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Microsoft Teams使い方アンチパターンまとめ

2022/12/11に公開

TL;DR

  • コミュニケーションツールであるTeamsを正しく使うための、使い方のアンチパターン及びその改善案集。理由付き。
  • エンジニア/マネージャーどちらにも理解できるよう、できるだけ平易に記述
  • アプリはMicrosoft製の一部のみ使用。3rd Party製アプリの使用はスコープ外。ついでに他製品(vs Slack等)との比較もスコープ外。
  • コメント歓迎します。著者として納得いくもの&ベストエフォートですが適宜追加/修正させていただきます。反対意見も参考にさせていただきます。

はじめに

なんか作ろうの会の原田です。

コミュニケーションツールとしてTeamsを採用している会社は多いと思います。
私が所属している会社でも用いられていますが、使い慣れている人そうでない人色々居るのが実情です。
「使い方はよくわからんがこれでええやろ!」と思っていたらアンチパターンな使い方になっていたら悲しいですよね。
アンチパターンが横行することで、悪貨は良貨を駆逐することにならないよう、よくない使い方(アンチパターン)を列挙しようと思います。

なお、項目はTeamsの使い方ポリシーの設定やTeamsの設定など技術的に解決できるものだけをUpします。
また、ただの愚痴やマナー講師にならないように何が困るのかという理由も付記します。

記事の誤り訂正やこんなものもあるよ!というものがあればぜひコメントください。適宜追加します。

アンチパターンの観点

迅速かつ円滑なコミュニケーションを阻害するものを特にアンチパターンとしています。Teams導入目的がそもそもコミュニケーション促進である場合が殆どだと私は考えているためです。
その他はポリシーやTeams上で制限されていることをなどを考慮して、NGのものを挙げています。
”大切なのは「仕事を迅速に完了させるための意志」だと思っている”[1]という考えからポリシーまで踏み入っています。

また、Teamsに組み込めるアプリについてはMS公式のものだけ取り上げています。3rd Partyのものは取り扱っていません。セキュリティ上使用が制限されている場合が多いためです。

アンチパターン一覧

Teamsの運用ルールを見直さない

何が困るのか(Why)

最初に決められたルールが適切でない場合、いつまでも修正されない。

改善案(How to solve)

チームの管理者が主体となり、KPTフレームワークなどを用いて定期的にルールを見直す。
チームが大きいなら、チャネルごとに主担当を決めてもいい。
新しいものをまだ理解できていない人が居ると考え、継続的に会話をしていけばOK[2]

プロジェクト関連ファイルを全部TeamsにUpする

何が困るのか(Why)

チームごとのファイル容量制限に引っかかる可能性がある。
共同編集する必要のない重いファイルが容量を逼迫する。

改善案(How to solve)

TeamsにUpするファイルは同時編集による共同作業したいものに極力限定する。
表形式の管理台帳などはOK
ひとりしか編集しないようなファイルはUpしない。
Teamsはファイルサーバとしての利用に適さない。[3]

関連情報

本記事内:Teamsの運用ルールを見直さない
MS公式:Teamsの制限と仕様>ストレージ

ファイルを編集したら別名ファイルにしてTeamsに保存する

何が困るのか(Why)

最新ファイルがわからなくなる。チームごとのファイル容量制限に引っかかる可能性がある。
共同編集する必要のない重いファイルが容量を逼迫する。

改善案(How to solve)

ファイルをいちいち作らない。Teams上のExcelファイルなら標準で誰がどこを編集したのかを「校閲->変更箇所の表示」で確認できる。

関連情報

本記事内:プロジェクト関連ファイルを全部TeamsにUpする
MS公式:Teamsの制限と仕様>ストレージ |

回答を他人に求めるが、リアクションを使わせない

何が困るのか(Why)

質問側がテキストで回答を貰おうとするケースがあります[4]がこれは困ります。
回答者側は返答内容をいちいちテキストで返さないといけないのがつらい。
質問側も返答を確認する際にいちいち読まなければならないので管理もつらい。

改善案(How to solve)

回答側は投稿へのリアクションで済ませる。参加は👍不参加は😢などでOKとする。
そしてしばらくして未リアクション者にメンションして投票を促せばOK。
失礼では?と思う人もいるかもしれないが、迅速さ円滑さを求めるとリアクションで済ませるのは正しい。[5]

関連情報

本記事内:入力が必要な回答を他人に求めるが、Formsを使わない

入力が必要な回答を他人に求めるが、Formsを使わない

何が困るのか(Why)

必須入力項目があるのに、いちいちテキストで返さないといけないとなると、回答側の返答内容が漏れることがある。返答を確認する側もまた同様。

改善案(How to solve)

Formsを用いて入力を促す。
チャネルごとにフォームを任意の数作成できるので、適宜作成する。
Teams上でいつ誰が入力したかの情報が標準で取得できるので、必要最小限の情報だけ入力するフォームにすると良い。

別解としてTeams上のExcelを用意して共有、入力してもらうでも可

関連情報

本記事内:回答を他人に求めるが、リアクションを使わせない
MS公式:共同でフォームを作成、編集、確認する

「お疲れ様です」を投稿文面に含める

何が困るのか(Why)

情報を早く取得したい人には不要な情報。
”お疲れ様です。○○です。”だけで詳細表示ボタンを押さなければ投稿内容を確認できないものはWorst.

