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ノーコード開発ツールBubbleの”勢い”を定量的にまとめてみた(事例集も)(2024年7月時点)

2024/07/25に公開

簡単な自己紹介

  • たけちゃん(武井聡)(@SatoshiTakei55)です。

  • ソーシャリア(https://sociareer.com/)というサービスを運営している、株式会社スターコネクトの執行役員CPOをやっています。

    • ソーシャリアは、ハイクラス人材とインパクトスタートアップを「複業転職」でつなぐサービスです。
    • 2024年3月には「ソーシャルキャリアフェス」という500名超のイベントを有楽町で開催しました。(https://sociareer.com/social-career-fes2024)
      • 結構すごいイベントだったんですよ。この辺りはまた別の機会にでも。
  • キャリア略歴: ビズリーチ エンジニア → CureApp プロダクトマネージャー → フリーランスなど → 今に至る(32歳)

  • ソーシャリアはノーコードツールBubbleを使って開発をしています。

  • PdM兼エンジニアとして、PMFを目指して邁進中、というところです。

この記事について

  • ノーコード開発ツールであるBubbleが世界的にどんどん伸びてきています。

    • フロントだけでなくバックエンドもコード不要で作り切れるツールなんですよね。
    • カスタマイズ性が非常に高いので、大概のWebアプリケーションは作れます。
  • そのBubbleの"勢い"を定量的にまとめてみた記事です。

  • 国内ではまだまだ事例が少ないですし認知度もこれからという感じですが、

  • 新規事業の立ち上げにおいて"PMFまでBubble"といった活用がされてきています。

    • HQさんはBubbleで高速でプロダクトを作り、7億円(シリーズA)のスピード調達を実現しました。他にもABABAさんなどの事例が出てきています(詳細は後述)。
    • 国外だと事例はたくさんありますね(詳細は後述) 。
  • 参考: Bubbleの概論つかむにはWalkerさんの記事もおすすめです。

本記事のターゲット

  • Bubbler(すでにBubble活用している人)、Bubbleを広めていきたい人
    • Bubbleの可能性を改めて理解できるし、周りに啓蒙する時の一つの材料が得られると思います
  • プロダクト立ち上げに強みのあるPdM・エンジニア・デザイナー
    • MVP作りに「ノーコード」を活用するという方法論の盛り上がりの一端に触れられると思います
  • 新規事業立ち上げをやっている・やろうとしているビジネスサイドの方
    • エンジニア不足の昨今ですが、ノーコードを使えば少ない人員・低コストでMVP検証ができるということがわかると思います

この記事を読んだらわかること

  1. Bubbleで作られた代表的なサービスは?その売上や資金調達額は?
  2. Bubbleを活用してのMVP構築に必要な人員・組織体制とは?
  3. Bubbleのはじまりはいつ?どんな歴史がある?
  4. Bubbleというサービス自体はどのくらい資金調達している?
  5. 現在、Bubbleのユーザー(開発者)は全世界で何人?この2021年から2024年でどのくらい伸びている?
  6. BubbleはMicrosoftと提携しているが、それは具体的にどういう提携?
  7. Bubbleでの開発を依頼したい側のニーズはどんな感じ?直近1年でどのくらい増えている?どんなニーズが多い?

この記事で書かないこと

  • Bubbleの技術的な仕組み、技術的な課題

  • 今後、国内におけるノーコード活用の展望

  • ※エンジニアとしては、技術的なところ気になりますよね〜。それは追々発信していきますね。

Bubbleで作られた代表的なサービスを紹介①(国内事例)

まずは、「Bubbleをうまく活用するとどんないいことがあるの?」というところの解像度を高めていきましょう。
一つ一つちゃんと理解しようと思うと結構な情報量です。ま、まずは売上高や資金調達額、MVP作るまでのスピード感・エンジニア人数といったところに注目して見ていってください。

HQ (企業HP)

ポイント(上の記事から武井が抜粋)

  • 「スタートアップの起業の初期はPMFだけが大切」
  • そのPMFまではノーコードで走る。高速で開発できるBubbleを活用。
  • MSP(Minimum Sellable Product:必要最低限の売れるプロダクト)を2-3カ月程度で構築。
  • 初期はPdMは、ほぼすべての商談に参加し、コンテキストをCEOと揃えたうえで、たった一人でユーザーストーリー定義・デザイン(ただし50点レベル)・実装(ただしノーコード)をこなす
    • CEO-PdM-デザイナー+エンジニア数名という従来の体制とはコミュニケーションコストが段違い。
    • 課題(ビジネスニーズ)とプロダクト機能の一致度を高く保てる。
  • 半年で150回程度リリース。土日以外はほぼ毎日リリースというスピード感。

