非情報系大学院生がTwitter経由で就活した話: エンジニア就職体験記
はじめに
初めまして! 株式会社SocialDogという会社でエンジニアをしている、ikkenと申します。
私は今年の初めまで大学院で学生をしていたのですが、ここ2,3ヶ月ほどで急遽エンジニアに転身することになったという人間です。
というのも私事なのですが、先日の2024年1月、未だ学生であった頃の私はX (旧Twitter, 以下Twitterと呼びます) にこのようなツイートを投稿しました。
いわゆる「Twitter就活」ということで、Twitter上で希望条件や自身の実績などをツイートして就職活動を行うというものです。
このような行動に至った経緯については後述するとして、この結果として私は上記の株式会社SocialDogにエンジニアとして内定を頂くことができ、2024年4月から同社で勤務しています。
この一連の転身について私は以前からブログ記事を書いてみたいなと思っていたのですが、気付けば月日が経っていて、延び延びになってしまっていました。
そのような中、弊社SocialDogではテックブログを運営しており、私にも記事を書く機会を頂きました。
そこで現在ジョインしてから2ヶ月ほど経ちちょうど良い機会ということで、この度のTwitter就活についての体験記を書いてみたいと思います。
誰に向けて書いたか
ということで本記事はテックブログの1記事でありながら、技術関連の話はメインではありません。
しかしエンジニア就職に関心のある人や学生の皆さん、ひいてはご自身のキャリア選択に迷っている様々な層の方にとって、このような「ちょっと変わった経路でのエンジニア就職」の情報は何かしら価値のある部分があるかもしれないと思い、書かせていただきたいと思います。
何を書いたか
- Twitter就活に至った経緯
- Twitter就活の実際の流れ
- 就職してみての現状と感想、今後の展望
といった内容を順に書いていきます。
個人的な話の多い記事になりますが、読み物としてでも興味を持っていただけそうでしたらぜひご一読いただければと思います。
自己紹介
改めて簡単に自己紹介させて頂きます、ikkenと申します。
現在26歳で、大学院の博士課程2年目にあたります(が、休学予定です)。
この2024年4月から株式会社SocialDogにジョインし、SNSマネジメントSaaSであるSocialDogの開発を行っています。
趣味がいろいろある浅く広いタイプの人間で、アプリの個人開発をしたり、音楽を作ったり、鳥を愛でることなどをライフワークとしています。
就職活動を思い立った経緯
私がエンジニア就活を開始した理由は主に、
「大学院での研究より優先してやりたいことができた」
「プログラミングの修行がしたい」
という2点に集約されます。
以下ではこの2点の詳細について時系列に沿ってお話ししています。
研究より先にやりたいことができた
私は学部は理学部を卒業後、理学研究科の修士課程に進学し、修士修了後は同研究科の博士課程に進学しました。
研究分野は理論物理学の素粒子論という分野でした。
素粒子論というのはとても幅広いのですが、例えば世界の最小単位を探ったり、宇宙全体を統一的に記述する理論を作ろうとしたりするといった研究分野です。
私はこういった問いについて考えるのが幼少期から大好きだったので、将来はこの分野で研究者をやりたいと思っていました。
そのため博士課程へ進学し博士号取得を目指していました。
気持ちが変化したのは博士課程に進学してからでした。
研究が人生の第一優先ではなくなりました。
理由を端的に言うと、分野全体を最低限俯瞰できるようになり、ある程度は満足したためです。
素粒子論の最前線がどのようなものかを把握するのに修士の2年では足りず、博士課程に進んでようやく「人類がどこまで世界を理解しているか」というのがほんの少しだけ知ることができました。
ざっくり言うと、「いかに凄いことまで分かっているか」と、「いかに世の中分からない / 分かりようもないことだらけか」ということの両方が実感できて、その時点である程度の満足感が得られました。
もちろん自分の貢献によって人類の自然への理解を推し進めることはまだ全く出来ておらず、その点の心残りは多分にあります。
しかし、私は自己紹介でも述べた通り色んなことを同時にやってみたくなる性格でして、もっと個人的なことでも他に沢山やりたいことがありました。
- プログラミング修行をして、オリジナルで高品質なサービスを作れるようになりたい
- 作曲を修行して、最高にいい曲を作れるようになりたい
- 生まれてからずっと関西に住んできたので、東京など他の地域でも生活してみたい
「人生でやりたいことリスト」の優先度として、こういった項目がより上位に来るようになったのです。特に上記3つについては少しでも若いうちにやりたいと思いました。
私の場合、博士課程の学生をやっている限りはどうしても研究が第一優先という気持ちになってしまいました。そのため大学院生のままでいては、これら研究以外の目標に心に余裕を持って取り組むのが難しいと感じました。
以上が私が大学院から一旦離れてみたいと思うに至った理由です。
プログラミングの修行がしたい
プログラミングに関しては、研究ではPythonやMathematicaを使って数値計算などは行っていました。しかし簡単なことしかしませんでしたし、Web開発とはだいぶ毛色の異なるものでした。
私が本格的にプログラミングを学習できた機会は研究とは別で、主に2つの場面でした。
