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Block Writing ~テキストブロックを積み上げながら仕事をする~

に公開1

経緯

知的生産の技術 Advent Calendar 2025 - Adventarの16日目です。

今回は「作業の進め方(タスク管理・プロジェクト管理)」をテーマにした記事を書きます。

※Zenn(ITエンジニア向けブログプラットフォーム)の記事として書いているので、Markdown とは何か、Cosense とは何かといった「技術的な用語」の解説はしません。

背景

書きながら仕事したいマン

私は書くことが大好きです。

人生で書いた量 > 人生で喋った量

と言えるくらいには書いてきましたし、これからも書きたい。これは普段仕事をするときも例外ではなく、常に調査や検討や下書きから日記や振り返りまで、書きながら仕事をしたいのです。

書きながらじゃないと仕事にならないマン

また同時に私は、書きながらじゃないと仕事にならないほど不器用だったりもします。

たとえば打ち合わせで喋っただけで脳内で文脈を組んで、タスクも整理して、何のノートも取らずに仕事を進めていく――そんなスタイルのビジネスマンは多いですが、私には難しいです。脳の処理性能や傾向は 人によってだいぶ違います。後天的に鍛えたり鈍ったりするものもありますが、割と先天的に決まるものもあるように感じています。

重要なのは、自分の特性に合ったやり方を使うことです。私にとってのそれは「言語で書くこと」でした(たとえば絵や図を描くことではない)。書いてみることで「現時点の理解」を可視化し、かつそれを常に目に入れながら次を考えることができます。また状況をこまめに書いておけば、次何をすればいいかも一目瞭然です。頭であーだこーだ考える必要がない。書いたものを見ればいい。これはとても楽ですし、確実なのです。

無論、このやり方には「こまめに書く」を行えるだけの素養が要求されます。たとえば一日の少なくない時間をデスクで過ごして、一万文字以上書けるかという話になります。私は幸いにもこの素養を持っていました(あるいは人生の中で磨かれてきました)。

「書く」は生成AI時代だからこそ重要

今のところ、生成 AI はテキスト情報を与えるものです。つまりテキストをつくること、もっと言えば言語化の能力が重要になります。

これには二つの意味があります。

  • 1: 言語化を行えないと、生成 AI に的確な指示を出せない
  • 2: 普段から言語化して書いておかないと、自分に関する文脈を与えられない
    • 与えられないので「より自分に即した」結果が手に入りにくい
    • (自分の文脈を与えていないと、おそらく「当たり障りのない一般論 feats 褒め言葉」しか手に入らないと思います)

引き続き書いて仕事をしたい!

上述した背景 3 つから考えると、私にとって「書くこと」は今後も投資し強化するべき領域であると思いました。

今回ご紹介するのは……

今回はそんな私は普段使っている手法を一つ紹介します。

その名も――Block Writing!

Block Writing

Block Writing(ブロックライティング) と名付けていますが、テキストブロックを積み重ねながら仕事をしていく手法です。

以下、Block Writing を実践するのにポイントを 6 個取り上げます。番号をつけてますが、これは順番に実施せよということではなく、ただの区別です。拾い読みでも構いませんが、たぶん 6 個全部押さえた方が理解や実践はしやすいと思います。

1: 考え方は発散 → 収束 → 蒸留

まず考え方ですが、発散と収束と蒸留をします。

  • 発散:散らかす。情報を集めたり、思いつきを書いたりなど 並べる
  • 収束:まとめる。発散したものを見てさらにひねり出しつつも、構造化を行っていく。整理する
  • 蒸留:みちびく。発散と収束をぐるぐるまわりながら、本質を導きます。本質とは 状況の要約 または ネクストアクション です

2: やり方は「ブロック単位」で書いていく

Block Writing ではテキストブロックを書いていくことで、発散 → 収束 → 蒸留をします。

ここで テキストブロック(または単にブロック) とは、タイトルのついたテキストの塊です。表現の仕方は色々あります。いくつか例を挙げましょう。

例1: Markdown。見出し記法でブロックを表現。

## ブロック1
テキスト テキスト テキスト テキスト 

テキスト テキスト テキスト テキスト 

## ブロック2
- テキスト テキスト テキスト 
- テキスト テキスト テキスト 

## ブロック3
テキスト テキスト 

テキスト テキスト テキスト 

- テキスト テキスト 
- テキスト テキスト テキスト テキスト 
- テキスト テキスト テキスト テキスト テキスト テキスト テキスト 

例2: Markdown。箇条書きのトップレベルをブロックと表現

- ブロック1
    - テキスト
    - テキスト
- ブロック2
    - テキスト
    - テキスト
- ブロック3
    - ...
- ...

