ソフトウェアエンジニアとしての職務経歴書の書き方を考えました
この前職務経歴書を書いたので、そのとき色々考えたり調べたりしたことを書きます。
一般的な転職活動の職務経歴書は微妙だった
僕の転職は二回目です。
一回目の転職のときは、リクルートエージェントのサービスを使って転職しました。
リクルートが公開している、一般的な職務経歴書のサンプルは↓こんな感じです。
Wordで表をつくって、編年体に、何をやってきたかを書くことで、自分の職務経歴を書きます。
ただ詳細はちょっと長くなるので、職務経歴書の冒頭に数行でサマリーが書いてあって、親切ですね。
一般的な日本の職務経歴書というのは、このフォーマットで問題ありません。
実際一回目の転職のときは僕もこのフォーマットで転職しています。
二回目の転職活動も、この職務経歴書に二社目の経験を追記すればいいか、と思っていましたが、
見れば見るほどこのフォーマットで書いた自分の職務経歴書が微妙に感じてきました。
何が微妙なのか
一番問題なのは、読んだときにその人間のスキル感が具体的にわからないことでしょう。
たとえば「5年間Javaで開発してきました!」と書かれていても、
たった1年ですごいところまで伸びてしまう人もいれば、5年やっても全然わかってない人もいることを知っているので、
正直言ってそれだけでは具体的なスキル感が把握できません。
↑こちらのQiitaの記事でも、同じような問題提起があります。
もし仮に僕が面接官をやって、エンジニア採用をするならば、一番興味があるのは、その人を実際にチームに入れたときにどのように開発に貢献してくれるかです。
初学者なのか、一人前なのか、凄腕なのかの三段階ぐらいでまず大雑把に書類を見ると思います。
リクルートのサンプルで開発経験を書いてみると、不思議なことに初学者・一人前・凄腕のどれにあたるのかすらよくわからない職務経歴書ができあがります。
そのため、アピールポイントがぼやけてしまいます。
職務経歴書に書かなければいけないこと
ゼロベースで職務経歴書を考えてみました。
まず書かなければいけないことは、本質的には下記の4点に収束すると思います。
- 何ができるか(能力)
- これまで何をしてきたか(過去の実績)
- これから何をしたいか(将来の方向性)
- どんな人間なのか(人間性)
中途採用においては、まず「何ができるか」(能力)が問題となります。
そして「これまで何をしてきたか」という過去の実績が、能力の証明になるので、個人的には中途採用の職務経歴書においては、この二つがメイン情報と言っていいんじゃないかなと思います。
「これから何をしたいか」「どんな人間なのか」は、能力以外の重要情報です。
会社が将来的にマネージャーになって欲しいと思っているポディションに、自分は一生エンジニアとして現場でコードを書き続けたい、というキャリアプランの人が応募してきたら、
どんなに能力が高くともミスマッチなので、採用すべきではありません。
また、能力が高くても、人間的に難がありすぎると、採用した後で困ることになるでしょう。
なるべく能力が高くて、性格もいい人と働きたいですからね。
これは余談ですが、新卒採用だと、「何ができるか」「これまで何をしてきたか」というところがどうしても弱いので、
ひたすらこれから何をやりたいかと人間性をアピールすることになります。
ただ人間性のアピールなんて、基本的には自分で言うもんじゃないと思うので、「私はいい人間です」という悪魔の証明を延々しなきゃいけないのは地獄感ありますよね。
Notion x Markdownでつくった
さて、以上のような考えから、職務経歴書をゼロから書き直すことにしました。
インターネット上には、自分の職務経歴書をオープンしているエンジニアがいるので、そういう方をパラパラ見て、参考にしました。
(本記事の最後に、個人的にいいと思ったものを、「参考になるサンプル」としてまとめてリンク貼っておきます)
まずWord(正確にはPages)で職務経歴書を作成するのをやめました。
Wordのドキュメントが悪いということはないんですが、書きづらさを感じました。
iPadとApple Pencilを使って、こういう感じで書きたいというイメージを書いてみると、Notionで実現できそうなことに気づきました。
また、内容的にMarkdown形式で書いたら、キレイに整理できそうだったので、そっちで書くことにしました。
転職活動で使うことを考えると、最終的なアウトプットはPDF形式で出力する必要があるんですが、
普段あまり使わない機能ですが、Notionのエクスポート機能でPDFファイルとして出すことができます。
職務経歴書のテンプレと化している編年体の表も、Markdownの表で書けないことはないんですが、
Markdownの表って結構記法がしんどくて、別に表である必然性が存在しないことに気づいて、Markdownの見出しとして書くようにしました。
# 職務経歴
## A社(xx/xx - xx/xx)
## B社(xx/xx - xx/xx)
Notionには目次機能があって、PDFに出力したときも残るので、見出しの並びを見れば編年体として理解できます。
実際のフォーマット
Notinoのページを全公開にして見せてもいいんですが、僕にもプライバシーというものがあるので、目次だけ書きます。
# プロフィール
# 経歴サマリー
# 職務経歴
## B社(xxxx/x - )
## 業務外活動
## A社(xxxx/x - xxxx/x)
(以下略)
# スキル
## iOS開発
(以下略)
# 自己PR
## アピールポイント1
## アピールポイント2
## アピールポイント3
# 今後のキャリアプラン
## プラン1
## プラン2
## プラン3
# Web上のアカウント
基本的には面接官が一番気になるであろうことから順に書く意識で書きました。
そういう意味ではスキルが先頭にあってもいいんでしょうけど、あんまり最初からスキルを書いてるドキュメントは少ないし、
不自然な感じが出るので、経歴→スキル→人間性→将来→おまけという順で書きました。
