1年育休をとったエンジニアの話
1年間の育休を取らせていただきました(復帰済み)。
チームの皆様、役員の方含め、快く休みを取らせていただきありがとうございました。
おかげさまで取ってよかったなと思える1年だったので、男性エンジニアの育児休業について少しメモしておこうかと思います。
今後取ろうかなと考えている人等の参考になれば幸いです。
前提
項目 | 詳細 |
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自分 | 30代男、1人目の子供。 フロントエンドエンジニア5年目。 ABOUT |
会社 | 1000人規模、創業20年超のWeb系受託開発企業 |
記事の内容 | 細かく言うとここで言う育休=育児休業の話になります(育児休暇ではない)。 育休には雇用形態による条件の差異が細かくあったりするのですが、 書ききれないので正社員前提で書いていきます。 |
先に結論
- 育休すごくおすすめ!
- 特にエンジニアは向いているかも知れない
- だが、1年はやりすぎだったかも?
制度の概要
項目 | 詳細 |
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育休とは? | 育児・介護休業法に定められた国の育児休業制度。 |
どのくらい取れる? | 出産予定日〜1歳の誕生日まで取得可 (保育園に入れなかったなど特定条件で2年まで延長可) |
お金は…? | 基本会社から給料は出ないが、雇用保険から給付金が拠出される ・最初の半年は月収の67%(非課税等により手取りベース実質8割くらい) ・それ以降は50%(実質6割くらい) ・ただし上限(下限)あり ・ボーナスはなし(会社による) |
その他 | ・育休等を理由とする不利益な扱いを禁止 ・原則就業不可(稼いだ分給付金減の可能性アリ) |
その他育休関連の制度概要
項目 | 詳細 |
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育児休暇 | ややこしいが、育児・介護休業法で、 会社に「育児目的休暇の努力義務化」が記載されており、 なるべく育児休暇という会社独自の制度を作ってね、という内容。 今回の話の育児休業とは別。 |
育児休業分割取得 | これまでの育休は原則1回しか取得不可だった。 が、今は男女とも2回まで取得可。 |
産後パパ育休 | 子供が生まれてから8週間以内に4週間の休業を取得可。 育休とは別に取得できる。 2回に分割して取得も可能。 一定の条件のもとで就業可。育休給付もでる。 |
パパママ育休プラス | 父母ともに育休を取得する場合、一定要件を満たせば、 子が1歳2か月になるまでに最大1年まで育休取得可。 |
個別周知/意向確認の義務化 | 本人/配偶者の妊娠・出産を会社に言った時に、 育休制度の周知と取得するかどうかの意向確認の義務化。 |
育休取得状況公表義務化 | 常時雇用1001人以上の企業は、 毎年1回男性の育休取得率公表義務化。 |
育休後の制度
項目 | 詳細 |
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短時間勤務制度 | 子供が3歳未満まで、1日の勤務時間を短縮できる。 |
所定外労働の制限 | 子供が3歳未満まで、残業免除できる。 |
時間外労働の制限 | 子供が小学校入学前まで、残業の量を制限できる。 |
深夜業の制限 | 子供が小学校入学前まで、深夜(夜22−朝5時)業を免除できる。 |
子の看護休暇 | 子供が小学校入学前まで、こどもの看護のための休暇。 ・子供1人なら年5日まで ・2人以上なら年10日まで ・一日、または時間単位で取得可 |
今議論されている今後の育休制度拡充
意外かもしれませんが(?)、実は日本の子育て制度自体は、世界随一と言われています(OECDおよびEU加盟41カ国を対象としたユニセフの調査@2021では、日本の育休制度は、41カ国中堂々の1位)。
が、利用率が極端に低くなってしまっている状況(特に男性。上記調査において、利用率などを加味した総合では21位。)のようで、政府としても取得率向上に向けた施策をいろいろと打ち出しており(2022年の制度改正や後述する今後の制度改正予定など)、徐々に取得率も上がっています。
育休中の生活
育児はとても個人差が大きいようで、一旦私の経験ベースでざっくり。(個人差が大きい上に、赤ちゃんは正解を教えてくれないので、色んな人が色んなことを言っていて混乱。)
時期 | 赤ちゃんの様子 | 生活の様子 |
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1. 超初期 (0~1ヶ月くらい) |
