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効果的に質問をする・回答をする

2023/02/05に公開

一年前くらいに9割位書いて何故か放置していました。

はじめに

仕事をしていると、いろいろな場面でいろいろな種類の質問をしたりされたりする。
質問をされていて「こうしたらいいのにな」と思ったりしたことをもとに、
私が考える効果的に質問を行う・回答する方法について書く。

質問の種類

質問には大きく分けて以下の2つの種類があると考えている。

  • 正しい答えがある質問
  • 正しい答えがない質問

それぞれ工夫をすべき点や、質問を通して得られると期待できることが異なるので別々に整理する。

正しい答えがある質問

正しい答えがある質問とは、回答の正確さが評価できるような質問となる。
例えば、『あなたの家の冷蔵庫にりんごはどれくらい入っていますか?』や『東京都渋谷区の人口は何人ですか?』などだ。

前者の質問については、実際にりんごが 12個入っているとき、「10個くらい」よりも「12個」のほうが正確と言えるだろう。

この種類の質問をするとき、質問者が要求しているのはある「情報」といえる。

効果的にするための工夫

質問のあいまいさを低減する

これは、主に質問する側の工夫となる。

この種類の質問の回答として求めているのは、自分の要求に合致した情報なので、相手に対して正確に自分の要求を伝える工夫をすることが効果的に働く。

自身の要求を正確に相手に伝えられていない時、多くの場合自分の要求に合わない回答が返ってくる。したがって、質問のあいまいさを低減させることで、要求する回答を得やすくなる。

つまり、『あなたの家の冷蔵庫にりんごはどれくらい入っていますか?』よりも『あなたの家の冷蔵庫にりんごは何グラム入っていますか?』のほうが『量』に対するあいまいさが低減していると言える。
また、『東京都渋谷区の人口は何人ですか?』よりも『2022年1月末時点の東京都渋谷区の人口は何人ですか?』のほうが『観測時』に対するあいまいさが低減している。

ここで質問者は、第一に自分の要求を自覚する必要がある。
自身の要求を自覚できないと、どのような情報を要求しているかを相手に共有することができない。
ここで、自分の要求を明確にできない時、おそらく質問者がしたい質問は正しい答えがある質問ではなく、正しい答えのない(回答の正確さが評価できない)質問である可能性が高い。

第二に自分の要求にどの程度のあいまいさが許容されるのかに気をつける必要がある。
そして、その許容されるあいまいさを回答者に正しく共有するしなくてはいけない。
なぜなら、回答するために、回答者が質問に含まれるあいまいさを確定させる必要があるからだ。

これが回答者にとっての負担になれば、期待する回答が得られるまでに時間をより多く要することとなる。
つまり、『2021年12月以降で比較的最近に観察された、東京都渋谷区の人口は何人ですか?』というような質問は、質問者が許容できるあいまいさを回答者が知ることができる。

適切な答えを得るための手段を共有する

これは、主に回答する側の工夫となる。

単に情報を必要とする種類の質問を嫌う人は多いと思う。なぜならそのような人たちは、情報の多くがインターネットにあふれており、それを検索することを自主的に行うことが可能と考えているからだ。

ただ、残念なことに質問者にとってGoogle検索は回答者ほど便利ではないというのが問題になる。

ある人が Google検索で『NIHONGO GA UTENAI』と入力してちゃんと IME の設定変更方法や CapsLock についての記事がヒットして便利と感じるように、
なんとなく要領をえない質問をしてもちゃんと自分の意図通りの回答が返ってくるのが便利と感じるのは自然なことだと思う。

これは単に知識や技術の問題であるので、これらを都度共有することで質問と回答というやり取りが効果的なものになる。

例えば、『人口推計 というものがあるよ』のように、質問に関するリソースを共有したり、前述のような質問をする際の工夫について共有したりなどだ。
あるいは、情報を得るまでの流れをそのまま共有することも有効に働くかもしれない。

『〇〇分調べてわからなかったら質問して』というようなやり方を見聞きしたことがあるが、物事を調べるにあたって必要と思われるベースの知識や技術がなかったら不毛な時間になるので、このような対応は慎重にするべきだと個人的には考えている。
本来は、知識や技術を伝えてその後実践しなくては意味がないので、早く質問させるべきだと思っている。

正しい答えがない質問

正しい答えがない質問とは、回答の正確さが評価できないような質問となる。
例えば、『今日のお昼ごはんのデザートに果物をとろうと思っているのだけど、「りんご」と「みかん」どっちがいいと思いますか?』や『東京都渋谷区の人口を増やすにはどうすればいいと思いますか?』などだ。

質問者が求めているのは特定の事柄に対する回答者の「意見」といえる。

効果的にするための工夫

背景や文脈を正確に共有する

これは、主に質問する側の工夫となる。

主張や意見を組み立てるには、背景や経緯や目的などそれの材料が必要となる。

例えば、『今日のお昼ごはんのデザートに果物をとろうと思っているのだけど、「りんご」と「みかん」どっちがいいと思いますか?』については、
『今日のお昼は、コンビニでツナマヨおにぎりを買って、公園で食べようと思うのだけどその時一緒に果物をデザートとして食べるのは「りんご」と「みかん」どっちがいいと思いますか?』のように判断に利用してもらいたい情報を含めるということだ。

回答の根拠を伝える

これは、主に回答する側の工夫となる。
正しい答えのない質問をするとき、回答そのものよりも、回答に至る根拠のほうが価値が高いことが多い。
なぜなら、正しい答えがない以上、得られた回答を質問者自身が評価し、それをどのように扱うかを決定する必要があるからだ。

例えば、「外で食べるなら、手で食べやすいからみかんのほうがいいんじゃないかな?」と答えれば、回答の根拠が、味などではなく食事のしやすさにあると質問者が理解できる。
また、「ツナマヨおにぎりだけだと多分お腹が減るから、バナナの方が良いんじゃないの?外でも食べやすいし」などでもいいだろう。
つまり、質問者が提示した情報に「りんご」や「みかん」であることに必然性があると考えていないこと、それを踏まえて機能性などに着目して回答したことが質問者に伝わる。
仮に、「りんご」や「みかん」であることに必然性があるのならその理由が質問者から提示され、より議論が深まることが期待できる。
結果として質問者にとってより納得がいく結果が得られる可能性が高まるだろう。

注意すべきなのは、答えがない以上、自分の回答を相手が採用するかどうかについて固執すべきではないということだ。自身の考えを質問者に提示をして、質問者が納得した結論を得ることを助けられるかどうかを重視すべきだ。

おわりに

質問や回答を効果的に行うための工夫などを書いた。
ここに書いたことは質問にも限らず作業の依頼などにも言えることだと思っている。

質問や依頼が『一方的に投げつける』ように行われて効果的ではない結果になっていると感じることがある。
自分と他者が関係して行われることは一方向的ではなく双方向的なコミュニケーションなはずだ。

双方向的なコミュニケーションであるなら、どのように相手に自分の考えを共有し、相手がどのように考えたかを理解しようとすれば大抵のことはうまくいくと思うのだけど、なかなかそうはならないから難しいものだなと思った。

あと、例の質問自体が難解だとわかりにくいからわざとああいうのにしたけど、もしかしたら逆にわかりにくくなったかもしれないかとあとから読み返して思った。
また、日常会話でも常にこういう感じだと鬱陶しいと思われることがあるので気をつけよう。

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