ABABA (企業HP)

ポイント

  • 非エンジニアのCEOがBubbleをゼロから覚えて4ヶ月でMVPを構築・リリース。複数社の導入を実現(この時はエンジニア不在)。
  • リリース翌月にCTOがジョイン。PdM兼デザイナー1人、ノーコードエンジニア1人の2人体制で開発を進める
  • その約1年後にはシードの資金調達(6000万円)を実現。
    • この時には導入起業300社、ユーザー2000名を超えるプロダクトに。

Bubbleで作られた代表的なサービスを紹介②(海外事例)

海外では日本よりもはるかにBubble活用が進んでいます。
資金調達額も1桁、2桁違ってきますね。
いくつか紹介します。

Comet (HP)

  • Tech系フリーランス人材の採用を支援するサービス。
  • 1万人のフリーランスが登録、みな面談済みで質が一定担保されている
  • 2017年にBubbleで開発(かなり早期)
    • ここのCEOはノーコード開発の「ゴッドファーザー」などと言われたりもしてるらしいです笑
  • MRR $800k(年間売上$9.6m = 15億円程度)
  • $15m(20億円超)の資金調達を実現

Plato (HP)

  • エンジニア向けコミュニティ(メンター探し、Q&A、有料講義を受けられる等)を運営
  • 法人向けサービスも提供しており、Techのトップ企業も使っているよう。社内メンバーの技術力向上に役立つのだろうと思われます。
  • 年間売上$80m(120億円)ほど

Dividend Finance (HP)

  • ソーラーパネルなどの設置にあたってのファイナンス支援を行う
  • $365m(500億円程度)を資金調達!!
  • 年間売上1500億円!!
  • ユーザーのオンボーディング部分(各種申請、ローン契約手続きを簡易化させるところ等)でBubbleを活用しているよう
  • Bubble単体のプロダクトによる売上ではないことには要注意です
    • ただ、こういう活用の仕方も賢いなと思います

My AskAI (HP)

  • カスタマーサポートで活用できるAIチャットボットサービス
    1. サービスサイトやQAサイトの内容を読み込み、カスタマーからの問い合わせに即時対応
    2. ユーザーが欲すれば人間へ引き継ぎ、それもスムーズに(状況をサマライズして人間に共有)
    3. カスタマーとのやりとりはAIが自動分析(issue, bug, feature requestにカテゴライズ)
    4. zendeskやhubspotとの連携も
  • ユーザー4万人超え
  • たった2人でBubbleで開発、6週でMVPを作り切る
  • MRR(月売上)400万円ほど
  • 競合他社の10分の1の価格でサービス提供(開発コストが著しく低いからこその価格だと考えられます)

Bubbleの"勢い"(歴史を紐解きながら)

事例を見るとかなり可能性を感じますよね。
そんなBubbleなんですが、どう広がりを見せていったのか、その歴史を見ていきましょう。
"勢い"を感じると思います。

歴史

  • 2012年に誕生
    • 5年間、創業者の二人でプロダクトを磨き込む
  • 2019年にシードラウンドで$6.5M(10億円)を調達
  • 2017~2021年にかけてBubbleトラフィックはYoY50%成長
  • 2021年にシリーズAラウンドで$100M(150億円)を調達
  • 2022.07 Microsoftとパートナーシップを提携(詳細は後述)
  • 2024.07現在、Bubbler(Bubble開発者) 400万人超え2021年から毎年60%成長している..!!

Bubbleで作られた製品の実績

  • 3百万以上のアプリケーションが作られ、
  • Bubbleで作られたプロダクトの累計調達は$15B+(2.2兆円超)..!!
    • 100億円x200企業、あるいは、50億円x400企業くらいの規模感になる。凄い...


Bubble公式より引用)

表彰

Microsoftとのパートナーシップについて

  • 2022年にMicrosoftとのパートナシップ提携が発表されました。
  • 具体的にはMicrosoft for Startups の提携先の1つになったとのこと。
    • Bubbleが提携した時点では5つの提携先があったようで、その後も提携先は増えているようです。

Microsoft for Startupsとは?


https://www.microsoft.com/ja-jp/startups

  • アーリー(ステージD未満)スタートアップを無料でいろいろ支援しますよ、というもの
    • GPT-4などのAIツール、Azure・Github・Microsoft365などの利用料を最大2300万円分タダで使える
    • エキスパート(Tech、VC、アントレプレナーなど)に1on1相談できる
    • など(かなりすごいですよね..)
  • Microsoftの狙いとしては、イケてるスタートアップを囲い込んで、Microsoft関連製品のユーザー増やしたい・投資先として考えたい・事業提携の可能性を模索したい..といったところなのでしょう。

