『AWSではじめるインフラ構築入門』書評
弊社が手掛ける受託開発ではこれまでお客様のデータセンターに設置したオンプレミス環境での開発が主でした。
しかし近年ではクラウドの採用を選択されるお客様も増え始めています。
そのため弊社のエンジニアもさまざまな形でクラウド技術の習得に努めています。
今回はさまざまな書籍の中からジュニアエンジニアが0から学べる書籍として、書籍『AWSではじめるインフラ構築入門 安全で堅牢な本番環境のつくり方 第2版』(翔泳社)を個人で購入して検証することにしました。
TL;DR
- AWS上でのWebサーバーの構築をさまざまな周辺基礎知識も抑えながら学ぶことができる
- ユーザー管理、監視、予算管理まで最低限の知識を得ることができる
- 情報が多すぎず少なすぎず最初に取り組むには最適な一冊
- 一部有料サービスを含むのでまとまった時間を確保して一気に走破がお勧め
著者紹介
中垣健志
名古屋大学理学部を経て、1998年に株式会社CSK(当時)に入社。Javaや.NET Frameworkを中心としたシステム開発で、ITアーキテクトとして活躍した。2012年に株式会社エイチームへ転職。
ソーシャルゲームのプラットフォームなどの開発、保守などを行った。その後、PayPay株式会社、SCSK株式会社を経て、現在はフリーの技術者として活躍している。
書籍巻末より
書籍概要
一般的なWebサーバーの構成をAWS内にAWSのアカウント作成から体験できるようになっています。
【主な内容】
■Amazon VPCによるインフラ基盤の構築方法
■Amazon EC2による踏み台サーバー・Webサーバーの作り方
■Amazon RDSによるDBサーバーの作り方
■負荷分散のためのロードバランサーの構築
■独自ドメインやSSL証明書の取得
■メールサーバーやキャッシュサーバーの構築
■サービスの監視を組み込む方法
■月々のAWS利用料金の管理
翔泳社Webサイトより抜粋
最終的に次の図のような構成が完成します。
Webアプリケーションのインフラの概略を復習できる
本書はAWSのサービス設定だけでなく、Webアプリケーションのインフラ構築を行う上でどうしてそれぞれのサービスが必要になるかを丁寧に解説してくれています。
新人研修などで一度は見たことのある構成や設定ですが、研修などでは実態が伴わずよく理解できなかったような内容を実際にインフラ構築を進めながら復習できるのではと思います。
本書のみで十分な知識が得られることはありませんが、入り口としては最適と感じました。
インフラの構築だけでなく運用管理についても最低限の知識が得られる
Webアプリケーションインフラ構築だけでなく、AWSでのアカウント運用、監視、予算管理も最低限ながら学ぶことができます。
構築する期間より運用する期間の方が圧倒的に長いので、適切な監視やオンプレミスではなかった形の予算管理を理解することが大切です。
LinuxコマンドやVimなどの知識が必要
書籍冒頭で説明がありますが、本書を進める上で次のような知識が必要になります。
- Linuxの一般的なコマンド
- Vimの操作方法
有料のサービスを一部活用する
本書の構成を完全に実現するためには有料サービスを利用する必要があります。
特に独自ドメインの取得は必ず課金されます(15USD/年ほど)。
ドメインは自分で用意して設定することもできますが、その設定は本書の範囲外となっています。
1日で走破できるので一気に学ぶのが吉
前述のように有料のサービスも含むので、長期間だらだらと進めるのはお勧めしません。
丸1日確保して一気に学習して、作成したサービスは早めに削除してしまいましょう。
私は日曜日を使って適度に休憩をとりながら1日ですべての演習を終えることができました。
補足
13章でyarn
がないことで次のようなエラーが表示されました。
Yarn executable was not detected in the system.
手順を飛ばしてしまったからかもしれませんが、同様のエラーが表示される場合は次のサイトを参考に実施してください。
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