改善案(How to solve)

用件/結論から書く。
求めているものは迅速さです。

関連情報

本記事内:「お疲れ様です」だけをチャットに入れてその後長文を書き始める

「お疲れ様です」だけをチャットに入れてその後長文を書き始める

何が困るのか(Why)

相手の時間を奪うので集中の妨げになる[6]

改善案(How to solve)

相手とのやり取りは非同期になると考え、用件/結論を書いておく。
文章化すると難しいので後で会話したいですと伝えるなら良いかも(正直相手やプロジェクト状況次第)

関連情報

本記事内:「お疲れ様です」を投稿文面に含める

返信ではなく新しいスレッドで返信する

何が困るのか(Why)

投稿が流れる
時系列がわからなくなる
チャネルがすぐにいっぱいになる

改善案(How to solve)

チャネル内に「〇〇について」という投稿をしたら、その内容についてのレスポンスは「返信」を用いる。
適宜スレッドを作ってそこで話をすると良い。

メンションに敬称をつける

[7][8]

何が困るのか(Why)

@空条Q太郎さんの「さん」があると読みにくい。
敬称をつける人がいると、つけない人が無礼者に見える

改善案(How to solve)

@空条Q太郎で良い。
「さん」がないのは無礼ではなく、迅速に事を運ぼうとしているだけと考える。

cc:とつけてメンションする

[9]

何が困るのか(Why)

cc: @空条Q太郎と書いても結局メンションされcc:と書く意味が無い。

改善案(How to solve)

@空条Q太郎で良い。
通知されるのは同じなので意味がない。
小グループへの同報送信ならタグへのメンションの方が生産的

関連情報

本記事内:関係者が限られている内容なのにチーム名メンションで投稿する

軽微な内容なのにチーム名メンションで投稿する

[10]

何が困るのか(Why)

設定次第ではあるがデスクトップ通知が来てしまい、多くの人の集中の妨げになる。

改善案(How to solve)

チーム名メンションは全員に 緊急で 伝えなくてはならない事柄に絞る。
実質常用しない方がベター。

関連情報

本記事内:関係者が限られている内容なのにチーム名メンションで投稿する
本記事内:チャネル名のメンションを使って投稿する
MS公式:Teamsでの@メンション機能使い方と対処法を解説

関係者が限られている内容なのにチーム名メンションで投稿する

何が困るのか(Why)

無関係の人にもデスクトップ通知が来てしまい、多くの人の集中の妨げになる。

改善案(How to solve)

関係者のみにメンションが届くよう、チーム設定のタグを用いる。
タグはチーム内の小グループを設定できる仕組み。
@開発チーム @運用チーム といった内容で適宜区分けするとOK

関連情報

本記事内:cc:とつけてメンションする
本記事内:軽微な内容なのにチーム名メンションで投稿する
MS公式:Teamsでの@メンション機能使い方と対処法を解説

チャネル名のメンションを使って投稿する

何が困るのか(Why)

チャネルの参加者の集中の妨げになる。

改善案(How to solve)

タグを用いる。
チャネル名のメンション、チーム名メンションともに常用しない方がベター。

関連情報

本記事内:軽微な内容なのにチーム名メンションで投稿する
本記事内:関係者が限られている内容なのにチーム名メンションで投稿する

メールからTeamsへの転記を人力で行う

[11]

何が困るのか(Why)

抜け、漏れ、人件費の発生

改善案(How to solve)

チャネル投稿用のメールアドレスを用いてそこに転送する。[12]
メールをすると該当チャネルに投稿される。別途Teams外で動作するBotなどの投稿先としても便利。

関連情報

MS公式:チャネルにメールを送信する

チームを並び替えない

何が困るのか(Why)

チームの表示順序を並び替えないことで、求める情報にいたるまでの時間が遅くなる

改善案(How to solve)

使用頻度の高いチームから順に並べ替える。
チーム内のチャネルも必要のないものは非表示にする。
チームの並びはアカウントごとに異なるので、他人に影響しない。

関連情報

本記事内:チャネルの固定を使わない

チャネルの固定を使わない

何が困るのか(Why)

求める情報にいたるまでの時間が遅くなる

改善案(How to solve)

特に使用頻度の高いチャネルへのショートカットを作る。
チャネル名で右クリック、「固定」

関連情報

本記事内:チームを並び替えない

即時反応が必要なのに、チャネルごとの通知を使わない

何が困るのか(Why)

何らかの書き込みがあったら即時対応すべきであるチャネルにも関わらず、チャネルへの投稿に気づかず反応が遅れる

改善案(How to solve)

チャネルごとの通知を用いる。
これにより、何かしら書き込みがあったら自分に通知できる。
チャネル名で右クリック、チャネルの通知、すべてのアクティビティとするとそのチャネルの動向が逐一通知される。
非常に重要なチャネルにのみ適用するのが良い。

「チャンネル」か「チャネル」で揉める

何が困るのか(Why)

表記のずれについて議論が起こる
なにも困らない(!)

