NestJSとGraphQLの組み合わせに痺れる!
本記事のサマリ
最近の自社プロダクトでも、NestJSとGraphQLの組み合わせで開発を進めています。デコレータ1つでスキーマが自動生成され、TypeScriptの型安全性がフロントエンドまで貫通する開発体験は、もはや手放せないものになっています!
REST APIでコントローラーやDTOを丁寧に書き、フロントエンドとの型の整合性を手動で保っていた頃と比べると、開発効率は格段に向上しています。この記事では、今REST APIで実装している方に向けて、ぜひ一度NestJS × GraphQLを触ってみてほしいという思いで、実際に使って感じたメリットを体感ベースで共有していきます。特に、コードファーストアプローチの威力と、TypeScriptとの相乗効果について詳しく解説します。
NestJS × GraphQLに触れて感じたこと
普段REST APIでバックエンドを書いていると、新しいエンドポイントを作るたびにこんな作業をしてたんですよね。
コントローラーを書いて、DTOを定義して、バリデーションを設定して、Swaggerのデコレータを付けて...。確かに、NestJSのSwaggerモジュールやOpenAPI仕様を使えば、ドキュメントの自動生成やopenapi-typescriptなどのツールでフロントエンド側の型定義も生成できます。
ただ、GraphQLの場合は、型システムがGraphQL自体に組み込まれているため、この一連の流れがより自然に統合されているんです。@ObjectType()デコレータを付けたクラスを書くだけで、GraphQLスキーマが自動生成され、そのスキーマから型定義まで一気通貫で生成される。
REST APIでもOpenAPIを使えば同様のことは実現できますが、GraphQLの場合は型システムがプロトコルの一部として標準化されているため、ツール間の連携がよりシームレスだと感じています。特に、チーム開発でのコミュニケーションコストが下がったのを実感してます。
GraphQLがNestJSにもたらす恩恵
TypeScriptとGraphQLの相乗効果が生む型安全性
NestJSを使う大きな理由の一つって、TypeScriptによる型安全性ですよね。REST APIでも、OpenAPI仕様から型定義を生成するアプローチで、フロントエンドとの型連携は実現できます。
ただ、GraphQLの場合は型システムが仕様の中核にあるため、より自然な形で「end-to-end typing」が実現できるんです。NestJSの公式ドキュメントでも、この点が強調されています。
例えば、以下のようなシンプルな型定義を書くだけで、バックエンドからフロントエンドまで型が貫通します。
@ObjectType()
class User {
@Field(() => ID)
id: string;
@Field()
name: string;
@Field()
email: string;
}
@InputType()
class CreateUserInput {
@Field()
name: string;
@Field()
email: string;
}
@Resolver(() => User)
class UserResolver {
@Query(() => [User])
users(): Promise<User[]> {
// ユーザー一覧取得の実装
}
@Mutation(() => User)
createUser(@Args('input') input: CreateUserInput): Promise<User> {
// ユーザー作成の実装
}
}
このコードから、GraphQLスキーマが自動生成され、そのスキーマからGraphQL CodeGeneratorなどのツールでフロントエンド用の型定義とフックが生成されます。データベースのモデルからフロントエンドのコンポーネントまで、一つの型定義の流れが自然にできあがる感覚です。
REST APIでもOpenAPIを使えば同様の型連携は可能ですが、GraphQLの場合は型がクエリ言語そのものに組み込まれているため、実行時の型チェックとの整合性も保証されやすいという特徴があります。
コードファーストアプローチの威力
NestJSのGraphQLモジュールが特に優秀なのは、コードファーストアプローチをしっかりサポートしている点です。スキーマファーストとコードファーストの両方に対応していますが、NestJSを使うならコードファーストが断然おすすめ。
従来のGraphQL開発だと、まずスキーマ定義言語(SDL)でスキーマを書いて、それに対応するリゾルバーを実装するという流れでした。でも、これだとスキーマとコードの同期を手動で取る必要があって、結構面倒なんです。
NestJSのコードファーストアプローチなら、TypeScriptのクラスにデコレータを付けるだけで、GraphQLスキーマが自動生成されます。つまり、コードが「Single Source of Truth」になる。
設定も驚くほど簡単で、GraphQLModule.forRoot()で autoSchemaFile: trueを指定するだけ。これで、メモリ上に動的にスキーマが生成されて、開発中はリアルタイムでスキーマが更新されるんです。
スキーマ定義とコード実装の二重管理から解放されて、純粋にビジネスロジックに集中できます!
