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IP層とTCP層の役割とは? – 通信の基本を理解しよう

2025/03/04に公開

インターネット通信において、データがどのように送受信されるのかを理解するためには、IP(インターネットプロトコル)とTCP(Transmission Control Protocol)の関係を知ることが非常に重要です。この二つのプロトコルは、インターネット上でデータが正しく、効率的にやり取りされるための基本的な仕組みを提供しています。

本記事では、IP層TCP層がどのように連携して通信を実現しているのかを解説します。


1. IP層とは? – 通信の送り手と受け手を識別する

まずはIP層(ネットワーク層)について見ていきましょう。IP層は、インターネット上でデータをどこに送るかを決める役割を果たしています。

1.1 IPの主な役割

  • IPアドレスを使って、送り手(送信者)と受け手(受信者)を識別します。
  • データを送信する際に、最適な経路を選び、データが正しい場所に届くようにします。これをルーティングと言います。

1.2 IP層の特徴

  • コネクションレス: IPは接続を確立しないので、データが必ずしも順番通りに届くとは限りませんし、データが欠落した場合も再送信しません。
  • データの配送: IP層は、どのネットワークを経由して、どこに届けるかを決定しますが、データの正確性や順序は保証しません

IP層の役割は、データをインターネット上の目的地に届けることですが、そのデータが届く順番や完全性に関しては何も管理していません。


2. TCP層とは? – データを正確に届けるためのルール

次に、TCP層(トランスポート層)について説明します。TCP層は、IP層で送信されたデータを信頼性の高い形で通信できるようにするために、さまざまな管理を行います。

2.1 TCPの主な役割

  • 信頼性の提供: TCPは、データが順番通りに、かつ欠けずに届くことを保証します。
  • 接続の確立: 送信者と受信者の間で、接続を確立(3-way handshake)した上でデータの送受信が行われます。
  • エラーチェックと再送: 受信したデータにエラーがある場合、再送信をリクエストして正確なデータの送受信を実現します。

2.2 TCP層の特徴

  • コネクション型: TCPは、データの送受信前に、送信者と受信者間でコネクションを確立します。これにより、両者が通信を開始する準備が整ったことを確認します。
  • 順序保証と再送: TCPでは、送信したデータが順番通りに届くように管理します。また、もしデータが失われた場合には、再送信されるので、通信が確実に完了します。

2.3 例:ウェブページの表示

たとえば、ウェブサイトを開いたとき、TCPはその通信が正確で順番通りに行われるよう管理します。ブラウザからウェブサーバーにリクエストを送り、TCPがデータの送受信の信頼性を確保し、最終的にブラウザにウェブページが表示されます。


3. IP層とTCP層の関係

ここまで、IP層TCP層がそれぞれどんな役割を果たしているかを見てきましたが、これらはどうやって連携して通信を実現しているのでしょうか?

3.1 IPとTCPの違い

  • IP層は、データの送り先を決定し、どこに送るかを管理しますが、データの順序や信頼性を保証しません。
  • TCP層は、データの順序を保証し、通信の信頼性を確保します。もし、データが欠けていれば再送信を行い、正確なデータが届くことを保証します。

3.2 どのように連携するか?

  • IP層データを適切な場所に送るために、送り先のIPアドレスを決めますが、そのままではデータが正しい順序で届くことは保証されません
  • そこで、TCP層がその上に乗って、送信したデータが順番通りに、エラーなく届くように管理します。

つまり、IP層がデータの送り先を決め、TCP層がそのデータが正しく届くことを保証するという協力関係が成り立っています。


4. たとえ話:送信者と受信者のやり取り

IP層TCP層の役割を、手紙を送るシチュエーションで例えてみましょう。

  • IP層: 手紙の宛先を決める役割です。住所を知っているだけで、手紙の順番が正しいか、ちゃんと届くかは気にしません。
  • TCP層: 宛先が正しいだけではなく、手紙がちゃんと届くように管理します。途中で手紙が紛失したり順番が間違って届くことがないようにチェックします。また、もし手紙が届かない場合には、再送を依頼します。

このように、IP層TCP層は、それぞれ異なる役割を持ちつつ、協力してデータを安全かつ確実に送受信しています。


5. まとめ

  • IP層は、データをどこに送るかを決定し、ネットワーク上での宛先決めルーティングを担当します。
  • TCP層は、データが順番通り、かつ正確に届くことを保証し、再送やエラーチェックを行います。
  • IP層とTCP層は協力して、インターネット通信を効率的かつ信頼性高く実現しています。

これらの層がうまく連携することによって、私たちはインターネットを使って安心してデータを送受信することができるのです。

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