1つ目は大学学部時代に始めたアルバイトでした。大学の掲示板で見つけた金融関係の企業でのデータ分析のアルバイトで、Pythonを使ってデータ処理や古典的な機械学習などを行っていました。
作業には主にJuypter notebookやGoogle colabolatoryといったツールを使っていたのですが、ブロックごとにコードが実行できエラー箇所がすぐに分かるのでプログラミング初心者の私にとって非常に学習しやすい環境でした。
その後もデータ分析、機械学習系の他のアルバイトに参加したこともありました。
しかし徐々に、単に分析ツールとしてのノートブックを書くのではなく、幅広いユーザーに使ってもらえるアプリケーションを作ってみたいと思うようになりました。
そこで2つ目に行ったのはモバイルアプリの個人開発でした。主に学部後半から修士課程時代にかけて、Flutterというフレームワークを使ってモバイルアプリを制作していました。
一番気合を入れて作ったのは「人間単語帳 HitoMemo」というアプリでした。
(こちらの過去の個人ブログの記事で紹介しています。)
機能だけみるとCRUD操作ができるだけのメモアプリなのですが、「人間単語帳」というオリジナルかつ実用性のあるコンセプトを形にできたのが楽しかったです。
また自分で作ったアプリがApp Store や Google play storeに並んでいるというのは嬉しいものでした。
こういったアルバイトや個人開発の経験を通じて、オリジナルかつ高品質なアプリケーションを作れるようになりたいと思うようになりました。
いきなりフリーランスでの活動あるいは起業などをすることも考えましたが、チーム開発などの経験の無い自分の場合、まずは企業内で学ぶことでエンジニアとしての修行をする方が合っていると思いました。
このような経緯で、私はエンジニアとしての就職を考えるようになりました。
Twitter就活の流れ
今回のTwitter就活の実際の流れについてお話しします。
遅めの就活開始
私が就職に向けて実際に動き始めたのが2023年、博士1年の秋頃でした。
それ以前は5,6月ごろに夏のインターンに応募はしていたものの、コーディングテストの対策がほとんどできていなかったのもあり選考通過はできませんでした。
その後11月から翌年1月ごろにかけて、当初は通常のフローの就活を行いました。各企業にエントリーシートを提出し、選考を受けるという流れでした。
Webアプリ開発を自社で行なっている企業を中心に10社程度にエントリーし、見送りとなった企業が大半でしたが、1月時点では最終選考まで進んでいた企業もあるという状況でした。
もっと早く開始したい → 直接的な方法
しかし前提として、通常のフローでは入社時期が翌年の2025年4月でした。私はできるだけ早く新しい環境に飛び込んでみたいと思っていたため、もっと直接的な方法はないのかと考えるようになりました。
そこで冒頭に掲載した通りの就活ツイートを投稿するに至りました。
以前からTwitterでエンジニアの方が就活をしている様子や、はたまたTwitter婚活というものも見たことがあり、それらをふと思い出して自分でもやってみようと思い立ったわけです。
とにかく何かしら発信してみよう、1件でも反応があればいいなという程度の期待感でした。
書いた内容は主に希望条件と自身の経験です。
希望条件としては、この4月からいきなり働けること、フロントエンドを主に担当したいこと、希望年収などを記載しました。
自身の経験としては、学歴、バイトや個人開発での開発経験などを記載しました。
意外な反響
すると予想外に、10社以上もの企業からリプライを頂けました。
スタートアップ系の企業を中心に、業種はWeb開発、ネイティブアプリ開発、DX、機械学習、流通関連など様々でした。
連絡いただいた担当者の方が大学院卒の方で、親近感を抱いて連絡してくださったというケースも数件ありました。
せっかく連絡いただいたということで、条件の合いそうな企業の方すべてとオンラインで面談させて頂くことにしました。
面談では簡単な自己紹介スライドを作成していくこともしましたが、あくまでスライドは補助資料として、直接会話のキャッチボールをして話すほうがお互いのことを伝えやすいと感じました。
カジュアル面談でしたが、中には創業者の方や役員の方と話すこともでき、非常に貴重な経験となりました。
創業にまつわる話や経験してきたことについて色々聞きまくることができ、お話しできたことが純粋に楽しかったです。
連絡頂いたり面談してくださった企業の方々には、この場を借りて改めて感謝を申し上げたいと思います。
面談を一通り終えて、選考をお願いする企業を2社まで絞らせていただきました。
どこの企業もそれぞれ魅力のある提案をしてくださっていたのですが、あまり多くの選考をお願いし過ぎても入社できる1社以外は結局お断わりしなければならないということで、この段階で絞らせていただきました。
そして現在の所属へ
面談以降のフローは2社とも通常の選考と基本的には変わらず、コーディングテストおよび複数回の面談を経て内定を頂くという流れでした。
そのような流れで最終的には現在所属している株式会社SocialDogに参加することを決めました。
SocialDogを選んだ理由については、SNS関連のSaaS開発ということで作業内容が想像しやすかったこと、開発環境がモダンで学習に適していると感じたことなど様々あります。しかし面談してくださった方々の印象がなんとなく馴染めそうだったという点が一番の理由でした。