Web上のアカウントは書いても書かなくても、というか今思うとプロフィールに入れちゃってもよかったなと思いますが、
応募する会社がWeb系企業なら、書いた方がいいかなと思います。
この辺については、「インターネット上の発信をどうするか」で後述します。
大きなことだけを書く
具体的に書く内容についても、結構悩みました。
やってきたことを全部熱こめて書いちゃうのも一つの手でしたが、個人的には簡潔にまとめたい気持ちがありました。
たくさん実績を書くと、なんかすごいアピールできた気持ちになりますが、
読み手からすると、実績の個数が増えれば増えるほど、一つ一つの印象は薄まるのが実際なんじゃないかと思います。
個人的には、1つのテーマに対して、具体的なエピソードは3つくらいがちょうど良くて、
それを超えると受け手の認知の問題で、4つ目以降は薄まっていくのではないかと思います。
「職務経歴 - B社」に書く内容について、ネタは全部で4つほどありました。
が、2つは切りました。
似たようなネタは、その中で一番強いものだけを採用することにしました。
聞かれたら口頭でボツネタを話せばいいので、引き出しにもなります。
この辺の思考プロセスは、バブルソートのアルゴリズムと似ているかなと思いました。
一年の中で大きな開発ネタをトップスリーくらいまで思い浮かべます。
で、職務経歴書書くタイミングで毎年のトップスリー同士を競わせて、通年のトップスリーが決まるわけです。
この「長い期間を短い言葉に要約する」というのは、一つのスキルであるようにも思います。
はじめてやると、思い出補正があって、どうしても一つ一つのタスクを長々と書きたくなります。
自分のやったことを、正確かつ詳細に記述するのは、けして悪いことではないですが、
それを書く先は日記か自伝本であって、職務経歴書の読み手はまだそこまであなたに興味がないはずです。
プロダクトベースで書くとすっきりした
で、実際書いてみると、書く内容がバラバラで、視認性が悪くなりました。
通年で最も大きかった話題を選んでいるので、何も考えず並べてみるとおさまりが悪いです。
どう書くと視認性良くなるかを考えて、プロダクトベースで書くことにしました。
こんな感じです。
この書き方のおかげで、パッと見で「あ、このアプリの話題をしているのね」というのが一発でわかるようになりました。
アイコン + 説明文というフォーマットで職務経歴を書いた都合上、
モバイルアプリ以外の実績を書くときもアイコンを用意することになりましたが、前職の会社ロゴを使うなどして上手いことやりました。
またこの書き方のメリットとして、社内開発と個人開発をまとめやすくもなりました。
僕は会社で2つのiOSアプリを担当して、個人で1つのiOSアプリをリリースしたので、職務経歴の最初はそのアプリアイコンがトントントン、と並んでる感じです。
こうして職務経歴書いていて感じたことですが、ソフトウェアエンジニアにとって、会社での開発と個人開発との間には本質的には違いがないんだなと思いました。
時間的に長い割に大事じゃないことはダイジェストで書く(省略はしない)
さて、今まではアピールネタをどう整理して伝えるかを話題にしてきました。
ただ人生、そういうポジティブなネタばかりではないと思います。
特に僕の場合、キャリアチェンジでiOSエンジニアになったので、一社目のキャリアがiOSエンジニアとしては完全に関係がない話になってしまいます。
どうでもいい話といえばどうでもいい話なので、キレイな書類にするためにはカットしたいくらいでしたが、
さすがに数年単位で働いた過去は消せないので、書かない訳にはいきません。
前回の職務経歴書ではそこそこ詳細に書いていたのですが、そこはバッサリカットしました。
代わりに前回の職務経歴書で「概要」として書いていた部分を説明として採用しました。
この手のことはダイジェストで書く他ないのかなーと思います。
テレビ番組や結婚式のムービーみたいな感覚です。
インターネット上の発信をどうするか
インターネット上の発信を書くか書かないか、書くとしたらどのように書くかはだいぶ迷いました。
結局迷った末に、個人サイトをつくりました↓
この個人サイトのURLを載せて、「インターネット上ではこんなことやってます」的な文言で書きました。
エンジニアの中では実名顔出しで活動している人もいるので、その人はもっとやりやすいだろうなと思いました。
ただ僕は、プライバシーノーガード戦法は取りたくないですね。
この辺の価値観は人によるかとは思います。
匿名アカウントによる個人開発や情報発信のまとめ方の一つアイディアとして、個人のポートフォリオサイトつくるのはアリかと思いました。
それこそ別にNotionでページつくって公開するでもよし、↓みたいなサービスを使うもよし。
僕の場合、Web技術を触ってみたい気持ちがあったので、自分でつくりました。
余裕があれば、そっちの方がたぶんソフトウェアエンジニアとしての技術自慢ができるのでいいと思いますが、
制作に一ヶ月くらいかかったので、すぐに転職したいって人には向いてないかもしれません。
単に転職目的のしょーもないサイトというのではなくて、今後とも開発バリバリやっていったときに、
一年ごとに実績を追記していくと、いい感じに自分の成長を感じられて、モチベーションになるのかなと思っています。
やっぱ自分でつくった方が愛着はわく気がしますね。
※前提
主語がデカくなるのを防ぐために、前提を明記します。
- SIer,SESなどの業務系のIT企業ではなく、BtoC向けのIT企業への応募について書きます
- 未経験からの応募ではなく、2年の実務経験がある人間の転職活動です
- 転職活動全体は扱いません
- あくまで「職務経歴書」という書類を書くためのノウハウにテーマを限定しています
参考になるサンプル
Notionで作成している例。Webフロントエンドの方ですね。
Notionで作成している例。こちらはiOSエンジニアの方。
Githubで作成・管理している例。
個人サイトとして公開する例。
キャリアの長い方。
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