輪読会をはじめて1年が経過したので振り返ってみた
こんにちは。スターフェスティバルのソフトウェアエンジニアのyoshifujiです。
ちょうど1年ほど前から、弊社では技術書の輪読会に取り組んでいました。昨年末のアドベントカレンダーではその取り組みと手法について簡単に紹介しましたが、輪読会をはじめてちょうど1年が経過したので、今回はその振り返りをしたいと思います。
開催前夜の期待感
輪読会の開催目的は、難解な技術書を複数人の力でモチベーションを落とさず読んで理解したい、というところにありました。
技術書を読みたい!という熱量を持って企画されたものである一方で、こういった取り組みはなんだかんだ言って自然消滅しがちなもので、長続きしないものであるとも考えていました。現に輪読会の手法を探るために色々とググってみましたが、長続きさせるための方法を紹介したような記事も散見されました。この不安は勉強会のような取り組みにおける世間一般の課題と一致していると考えられます。
輪読会の企画段階においては、これから新たな取り組みをやってくぞ!という熱意と、過度な期待を寄せずとりあえずはじめてみて難しければやり方を変えよう、という気分が共存していました。
続けるためにやったこと
実際、輪読会のような取り組みを継続させるというのは難しいことだと思います。現実に1年間継続することができましたが、これは個々のメンバーの気合に支えられていた部分が大きく、誰かがモチベーションを大きく落としていたら途絶えていたのかもしれません。
個々人の気合の他にも、難解な本に対して既に相当な知見を持ったメンバーが、質問に答えてくれたり考えを述べてくれたりしたことにより会話が活性化されたことや、その日全員で悩んでいたトピックについて直後にytakeさんに詳しい解説をして頂いたこと、また自分で読むだけだとわからなかったけど発表担当者のスライドや議論を通じて理解できた!と言ってモチベーションを落とさず毎回参加してくれた参加者のみなさんが、この輪読会を成立させていたものだと思います。
他方、輪読会の回を重ねるにつれて見つかったこのような課題に対し、継続のためのマイナーチェンジを施してきました。見つけた課題とそれに対するアプローチを紹介します。
発表担当者への負担が大きい
輪読会の開催当初は、その回の終わりに次の回に発表する担当者を挙手制により決定していました。担当者は次の週までにその章を読み込んで、他の参加者に対して説明できるようにスライドを準備するというやり方でした。当初はこれでも問題なかったのですが、技術書は中盤に差し掛かると一章一章の内容が濃くなり、情報量もぐんと多くなっていくものです。やがて次の回までに1週間で読み終えてスライドを作って発表する、というスケジュール感は発表担当者に対する負荷が大きすぎると感じるようになり、これを改善することにしました。
担当する章が決まってから1週間後に発表する、というスケジュールに無理があると思い、もっと余裕を持って計画的に読んで準備できるように配慮する必要があると考えました。ちょうど2冊目に取り組み始めるタイミングでもあったので、最初の時点で全ての章の担当者をあらかじめ決めておくことにしました。こうすることで、自分が発表する章を意識して事前に軽く読んでおくこともできるようになり、突然担当する章が決まるよりも準備がしやすくなったのではないかと考えています。
事前に読んでくる時間がない
内容が難解になってくると、発表担当者の事前準備のみならず、他の参加者が事前に読んでくるハードルさえも高く感じてきました。1週間で次の章を読む、という習慣をコンスタントにできるのなら、そもそも輪読会の目的達成できてるよな...と思い、何か方法を考えることにしました。
そこで輪読会を隔週での開催とし、空いた週には全員であつまって黙読する日というのを設けてみました。これは一見1人で読んでいるのと変わらないと思いきや、腰が重くなかなか読むぞ!という気にならない人にとってはとてもありがたい機会となったようで、読んでいく中で浮かんだ単純な疑問などはホカホカのうちにその場で解決できるなど、とても有意義な時間となりました。
全員が議論に参加できない
輪読会に慣れてくると、いつも決まったメンバーしか喋ってない状態になってきました。内容が難しくて議論に入っていけないというのもあり、発表者とその周辺の数人だけが発言して終わる回も増えてきました。
そこで全員に発言する機会を設けたいと考え、担当者による発表が終わった後、事前に読んできた知識と発表を聴いたうえでの感想を言うコーナーを設けてみました。なかなか議論に参加できないメンバーにも発言の機会が生まれたことにより、それをきっかけに議論のトピックが生まれたり会話が転がったりもしたので、参加者みんなに「参加しているんだ!」という意識を共有することができたのではないかと思います。
今後に向けて
上記のとおり、参加者の気合いに支えられているこれまでのスタイルは、参加メンバーが変わったときにも使える再現性のあるやり方であったとは言い難いのが本音です。発表担当者の負担や事前に読むための時間確保などといった問題は、わずかなマイナーチェンジでも完全には解消しきれないものでした。
今後の輪読会では、この辺りも改善しながらやっていきたいと思います。
輪読会には発表担当者がスライドを準備するやり方のほかにも、もっとゆるく、集まってみんなで少しずつ読み進めるスタイルもあると聞きます。みんなで数ページ読み進めては議論する、というサイクルを繰り返して、同じペースで読み進め、その日のアウトプットとして読んだ箇所の要約と議論の議事録を残すというスタイルは、これまでの課題を解消しつつ全員で読んでいける感覚を共有できるのではないかと思っています。
まだ実践したわけではないのでこれがどういう効果をもたらすのか、あるいはどういうデメリットがあるのかなど検証できていませんが、なかなか気合の必要なやり方で1年通して続けてこられたというのを踏まえると、いろんなやり方を試す余地があるのではないかと考えています。ゆるすぎて逆に形骸化しちゃうなんてことがないようにしたいですね。
色んなやり方を試したら、またアウトプットしたいと思います。
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