忘迷怠、熱夢集、調動脈
タスクと向き合う際に意識すると良い観点を端的にまとめた
忘迷怠
- 忘れる
- 迷う
- 怠ける
普段の細々としたタスクはこれを意識すると良い。
まずは忘れないこと。カレンダーやリマインダーなど人類の発明に頼るといい。あるいは「一日何十回も見る場所」があるならそれでもいい(そこに書きさえすれば忘れることはない)。
迷わないことも大事だ。整理整頓をするとか、不要なモノを捨てるとか、今必要なものだけ視界に入れる(明日以降やるタスクは tomorrow.md に書いておいて開きっぱなしにしないとか)といったことでカバーできる。ミニマリズムとか断捨離とかいった日常生活向けのメソッドもあり、まずはそこで勘をつかむのも良い。
もうひとつ、怠けないことも考えた方が良い。忘れず迷わない状態になっても、怠けていては何も生み出せない。ここは主に「環境」の話になる。わざわざ出社したり、カフェにでかけたりといったことはよく知られているテクニックだろう。
熱夢集
- 熱中 …… 熱を持っている
- 夢中 …… それだけを見ている
- 集中 …… 高いパフォーマンスを出している
単に忘迷怠を防げればいいかというとそうでもない。どれだけ継続できるかとか、深く潜れるとかといった話もある。
熱中とは熱を持つこと。情熱と言ってもいい。これは「強烈な必要性」か「興味」によって生まれる。基本的に環境か嗜好の問題であり、努力でどうにかできるものではない。ただし、偶発的に出会ったことで持つこともある(いわゆる「一目惚れ」とか)。
夢中とはそれだけを見ていること。基本的に作業を開始できれば作業興奮できるので、これは難しくない。が、継続的に続けるとなるといろんなノイズや障害に阻まれる。「1日3時間何にも誰にも邪魔されずに続ける」にはどうすればいいかを考えて対処する、といったアプローチが必要になる。仕事と家庭に忙殺されているなど「無理ゲー」なケースも少なくない(睡眠時間削れば短期的には出来るが……)。あと、ADHDの過集中など特質によってはデフォでこれになってしまうケースもある。
集中とは「現時点の自分が出しうる最高」にできるだけ近いパフォーマンスを出すこと。どうすれば集中できるかは千差万別人それぞれなので、自分のやり方を模索しなきゃいけない。スポーツなどで見られるルーティンパフォーマンスもまさにそうだろう。身近なところで言えば朝型・夜型の違いもある。他にもポモドーロテクニックなど「機械的な手続きで短時間だけ頑張ってみる」路線がマッチする人もいるし、何時間も脳内でぐるぐる回り続けるのがベストという人もいるし、とにかく人次第。さらに言えば、取り組む課題次第でも変わる(たとえばとにかく手を動かすシチュ、時間内にできるだけ連想するシチュ、デバッグや捜査など手かがりから真実を究明するシチュは全然違う)。
調動脈
- 調子
- 動機
- 文脈
忘迷怠を防ぎ、熱夢集を出せるようになったとしても、まだ足りない。私達は人間であって機械ではないからだ。人間であるがゆえに考えるべきことがあり、その一つが「調動脈」である。
調子とは Condition のこと。体調と言ってもいいだろう。体調は、悪い時に「普段の自分が出せなくなる」「余計なことをしてしまう」傾向があるため、悪い時にどうするか(何をしないか)を考えなくてはならない。また悪い時にしなくていい状態を担保するための努力(環境への働きかけや自制する勇気)も要する。風邪になった時はさすがにわかりやすいが、そうでなくとも体調が足を引っ張る(引っ張っている)ことは多い。
動機とは Motivation のこと。いわゆるモチベ。何がモチベになるかは人次第であり、状況次第なので、モチベについては「レパートリーをたくさん用意しておいて取捨選択する」のが基本である。あとは、本なり人なり環境なり「刺激を与えてくれるもの」に頼ることも重要であろう。早い話、人類の叡智はことわざに詰まっているが、ことわざを知っているからといってそれらすべてを応用できるわけではない。ふとした刺激から思い返す経験はよくある。
文脈とは Context のこと。何をするにあたっても、そのコンテキスト(背景や前提や制約)を理解することは重要である。難しいのは、あとで理解できるようコンテキストを「いかに残すか」であろう。しかし、コンテキストはそもそも本質的に膨大・煩雑であることも多く、結局把握はある程度に留めて大胆な取捨選択や決断を下す場面も少なくない。よく「正論が正しいとは限らない」というが、それはコンテキストが足を引っ張るからだ。だからこそ、コンテキストを把握し、残し、じっくり向き合えるようになると強い。
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