ChatGPT Atlasを使ってみた - パーソナライズ検索の便利さと懸念点
STAR AIの本田です。
OpenAIが新たにリリースしたChatGPT Atlasを実際に使ってみました。
この記事では、その機能と実際の使用感、そして気になった点について解説します。
※公開時点ではMacOSのみの対応となっています。
ChatGPT Atlasとは
ChatGPT Atlasは、OpenAIが開発したChatGPT搭載のブラウザです。
従来のブラウザと異なる点として、ウェブページを開くだけで内容を瞬時に理解し、要約・解説・比較・分析まで自動で行ってくれます。
これまで「情報を探す→読む→理解する→まとめる」という段階的な作業が必要だったところを、検索とチャットが完全に一体化することで、調べながら考える作業がスムーズになります。
まさに「読む・考えるを一緒に行えるブラウザ」として、情報収集から知識の整理まで行うことができます。
基本的な機能
1.検索
Atlasの検索機能は、従来の検索エンジンとは異なり、ユーザーの意図を理解した上で最適な情報を提供します。例えば、特定のトピックについて深く掘り下げたい場合、関連する情報を自動で収集し、要約して提示してくれます。
個人的には、本家ChatGPTのウェブ検索機能がそのまま標準搭載されているイメージでした。
(検索時にコマンドキーとエンターキーを同時に押すと、通常のGoogle検索も可能です)

2.ChatGPTに質問する
Atlasでは、ChatGPTに直接質問することも可能です。ウェブページを見ながら気になる点をその場で尋ねることができ、リアルタイムで回答を得ることができます。

3.エージェントモード
Atlasにはエージェントモードが搭載されており、ユーザーの指示に基づいて自動的にタスクを実行します。例えば、レストランの予約やフライトの手配など、複数のステップを含む作業を一括で処理できます。
本家ChatGPTのエージェント機能との違いは、ユーザーとのコラボレーションがよりスムーズに行える点であると感じました。
本家では、エージェントが一人でタスクを完結させるイメージですが、Atlasではユーザーがブラウザ操作に関与することができ、ブラウザ操作を引き継いだり、Atlasに渡したりすることが可能です。

個人的に嬉しかった引き継ぎ機能
atlasはchromeと連携しており、ブックマーク、パスワード、検索履歴を引き継げるため、普段使っている環境をほぼそのまま移行できました。
実際の使用体験
レストラン予約の提案
試しに、大阪市内のとある駅周辺でのレストラン予約をエージェントモードで依頼してみました。
すると過去のweb検索履歴をもとに、私の好みがイタリアンであることと、食べログを利用していることを理解した上で、いくつかの候補を提案してくれました。
このように、過去の検索履歴を活用してパーソナライズされた検索結果が得られる点がAtlasの大きな特徴だと感じました。
実際にこの後、提案されたレストランの中から一つを選び、予約をお願いしたところ、予約までスムーズに完了することができました。

航空券手配
今度はより複雑なタスクとして、航空券の手配を依頼してみました。
依頼内容は以下の通りです。

実行するとJALの公式サイトにアクセスし、条件に合う航空券をサーチし始め、最終的に条件に合った航空券を提示してくれました。

実際に使って感じたこと
情報収集の効率化
ChatGPT Atlasを使ってみて感じたのは、「まだ人が手動でやった方が効率的で早い場面もあるものの、マルチタスクをこなしながら“任せておける”便利さ」という点で可能性を感じました。
特に情報収集の効率化という点で以下のようなメリットを感じました:
- パーソナライズ提案の精度:過去の検索履歴を活用した提案が、ユーザーのニーズに的確に応えてくれる
- エージェントモードの利便性:複雑なタスクを自動化でき、並列実行により「放置」しながら他の作業ができる
- 時間と労力の大幅な節約:従来なら手動で行っていた作業が自動化される
私個人としては、結果が想定とぶれにくく、時間がかかっても問題ないことはエージェント機能に任せておいても良いかなと思いました。
それ以外のことは、自分で調べて情報整理や壁打ちにChatGPTを使うというこれまでの流れは変わらなそうです。それをChatGPTのページへ毎回移動することなく、あらゆるところから呼び出して行えるのは効率的になった点と言えるかもしれません。
便利さの裏に潜む懸念
一方で、使用していてプライバシーやセキュリティに関する懸念も生まれました。
プライバシーの境界線
ChatGPTが過去の検索履歴や行動履歴を具体的に言及してくる瞬間があり、正直「ここまで把握されているのか」という複雑な気持ちを感じました。
検索履歴の活用自体は、Web広告のターゲティングなどで既に広く行われています。しかし、従来は「なんとなく関連する広告が表示される」程度の認識でした。
AtlasではChatGPTが明確に言語化してユーザーの行動パターンを指摘してくるため、プライバシー情報を見られているという印象を強く受けます。
※データ自体は設定で各ユーザー内で閉じさせることも可能です。
エージェントモードのセキュリティリスク
エージェントモードについても、以下のようなリスクがないのかについては気になりました:
- ユーザーが意図しないサイト(詐欺サイトなど)へのアクセス
- 悪意のあるサイトでのフォーム情報入力・送信
- 自動化による予期せぬ操作の実行
※金融機関サイトのログインページなどでは、一時停止するように制御されているようです。
これらの便利さと表裏一体の点を踏まえて、ローカルLLMや国産版AIブラウザにも一定のニーズが生まれてくるのではないかと感じました。
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