AWS Database Migration Service(DMS)を使ってデータ移行をしてみた
こんにちは!
以前あるDBを特定のDBに統合する作業を行った際に、AWS Database Migration Service(DMS)を初めて使ってデータ移行をしてみたので、DMSを使ったデータ移行の流れや、感想をまとめていきたいと思います!
今回統合したDBの環境構成です。
役割 | データベースエンジン | バージョン |
---|---|---|
元となるDB | MySQL Community Edition | 5.7.44 |
統合先のDB | Amazon Aurora MySQL | 5.7 |
なぜDMSを選んだのか
DMSを選んだ主な理由は、レプリケーション機能が使えるからです!
元となるDBに書き込みが発生しても、レプリケーション機能を使えば差分をリアルタイムで同期できます。
そのため、以下のような手順を踏んだ際に、環境変数を差し替えるときだけメンテナンスモードにすればよく、ダウンタイムを最小限にできると思い選びました。
- DMSで移行タスクを作成
- レプリケーション機能を利用して、対象テーブルへ移行(移行中、元となるテーブルに書き込まれても、同期してくれる)
- メンテナスモード開始
- 環境変数の差し替え(元のDBを参照してる箇所を移行先のクラスターに変更)
- メンテナンスモードを解除して完了
DMSで選べる移行タイプとテーブル作成オプション
移行タスク
移行タスクを作成する画面を確認すると以下のように、移行タイプを複数選択できました。
移行タイプ | 説明 |
---|---|
移行(Full load Only) | ソースエンドポイントからターゲットエンドポイントへ1回限りの移行を実行します。 |
移行と複製(Full load Only and CDC) | ソースからターゲットへ1回限りの移行を実行し、その後、ソースからターゲットへデータ変更のレプリケーションを継続する。 |
複製(CDC only) | 1回限りの移行は行わず、ソースからターゲットへのデータ変更のレプリケートを継続する。 |
ターゲットテーブル準備モード
またターゲットテーブル準備モードで、何もしないを選択しておくことで、対象となるDBに移行対象のテーブルがなければ勝手に作ってくれるようです。
ターゲットテーブル準備モード | 説明 |
---|---|
何もしない | ターゲットに既にテーブルが存在する場合、それらは影響を受けません。そうでない場合、AWS DMS は新しいテーブルを作成します。 |
ターゲット上のテーブルを削除 | AWS DMS はテーブルを削除し、代わりに新しいテーブルを作成します。 |
切り捨て | AWS DMS はテーブルとそのメタデータを残しますが、データは削除します。 |
実際にぶつかった壁
DMSのレプリケーションはbinlog_format=ROWじゃないと動かない
移行タイプを「移行と複製(Full Load and CDC)」に設定してタスクを実行したところ、以下のようなエラーが、、
[SOURCE_CAPTURE ]E: Error Code [10002] : MySQL binary Logging must use ROW format [1020418] (mysql_endpoint_capture.c:433)
ドキュメントを見てみると、以下のように書いてありました。
To use CDC, make sure to enable binary logging. To enable binary logging, the following parameters must be configured in MySQL's my.ini (Windows) or my.cnf (UNIX) file.
パラメータ | 説明 |
---|---|
binlog_format | このパラメータをROWに設定します。 binlog_formatがSTATEMENTに設定されている場合、ターゲットにデータをレプリケートする際に不整合が発生する場合があるため、レプリケーション時にこの設定を推奨します。 また、binlog_formatがMIXEDに設定されている場合、データベース・エンジンは自動的にSTATEMENTベースのロギングに切り替わるため、ターゲット・データベースに矛盾したデータを書き込む可能性があります。 |
レプリケーションをさせるにはbinlog_format=ROW
を設定する必要があるとされています。
確かにパラメータグループを確認すると、バイナリログ形式はMIXEDになっていました。
静的パラメータを変更する際に、クラスターを再起動する必要があり、ダウンタイムが生じてしまうので、レプリケーションは断念しました。
DMSでテーブルを自動生成すると、セカンダリインデックスが引き継がれない
DMSを使ってターゲット側に自動でテーブルを作成すると、テーブル自体は生成されますが、セカンダリインデックスが作成されませんでした。
これも調べてみたところ、以下のように記載されてました。
ソースエンドポイントとターゲットエンドポイント – ソースデータベース内のどの情報とテーブルをターゲットデータベースに移行する必要があるかを確認してください。テーブルとプライマリキーの作成を含む基本的なスキーマ移行 AWS DMS をサポートします。ただし、ターゲットデータベースでは、セカンダリインデックス、外部キー、ユーザーアカウントなどは自動的に作成 AWS DMS されません。
今回の対応策
レプリケーションを諦め、一度限りの移行にし、データを移行する前にテーブル定義を対象となるDBに事前にテーブルを作成する対応を行いました。
以下のような手順で対応しました。
- 対象となるDBに移行したいテーブルのテーブル定義を事前に用意する
- メンテナンスモード開始(元となるDBに新たに書きこみをさせない)
- DMSを使って一度限りの移行を行う
- 環境変数の差し替え(元のDBを参照してる箇所を移行先のクラスターに変更)
- メンテナンスモードの解除
DMSを使ってみた感想
DMSにはテーブル自動作成の機能がありますが、セカンダリインデックスが引き継がれず、結局mysqldumpなどで事前にテーブル定義を用意する必要がありました。
せっかく元となるテーブルを自動作成してくれるなら、完璧にコピーして欲しかったなと思いました。
また、今回レプリケーションが使えず、一度限りの移行にしたため、最初からdumpで良かったのでは?とも思いましたが、データ移行中に、各テーブルへの移行状況をコンソールから確認できたのが良かったなと思っています。
最後に
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