改善案(How to solve)

「チャネル」が正しい。
ただし同類の言葉がTeams上に無いため、問題にならない。いちいち議論をしているほうが遅い。

定形/定時の投稿を人力で行う

何が困るのか(Why)

抜け、漏れ、人件費の発生

改善案(How to solve)

Power Automate(RPAツール)を使う。
標準で「キーワードが言及された場合」「新しいチームメンバーが追加されたとき」などをトリガーにしてチャネルに投稿をする、ということが可能。
ノーコードで実現可能。[13]

関連情報

MS公式:Teams + Power Automate

頻繁に参照される情報を「投稿」に書く

何が困るのか(Why)

情報を探すために何度も投稿を検索することになり、作業が遅くなる。

改善案(How to solve)

チャネルのWiki機能を使い、そこに頻繁に参照される情報を掲載する。
なお、Wikiは履歴を管理できないため、最新情報のみで良い場合に限る。[14]

一定期間表示させておきたい内容を通常通りに投稿に書き込む

[15]

何が困るのか(Why)

しばらく目立たせて表示させたいのに情報が他の投稿によって流れていってしまう。
情報を探すために投稿を検索しなければならないので遅い。

改善案(How to solve)

投稿のピン止めを使う。
ピン止め状態はそのチームに参加している他のユーザにも影響するため、投稿を一定期間目立たせたい用途に合う。
投稿した内容を右クリック、固定
用が済んだら忘れずに固定解除すること。

チャネルがある限り表示させておきたい内容をピン止め投稿にする

[16]

何が困るのか(Why)

既知の情報が毎日表示される。
一定期間表示させておきたい情報が目立たない。

改善案(How to solve)

チャネルのWikiを使う。
頻繁に参照される情報となりうるため。

別案:READMEファイルをチャネルに作成する[17]

関連情報

本記事内:頻繁に参照される情報を「投稿」に書く

おわりに

繰り返しではありますが、大切なのはツールよりも「仕事を迅速に完了させるための意志」です。
向かおうとする意志さえあれば、たとえ今回はTeams改善の提案が蹴られたとしても、いつかはたどり着くだろう?向かっているわけだからな・・・違うかい?

仕事の仕方が見直され、あなたの会社のコミュニケーションが円滑になりますように。🙏

脚注
  1. 今にも落ちてきそうな空の下で ↩︎

  2. この記事の内容を読み合わせるなどでも可です。一助となれば投稿者としては嬉しいです。 ↩︎

  3. ソースコードをGitHubで管理するように、ストレージは適切なものを用いましょう。 ↩︎

  4. 「参加者はテキストで返信すること」など、返答をなんとしてもテキストで求めたい勢がたまに居ます笑 ↩︎

  5. 良い例:「○○イベントをします。参加は👍不参加は😢でリアクションください。未反応には個別にお尋ねしますー」 ↩︎

  6. 書き込もうとしている内容が長文であっても、既に用意しているなら問題ない。受け手を長く阻害しないようにする点が大事です。 ↩︎

  7. 他者への敬称として「さん」をつける文化を否定する意図はありません。 ↩︎

  8. 初接触時や顧客に断りなく敬称略を適用するのは要注意です。円滑でなくなる可能性があります。迅速に仕事を行いたいためTeams上では敬称略でさせて欲しい旨を事前に先方に伝えると良いかと ↩︎

  9. これはメール文化を持ち込もうとしている人です。所謂マナー講師がすごく指摘しそうな点です ↩︎

  10. チーム名メンションは、オフィスで拡声器を使うようなものです。「火事だ!」とかなら許容できるけど、「私の仕事見てよ!」で拡声器を使いますか? ↩︎

  11. 「私の仕事を減らすなよ」とクレームが来そうですが、必ず適用をしろという意味ではないのでご自由に。ただ、それでもクレームをするならば「適用したほうが経営資源を正しく使えるのでは?」という回答を用意していますとだけ。 ↩︎

  12. セキュリティ考慮の上機能を使えないようにしている場合があるようです ↩︎

  13. 2分おきに「Hello!」と投稿するなんてことも可能。嫌われますけど笑 ↩︎

  14. Wikiの機能に満足できない場合はOneNoteやExcelなどのファイルも扱うことも検討しましょう ↩︎

  15. 「回答期限X/Xまでに返答ください」などの投稿。 ↩︎

  16. 個別のチームの運用ルール,新規joinメンバーへの説明事項など、共通認識を持っておかないといけない内容 ↩︎

  17. READMEファイルの形式はOneNoteやExcelなど整理しやすいお好みの形式で。 ↩︎

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