでは広義のサポートを指しております。ネットにある記事の量と質を含め、コミュニティが盛り上がっているか、公式のサポートはあるか、ドキュメントは揃っているかなどを勘案し、利用時のトラブルがあった際に問題を解消できる状態にあるのかを確認します。
- 公式ドキュメントは充実しているか?
- 公式サポートはあるか?
- コミュニティは盛り上がっているか?
- 日本語コミュニティがあるか?
海外の著名なサービス
選定の際に考慮するポイントを解説しました。以下では著名なサービスを紹介します。
🇺🇸Firebase Cloud Messaging(FCM)
Firebaseをお使いの方にはお馴染みのFCMです。Firebaseとの親和性が高く、利用料が無料というのが最大の特徴でしょうか。対応プラットフォームはweb、Android、iOSとプラットフォームを選ばず、Firebase Admin SDKも一通りの主要言語には用意されています。日本語の記事も多く、まず第1に挙がる候補なのではないでしょうか。Bubble、Adalo、FlutterFlowといった各種ローコード/ノーコード系のプラットフォームも公式対応しています。分析機能を使いたい場合は、Google Analyticsと統合します。
🇺🇸Amazon Simple Notification Service(Amazon SNS)
Amazon Simple Notification Service(Amazon SNS)は、Amazon Web Services(AWS)が提供するフルマネージド型のプッシュ通知サービスです。
iOS、Android、Windows Phoneなどのモバイルデバイスに加えて、EメールやSMS、HTTPエンドポイントといった多様な配信チャネルに対応しています。Amazon SNSはAWSが提供するクラウドサービスであるため、ユーザーの需要に応じてスケールアップ・ダウンすることが可能です。大量の通知を短時間に送信する必要がある場合でも対応可能となります。いくつかのSaaSもバックエンドはAmazon SNSを使っているほど、信頼性の高いサービスとなります。
🇺🇸OneSignal
次はOneSignalです。アメリカでは一番勢いのあるプッシュ通知SaaSです。高度なセグメンテーション機能や、A/BテストなどFCMではカバーできない要件もカバー可能です。チャネルはweb、モバイル、In-Appなど一通り対応しており、iOSのLive Activitiesにも配信できます。SDKも主要なプラットフォーム・言語に対して提供されています。公式ドキュメントも充実しており、プッシュ通知でできないことはないのではないでしょうか?
価格は無料プランありで、有料だと月9ドルから月309ドルまでとなっています。ちゃんと使うと少々高めなのと、サポートも英語だけなのでそこは難点ですかね。
🇺🇸AirShip
AirShipもOneSignalのように多機能な昔からあるプッシュ通知SaaSです。もはやプッシュ通知なのか私はわかってませんが、モバイルウォレットへの送信機能もついていて、QRコードつきクーポンや入場券を発行する用途に使ったりできたり、非常に多機能です。iOSのLive Activitiesにも配信できます。サポートも充実していますが、英語、ドイツ語、フランス語のみの対応です。
まとめ
以下に比較軸でまとめた表を更新します。
SaaS | 対応チャネル | カスタマイズ性 | 対応プラットフォーム / API・SDKの提供 | 管理・分析機能 | 価格 | サポート / コミュニティ |
---|---|---|---|---|---|---|
FCM | ◎ モバイルプッシュ通知、Webプッシュ通知 |
◎ 豊富(セグメンテーション、メッセージカスタマイズ、送信スケジュール指定) |
◎ Android, iOS, Web (JavaScript) |
◎ 統合されたFirebase Analyticsを利用 |
◎ 基本的に無料(一定量を超えると課金) |
◎ 公式ドキュメント充実、公式サポートあり、大規模コミュニティ |
Amazon SNS | ◎ モバイルプッシュ通知、Webプッシュ通知、SMS、Email |
◎ 豊富(セグメンテーション、メッセージカスタマイズ、送信スケジュール指定) |
◎ Android, iOS, Web |
○ CloudWatchを利用した管理・分析 |
△ 使用量に応じて課金 |
◎ 公式ドキュメント充実、公式サポートあり、大規模コミュニティ |
OneSignal | ◎ モバイルプッシュ通知、Webプッシュ通知、Email、SMS |
◎ 豊富(セグメンテーション、メッセージカスタマイズ、送信スケジュール指定) |
◎ Android, iOS, Web, Unity, React Native, etc. |
○ ダッシュボード上での統計情報提供 |
○ 無料プランあり、機能に応じた課金プラン |
◎ 公式ドキュメント充実、公式サポートあり、アクティブなコミュニティ |
Airship | ◎ モバイルプッシュ通知、Webプッシュ通知、SMS、Email、In-Appメッセージ |
◎ 豊富(セグメンテーション、メッセージカスタマイズ、送信スケジュール指定) |
◎ Android, iOS, Web, tvOS, Fire OS |
◎ ダッシュボード上での統計情報提供、A/Bテスト機能 |
△ 詳細は問い合わせ |
◎ 公式ドキュメント充実、公式サポートあり、ユーザーコミュニティ |
なお、サービスのアップデート等により情報が変わる可能性もありますので、詳しくは公式情報をご確認ください。
Push通知のサービスは様々ですが、用途に応じて最適なものを選びましょう。
(いろいろ書きましたが、Firebase Cloud messagingで割と済んでしまうケースが多いですね。)
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