デコレータベースの直感的な開発体験
NestJSを使い慣れた人なら、デコレータベースの設計の威力をよく知ってるはずです。@Controller()、@Injectable()、@Param()などのデコレータで、宣言的にアプリケーションを組み立てていく感覚。
GraphQLでも、この一貫したデコレータベースの開発体験が維持されるんです。@ObjectType()でGraphQLオブジェクト型を定義して、@Field()で個々のフィールドを指定する。@Resolver()でリゾルバークラスを作って、@Query()や @Mutation()でエンドポイントを定義する。
この統一感が良いですよね。REST APIを書くときと同じ感覚で、GraphQLのAPIも書ける。新しいパラダイムを学ぶ学習コストが最小限に抑えられる。
特にリレーションの扱いでは、REST APIだとN+1問題を避けるために複雑なJOINを書いたり、別途データローダーを実装したりしていました。でも、NestJSのGraphQLなら、@ResolveField()デコレータを使って直感的にリレーションを定義できる。
複雑なデータ構造を扱うときの開発効率が、REST APIとは比べ物にならないくらい向上します。
REST APIとの比較で見える開発効率の向上
実際の開発で、REST APIとGraphQLを比較してみると、その差は歴然としています。
REST APIで新しい機能を追加するとき、こんな手順を踏んでいました。エンドポイントの設計を考えて、複数のエンドポイントが必要かどうか検討して、過剰取得や不足取得を避けるためにクエリパラメータを設計して、レスポンス形式を定義して...。
GraphQLなら、必要なデータ構造をそのまま型として定義するだけ。クライアント側で必要なフィールドを指定できるので、オーバーフェッチングやアンダーフェッチングの心配もない。
特に、複数のリソースにまたがるデータが必要な場面で、その威力を実感します。REST APIなら複数回のAPIコールが必要な処理も、GraphQLなら一度のクエリで完結する。
バージョニングの問題も解決されます。REST APIだと、後方互換性を保つためにv1、v2といったバージョニングが必要になりがち。でも、GraphQLならスキーマの進化的な変更が可能で、フィールドの追加や非推奨化を段階的に行えるのです。
フロントエンドとの統合を見据えて
NestJSのGraphQLモジュールは、フロントエンドとの統合も考慮された設計になっています。生成されたスキーマからCodegen toolsを使ってフロントエンド用の型定義とフックを自動生成でき、Apollo ClientやRelay等のGraphQLクライアントとの相性も抜群です。特にNext.jsとの組み合わせでは、SSRやSSG時のデータフェッチングもGraphQLで統一でき、フルスタックTypeScriptの恩恵を最大限に活用できます。
今後GraphQLを選択する理由
特に、TypeScriptの型安全性を重視する開発チームにとって、GraphQLは非常に魅力的な選択肢ですね!バックエンドからフロントエンドまで、一貫した型システムで開発できる体験は、一度味わうと手放せません。
また、マイクロサービスアーキテクチャが普及する中で、複数のサービスからデータを統合して提供するBFF(Backend for Frontend)の役割も、GraphQLなら自然に実現できます。
ただし、GraphQLにも課題があることは付け加えておきます。キャッシュ戦略の複雑さや、N+1問題への対処、クエリの複雑性制御など、考慮すべき点もあります…
でも、NestJSのエコシステムなら、こうした課題に対するソリューションも豊富に提供されているので、実用的な選択肢として十分に検討する価値があるはずです。
REST APIにもOpenAPIという優れた仕様があり、NestJSでもSwaggerモジュールで十分な型連携が可能です。ただ、GraphQLは型システムがプロトコルの中核にあるため、より統合された開発体験が得られるという違いがあります。
まだGraphQLを試したことがないなら、一度NestJS × GraphQLの組み合わせを触ってみることをおすすめします!
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