例3: Cosense。空行で区切った塊をブロックと表現

3: ブロックの種類は適当に

ここまでの説明だけでも、Block Writing は可能です。要は適当にブロックをつくりながら発散、収束、蒸留をすればいいのです。

しかし、これだけだとわかりづらいので、ブロックの種類を定めます。

まずは以下の基本ブロックを押さえます。

  • Action ブロック(a)
    • アクション、つまりは「やること」を書くブロック
    • タスクや TODO と言い換えても構いません、言い方はどうでも良い
  • Brast ブロック(b)
    • ブレストブロック、特にひとりブレストとして何でもあーだこーだ書くブロック
    • Block Writing の最重要ブロックです
      • まずはとりあえず Brast ブロックをあれこれ書いてみて、そこから見えてきたものを別ブロックに切り出すのが鉄板ムーブです!
  • Concept ブロック(c)
    • 概念ブロック、「なんかこれ用語にした方がいいかも」「こういう概念があるよなぁ」的なものを書くブロック
    • わかりづらければ用語ブロックでもいいです
  • Direction ブロック(d)
    • 方向性ブロック、「こういう感じで進めるべき」「これとこれはやらないべきだよなぁ」など方向性に関することを書くブロック
    • Action だけだと「思考停止してタスクをこなす奴隷」になりがちですが、この方向性ブロックも意識的につくっていくことで奴隷化を防げます。主体性を(もちろん状況次第ではほとんど通用しませんが)取り戻せます

ブレストブロックであーだこーだと書き殴りつつ、見えてきたアクションや概念や方向性もブロックをつくって書いていく感じです。

続いて、以下ブロックも使うと便利でしょう。

  • Reference ブロック(r)
    • 書籍名、URL、その他資料の所在を書くブロック
    • 所在を書き並べるリンク集であり、コメントや勉強ノートなどは書きません
      • 後者を書きたい場合は別にブロックをつくりましょう
  • Context ブロック(cx)
    • 文脈ブロック、今置かれた状況や背景や前提などを書くブロック
    • これも何気に最重要ブロックです。文脈がわからないと要らないことをやってしまったり、逆に必要なことをやり漏らしてしまう からです
      • 文脈は通常誰も教えてくれません。仮説でもいいので、自分の中で整理できておくと中長期的に見て楽できます。文脈はこうだから、こうすればいいよな、といった判断がしやすくなる
  • Kento ブロック(k)
    • 検討ブロック、テーマを一つ決めて、それについて検討するブロック
    • 必ずテーマを一つ決めます。また必ず結論を出します(「よーわからん」や「だるいのでいったん中断」でもいいので)
    • Q: ブレストブロックとの違いは?
      • Ans: あまりないですが、私の使い分けを……。
      • ブレストブロックやテーマも決めず、結論も出すとは限らず本当に散らす感じです
      • 一方、検討ブロックはテーマを決めますし、結論もまがいなりにも出します
        • 個人的にはテーマに対して結論を出していくという「前進感」が大事だと思っていて、なるべく検討ブロックはつくるようにしています

ここまでで発散と収束はできると思います。最後は蒸留のために、以下ブロックを使います。

  • Summary ブロック(s)
    • 要約ブロック、ここまでの状況を端的に要約したブロック
    • 「要約した内容」と「ネクストアクション」を書く

なお、ネクストアクションとは 具体的に実行可能な「やること」 です。見えない場合であっても、テキトーでいいので何かしら定めます。あるいはネクストアクションが出ない場合、ブロックの積み上げが足りていない可能性が高いです。

4: 典型的な流れ

次のとおりです。

  • サマリーサイクル
    • 1: 発散や収束をする
    • 2: 要約ブロックで一区切りをつける
  • このサイクルを n 回回します

つまりサマリーブロックが n 個つくられます。上手く蒸留できたなと思えたら、そこでおしまいです。たとえば正式なプロジェクトが始動する(≒スケジュールの奴隷になる)フェーズになるでしょう。

別の言い方をすると、Block Writing はそうなる前段階で確度を固めるための探索的な営みと言えます。もちろん、プロジェクト活動やその他具体的な作業の中で、部分的に Block Writing を使うこともできます。たとえば「2 時間のスロットを確保して、サマリーブロックを一つつくる!」とやってもいいわけです。

5: 生成 AI との連携

Block Writing の良いところは、すべてがテキストブロックとして残っていることです。

ですので生成 AI に与えてあれこれ対話できます。ChatGPT にコピペしてもいいですし、Markdown ベースで VSCode で管理しているのなら Cline など AI エージェントを走らせて対話したり指示を飛ばしたりもできるでしょう。

6: ブロックの書き方は自由

テキストエディタでもいいですし、Cosense や Notion のようなクラウド型ノートアプリでもいいです。もちろんスマホアプリでもいい。

ただし個人的なおすすめは 遅延が少なくて、画面が広くて、かつ大量に書ける手段 です。たぶんテキストエディタか IDE になるんじゃないかと思います。一方、こういう原始的な手段だと画像が扱いづらいです。

画像その他動画の挿入もしたければ、Cosense や Notion といったノートアプリに軍配が上がります。しかしこれらはネットワーク越しに通信していますので、重いことがあります。0.x 秒以上の遅延があったりします。たくさん書きたい人にとって、これは許容できないストレスになる可能性があります。また会社次第ではそもそもクラウド利用(特に個人で使う分)が厳しいこともあります。

私がよく問うのは

「1ブロック1000文字が50ブロック並んだもの」を扱うとしたら、どうやるか?

です。1ファイルに50ブロック書くでもいいですし、10ブロック1ページを5ページつくるでもいいでしょう。やり方は問いませんが、とにかく、この情報量をサクッと扱えるだけの手段が必要です。

おわりに

書く仕事術として Block Writing を紹介しました。

単にテキストの塊を積み上げるだけですが、発散→収束→蒸留を意識するのと、ブロックの種類を決めて使い分けること、そして特にサマリーブロックをつくることでいったん区切ることがポイントです。

あらゆる状況に通じるものではありませんが、正解がなくて自分で決めなければいけないような状況では役に立つのではないでしょうか。皆さんもぜひ使ってみてください。それではまた!

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