[Book Review]「実践ドメイン駆動設計」から学ぶDDDの実装入門
published_at: 2019-07-07 13:32
Facebookでたまたま見かけた募集にのっかってみました。
書籍情報
感想
Good points
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自分がこの書籍でもっとも素晴らしいと思ったのは最初の第1章です。
「DDDへの誘い」とのタイトルの通り、システムの複雑さに立ち向かっていくためにはどのような考え方が必要なのか、何が大事になるのかをストレートに言及して、これは良いものですとまるで誘っている感じなところが自分には「刺さり」ました。 -
それぞれの章・節が長くないし、概念を示す図が適度に入っているので、思い返したいポイントがサッと拾い直せそうなところが良さそうです。(それには最低限この本を「1周」する必要があると思いますが)
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どのように実装されているのが良いのか、についても5章以降に深すぎず浅すぎずの粒度で必要な関連情報を網羅的に記述されているであろう点が大変良く、迷ってるときに読み返したらスッと答えが出せそうに思った。傍らにあるとありがたい存在になってくれそう。
Not so good things
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「入門」というタイトルでありながら内容が抽象的で、「実践ドメイン駆動設計」を理解できている、もしくは業務で実際にドメイン駆動開発を意識してます、といった状況でないと、この書籍の内容がなんというか実践に至るまで距離が長くそう。「ハンドブック」あたりが妥当なネーミングではないかなと思いました。
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サンプルコードがちょっと孤立しているような印象を受けました。本文が抽象的な概念の話なので仕方ないなあとは思いましたが、どうしてもコードと本文との結びつきを掴むことが難しかしかったです。コードも clone してきてIDEなどで構成全体を眺めながら読まないと、この話はここのことを言っている、というような理解にまで結びつかないように思いました。
Another thoughts
- 参考文献が豊富で、最近のものばかりでなく10年くらい前のブログもあり、蓄積されてきた叡智がまとめられた印象を持てました。懐かしくもあり、それくらいの頃の自分が知識の探求をあまりせずに目の前の業務を追いすぎていた後悔も湧いてきたりもしたり。
さいごに
- やや冗長な感じで書きましたが、簡潔に感想をまとめると以下のようになります
- 良かった
- 第1章の「DDDへの誘い」方がストレートで、「いいもの」を目指す人に「刺さる」
- 個々の章節が適度な長さで、ふと思い返すのに大いに役立ちそう
- ちょっと良くなかった
- 「入門」というにはレベルが高く、「ハンドブック」くらいのタイトルが良かったのでは?
- サンプルコードと説明を頭で結びつけるのが難しく、電子版も欲しくなってしまう感じ
- その他
- 豊富な参考文献、古いものも新しいものもあり、DDDがノウハウとしての地位を確立してきている感があると思ったり
- 良かった
長く活かせるシステムの設計をどのように考えるのが良いのかのイメージが整理できる内容で、この本を読むといういい機会を得られてとても良かったと思います。
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