・視力はぼんやり ・首はぐらぐら ・把握反射/吸啜反射等 ・基本寝てる |
妻は産褥期のためあまり動けず、家のことは全部やる。 右も左もわからないので、 いろいろ調べつつ不安しかない。 家事・育児以外をする余裕はない。 |
2. 初期 (~4ヶ月くらい) |
・視力はぼんやり ・首はぐらぐら ・自分の体を認識してない |
胃が小さいため授乳頻度が高く (夜含め2−3時間に1回)、 1時間に1回くらい泣き (授乳、排泄、眠気、不快など)、 体温チェック、嘔吐や排泄モレの処理なども。 気付いたら1日終わっている。首がぐらぐらで怖い。 徐々に家事を分担&勉強の時間が取れるように。 |
3. 中期 (~7ヶ月くらい) |
・徐々に見えるように ・首はすわる ・寝返り/ずり這い |
首がすわるのでちょっと安心。 ただ寝返りなども始めるのでそれはそれで怖い (窒息とか。最初は寝返るくせに戻れない)。 離乳食がはじまると想像以上に大変 (準備もだし、食べ散らかすのがカオス)。 なんでも口に入れる。 |
4. 後期 (~1歳くらい) |
・結構見える ・ハイハイ ・つかまり立ち |
色んなところに登りたがるが、 降りられないし普通にこけるのでずっと見とかなきゃいけない。 どこでも開けるので部屋の配置換え等が必要。 保育園探しが本格化。 |
東京都が「育業」という言葉を使ってましたが、ホントに1つの事業という感じで、例えは悪いかも知れませんが、昼夜関係なく数時間おきに障害(泣き出す)が発生する保守案件みたいなイメージが近い気がします(泣き出したらミルクなのかおしめなのか眠いのかそれ以外なのかみたいな切り分けをして、順次試していく。特に夜泣きがつらいです…泣き止まないと夜中に1時間以上だっこなんてこともザラにあって、夜中に障害起きて電話かかってくる感じ。一応、今の会社でそういう対応をやったことはないです笑)。これらを1人でやっている世の母親もいると思うと、尊敬しかありません。
ただ、正直これを1人でやるのは(特に超初期なんかは)工数が倍くらいおかしい(但し親族が近くにいるなどの前提条件や赤ちゃんにより大きく変動)無茶なプロジェクト感がありますね…。
育休を取るメリット・デメリット
- メリット
- 育児で蚊帳の外にならない(子供からこの人だれ?みたいにならない)
- 子育ての大変さを体感/分かち合える(妻と難関プロジェクトを乗り切った同志感。)
- 後半は3時間/日くらいは勉強時間とらせてもらえたので、好きな技術を試せた
- デメリット
- 職場に負担をかける
- 収入は減る→手取りでざっくり3/4くらい
- 実務経験、社内実績は当然増えない→昇給がない
- 控除系のメリットが減る(ふるさと納税/iDeco/生命保険等控除)
取ってみた感想
育児という面から見ると、1年間育休が取れたのはホントに良かったです。1歳でもまだまだ大変な時期なので、正直長ければ長いほどよい。
ただ、仕事という面から見ると、やはり戻ってから浦島感はありますし、仕事というものに対するカンが鈍ってる感じがあります。
育児と仕事のバランスを取るという意味では、2,3ヶ月くらいがちょうど良いのかもしれないな〜とも思いました(「エンジニア 育休」とかで検索すると、半年以下の記事は結構でてきます)。私は二回目があるとしても1年取るかもしれませんが…笑
あとは、エンジニアは育休中の勉強がキャリアに直結するというのはあるかなと。一般社会人(?)であれば、会社にいて仕事してなんぼみたいなところがある気もしますが…そういう意味でエンジニアは育休を取りやすくはあると思います。スキルの可搬性が高いですし、キャリア的に置いていかれる!みたいな焦りも特になかったです。
あと、結構上記では大変さが強調されてしまっているのですが、日々成長していく子供を見るのはシンプルに楽しいです。みてねというmixiが作っている家族アルバム共有アプリが優秀で、ちょっと前までこんなだったのにな〜みたいな瞬間もほっこりします。
まとめ
- 日本の制度は結構充実している
- 育休は2~3ヶ月がキャリアと子育てのバランスが良さそう?
- 育休楽しかった
育休取れたのは今の会社のおかげです。ありがとうございました!!
Discussion
私も1年育休を取得したので、共感することばかりでした。
1年育休を取った人の話を周囲で聞くことがなく、なんだか同志を見つけた気がして嬉しかったです!
良記事でした、自分のときの参考にしたい!
私もちょうど1年間の育休を取得中で共感することが多かったです!
こらから育休取得する全パパエンジニアに読んでもらいたいと思える内容でした!
自分が思ってるほど会社に必須な人材ってそうそういないからみんなもっと休み取るべきだよなぁ。
こういう記事は素晴らしい
育休1年とると結構孤独でもあるので、皆さんに共感していただけて嬉しいです!
ありがとうございます!