以上のような流れで、私がTwitter就活を終えたのが2024年3月ごろでした。
2ヶ月ほどの短期間で一気に話が進み、無事同年4月からエンジニアとして働けることになりました。
現状と今後
入社して2ヶ月ほど経過した今、現状と今後の展望について整理してみたいと思います。
現状について
社内の主な技術スタックとしてフロントエンドはReact, バックエンドはGoとPHPが使用されていています。
日々の業務ではフロントエンド / バックエンドともに触れられています。
私の興味としてアプリ全体を開発できるようになりということがあるため、フロントエンド / バックエンドどちらも触れることができるのはとてもありがたい環境だと感じています。
開発体制としては週1回のオプション出社を除き、基本的にリモートの環境です。
初心者である私の場合はタスクに取り組む上で一定以上困った場合は、通話を繋いで先輩方に質問させて頂くスタイルで進めさせていただいています。
それにより行き詰まることなく成長できていると実感しているため、このスタイルが取らせて頂けるのも大変ありがたいです。
また個人的な生活の変化として、関西から東京に引っ越しました。
出社は週に1日かつオプションなので仕事としては引っ越す必要はなかったのですが、環境を一新したいのと、東京での生活を経験してみたいという思いがあったので引っ越しました。友人と出会ったり行ったことのない場所や音楽関係のイベントに足を運んだりしています。
また趣味の作曲にも本気で取り組めています。平日は業務終了後に2-3時間、週末は1日中曲作りに溶かす日もあります。
大学院生の頃は研究が第一優先という精神状態のため、作曲には一切手を出せていませんでした。仕事以外にも時間を使える心の余裕ができたのは大きな変化だと感じています。
ということで、当初の希望であった
- エンジニア修行
- 作曲に打ち込む
- 他の地域での生活
の3つを全て現状叶えることができ、まさに希望通りの日々を過ごせています。
今後の展望について
以上のような現状を踏まえて、今後の展望について考えてみたいと思います。
まず直近では、社内でしっかり開発に貢献できることを第一目標にしたいと考えています。
現状の私は技術面で未熟な部分が多いため、とにかく自身の技術力を養い戦力になることを第一に考えています。
フロントエンド / バックエンドどちらも触れることができる環境であるため、分野を問わずWebサービス全体を自力で開発できるようになることを目指しています。
中期的には、養った技術力を使って自分発のサービスを立ち上げたいと思っています。
そのため普段からアイデアをメモしていおいたり、連休には簡単なツールを作成したりしています。
そのように数年かけて試行錯誤しながら、徐々に準備を進めていきたい所存です。
またそのように今やりたいことを追求した上で、(何年後になるかは分かりませんが、) 将来的にはどこかのタイミングで研究に戻って再挑戦したいとも考えています。
おわりに
以上が私のTwitter就活の経緯、現状と今後についての報告でした。
最後に自戒として、私が今回の就活で得た学びを2つ挙げておきたいと思います。
作品を作り切る
1つは作品を作り切ることの重要性です。
現場の技術が未熟な私が面談で最も評価していただけたのは、ストアへのリリースまで辿り着けている点でした。
モバイルアプリ開発ではストアへのリリースというフェーズは審査などもあり結構面倒ですが、そこを乗り越えないと当然ユーザーにも使ってもらえません。
モバイルアプリに限らず、制作物を世に出すということはとてもとても大変なことですが、それを何とかやり遂げることで評価を得ることができるということを学びました (今後も頑張っていかねば...)。
とにかく発信
2つ目はとにかく発信してみることの大切さです。
犬も歩けば棒に当たるというやつで、能動的に行動してみると想像もしない面白い展開が待っていることがあると学びました。
例えば就活ツイートを投稿した際予想外に多くの反応を頂けたのですが、その大きな要因としてあったのが、以前私が所属していたIT系コミュニティの方がリツイートしてくださったことでした。
恐らくそのリツイートから多くの企業の方の目に止まることになり、面談の機会を得ることができました。
日頃から様々な場に参加しておくと、思いがけないありがたい展開に繋がることもあるということを学びました。
これからも受け身ではなく自分から発信するなど、積極的な行動を心がけたいと思います。
以上が私のTwitter就活に至る経緯と現状についての体験記でした。
今後就活を考えている方、またはエンジニアとしてのキャリアを考えている方にとって、何かしら参考になる部分があれば幸いです。
今後もエンジニアとしての成長を続けながら、自分のやりたいことを追求していきたいと思います。
SocialDogについて
最後に、今回私が参加した株式会社SocialDogについて簡単に紹介させていただきます。
株式会社SocialDogは、SNS運用担当者のためのマーケティングツールを作っている会社です。
現在エンジニアを積極採用中なので、興味があればSocialDog代表の小西まで、Twitterでお気軽にDMしてみてください!
最後までお読みいただきありがとうございました!
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