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ついに Shopify Sidekick がサードパーティアプリを呼べるようになった

に公開

Shopify Editions Winter '26 で「Sidekick App Extensions」が発表されました。StoreHero ではグロース支援を行う複数の Shopify アプリを開発しており、今年から、AI Agent を積極的に組み込み始めています。Sidekick との連携はずっと気になっていたので、ドキュメントを読み込んでみました。

結論から言うと、現時点では Sidekick との連携は Sidekick からの一方向的な呼び出しに留まるものであり、期待していたほどの内容ではありませんでした。ただ、アプリ開発者にとっては「自分たちが作ったアプリが Sidekick を通じて使われるようになる」という変化をもたらすことには大きな意味があるでしょう。

Sidekick App Extensions とは

公式ドキュメントによると、アプリのデータと機能を Sidekick に公開するための仕組みです。

できることは二つ:

  • アプリのデータを Sidekick が検索できるようにする(Data の公開)
  • アプリの操作を Sidekick から実行できるようにする(Actions の公開)

公式の例では、Shopify Messaging アプリでメールキャンペーンの件名パフォーマンスを検索するシナリオが紹介されています。マーチャントが「メールキャンペーンで最もパフォーマンスが良かった件名は?」と Sidekick に聞くと、アプリの extension を使ってデータを取得し、結果を返します。

アーキテクチャ

公式ドキュメントのシーケンス図を見ると、流れはこうです:

  1. マーチャントが Sidekick に質問
  2. Sidekick がアプリの extension を呼び出す
  3. Extension は Shopify のサンドボックス内で実行され、アプリと同じ API にアクセス可能
  4. 結果が Sidekick 経由でマーチャントに返る

intents の詳細が不明

私が特に関心を持ったのは、アプリが Sidekick にどのような Actions を公開できるのか、という点でした。私たちが作ったアプリケーションを Sidekick 経由で自然言語で動かすことができればそれは大きな意味を持つだろうと思ったためです。

しかし、Actions を公開する際に「どんな操作を公開できるのか」は intents として定義されるようですが、ドキュメントにはこう書かれています:

A full list of supported types for app intents will be available soon.

Developer Preview なので仕方ありませんが、実際に何ができるのかは今後の情報公開待ちです。

開発者コミュニティの様子

公開直後から Shopify Developer Community に複数のスレッドが立っています。

ドキュメントに記載されている shopify app generate extension --template app-tools コマンドが動かないという報告が複数。CLI のバージョンが追いついていないようで、まさに Developer Preview らしい状況です。

逆に言えば、多くの開発者がこの機能に注目している証拠でもあります。

StoreHero としての視点

StoreHero では Shopify アプリも開発しています。今回の発表には実務的な関心があります。

現在できること:

  • マーチャントが Sidekick に聞くと、私たちのアプリのデータを使って回答してもらえる
  • アプリの特定画面へのナビゲーションを Sidekick 経由で提供できる
  • メールテンプレートの編集やプロダクトレビューの作成など、スコープを限定した操作を Sidekick に公開できる

制約:

  • Sidekick からの一方向的な連携に留まる
  • 私たちのアプリから Sidekick を呼び出して何かを依頼する、といったことはできない

将来への期待:A2A と MCP

今回の Sidekick App Extensions は、Sidekick というエージェントにアプリが tools を提供する構造であり、Sidekick の判断によって、我々が作ったアプリを利用する一方的なものです。

将来的には:

  • Sidekick の MCP Server 化:外部の AI Agent が Sidekick を通じて Shopify の機能を使える
  • A2A による双方向連携:私たちのアプリの Agent と Sidekick が対等に会話し、タスクを協調して実行する

といった展開を期待したいです。

StoreHero では AI Agent を支援ツールに組み込み始めています。私たちの Agent と Sidekick が A2A で連携できるようになれば、マーチャントのグロース支援がだいぶ変わりそうです。

参考

株式会社StoreHero

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