パートナーシップ提携の意義

  • 今回、Bubbleがパートナーになったというのは..
    • BubbleがGithubなどと同様に、Microsoft for Startupsに参加するスタートアップが無料で(一定枠まで)使えるサービスの1つになったよ、ということ。
    • 世界のスタートアップ界隈で、ノーコードBubbleによるスピード開発が一つの方法論として認められた、という理解をしていいでしょう。

直近1年間のBubblerニーズの動向

  • Bubble公式が2024.02に一つの記事を出しました。
  • Bubbler向けに、「もっと稼ぐための3つのインサイト」という記事です。
  • Bubbleで開発をしたいと考える企業側のインサイト動向をまとめたものです。
  • Bubbleの"勢い"が感じれらるので、こちらからポイントを抜粋しますね。

ポイント

  • Bubbleは公式サイトで"Agency"(要はBubbleの開発受託会社)を掲載しています。

    • 300社弱掲載されており、条件面や過去の実績などが公開されています。

  • このAgencyのページへのアクセスは、この1年で2倍になったと言います。

    • Agencyの登録数は1.7倍のようなので、これだけで単純に結論づけられませんが、やや供給が追いついていない可能性も示唆されます。
  • また、Bubblerを雇いたい・開発を依頼したい企業側から希望を受けるフォームも用意されています(Hire a developerというページ)。

    • その希望の中身は..
    • 85%は新規プロダクトの依頼
    • 70%以上が時給換算ではなく固定予算での依頼を希望
  • やはり新規事業のMVP作り、PMFまで走るところでの活用が主たるユースケースと言っていいでしょう。

  • OpenAIのAPIをはじめ、AI関連のplugin活用が急増しており、AI関連の新規プロダクト作りでもBubbleが活躍しているようです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
冒頭に挙げた「この記事を読んだらわかること」(以下に再掲)は解説できそうですか?
これが解説できれば、日本国内ではなかなかなBubble通だろうと思います。

  1. Bubbleで作られた代表的なサービスは?その売上や資金調達額は?
  2. Bubbleを活用してのMVP構築に必要な人員・組織体制とは?
  3. Bubbleのはじまりはいつ?どんな歴史がある?
  4. Bubbleというサービス自体はどのくらい資金調達している?
  5. 現在、Bubbleのユーザー(開発者)は全世界で何人?この2021年から2024年でどのくらい伸びている?
  6. BubbleはMicrosoftと提携しているが、それは具体的にどういう提携?
  7. Bubbleでの開発を依頼したい側のニーズはどんな感じ?直近1年でどのくらい増えている?どんなニーズが多い?

👇に簡易解説だけ載せておきますね。


  1. Bubbleで作られた代表的なサービスは?その売上や資金調達額は?
    • 国内では、HQさん、ABABAさん。それぞれ資金調達は累計7億程度、4.5億程度。海外では年間売上100億を超える事例や、500億程度の資金調達をした事例も。
  2. Bubbleを活用してのMVP構築に必要な人員・組織体制とは?
    • Bubbler1~2名で3~4ヶ月程度の事例が多い。
    • PdMが実装も行い開発に関するコミュニケーションコストを落とせた例や、非エンジニアが勉強して一人でMVP構築した例も。
  3. Bubbleのはじまりはいつ?どんな歴史がある?
    • 2012年。2021年に150億円の資金調達を行い、その頃から急激に伸びた。
  4. Bubbleというサービス自体はどのくらい資金調達している?
    • 累計で160億円程度。
    • ちなみにBubbleで作られた全プロダクトの累計資金調達額は2.2兆円ほど。
  5. 現在、Bubbleのユーザー(開発者)は全世界で何人?この2021年から2024年でどのくらい伸びている?
    • 400万人。2021年では100万人だったので、毎年60%程度成長している。
  6. BubbleはMicrosoftと提携しているが、それは具体的にどういう提携?
    • Microsoft for Startupsという、Microsoftがアーリーのスタートアップを無料で支援するプログラムで、パートナーに選ばれた。
  7. Bubbleでの開発を依頼したい側のニーズはどんな感じ?直近1年でどのくらい増えている?どんなニーズが多い?
    • 全世界でAgencyへの依頼としては、新規プロダクトの依頼が85%。この1年で、Agencyページへのアクセスは2倍に、Agencyの数自体は1.7倍に。

最後に

Bubbleに関する日本語のソースはまだまだ少ないなと感じます。
シンプルにBubblerがまだ少ないんですよね。

海外事例を見れば明らかなように、これから益々伸びていくと思います。

日本でももっと盛り上げていきたいですね。

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ではでは。
また次の記事をお楽しみに。

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