複数の Docker Compose 環境を同時に立ち上げる
はじめに
Docker Compose を利用して開発環境を構築するプロジェクトは多いと思います。
Claude Code をはじめとするコーディングエージェントの普及により、git-worktree を使って複数の作業ブランチを並行して開発することが増えてきました。Docker Compose で構築する開発環境は、ワークツリーが違えどほとんどの場合同じような構成になるため、ワークツリーごとに環境を立ち上げようとすると、コンテナ名やポートの衝突といった問題が発生します。
SocialDog では、git-worktree を使った開発においても、これらの問題が生じないよう手順をドキュメント化しています。

5環境並列で動かしています
本記事では、私たちが開発で利用している Docker Compose を複数立ち上げても環境を衝突させない構成例 を紹介します。
この記事で書くこと
- 複数の Docker Compose 環境を扱う上での構成例
- 環境間でコンテナやネットワークの衝突を防ぐ方法
- ポートバインディングの衝突を防ぐ方法
- ポートバインディング自体を回避する方法
- Claude Code で複数の環境を使いわける例
この記事で書かないこと
- Docker Compose の基本的な操作方法
- git-worktree の詳しい使い方
- Claude Code の使い方
複数の Docker Compose 環境の問題
git-worktree は、リポジトリを複数のワークツリー(ディレクトリ)にチェックアウトできる git の機能です。
「ローカル環境に複数のブランチを別ディレクトリで同時にチェックアウトできる」[1]ということですが、それぞれのワークツリー[2]で Docker Compose によるコンテナを起動すると、次のような問題に直面します。
コンテナ環境の衝突
例えば git リポジトリのプロジェクトルート work-A 内で git worktree add ../work-B を実行し、次のように Compose ファイル(ここでは compose.yaml) が存在する例を考えます。
work-A/services/compose.yamlwork-B/services/compose.yaml
ここで、以下操作を順番に実施することを考えます。
-
work-A/services/直下でdocker compose upする -
work-B/services/直下でdocker compose downする
すると、1. の work-A/services/ で起動したコンテナやネットワークは、 2. の操作時に削除されてしまいます。[3]
これは、それぞれの compose.yaml ファイルが 同じディレクトリ名 services の配下に存在する ことによって起きる問題です。
Docker Compose はデフォルトで、「Compose ファイルが配置されたディレクトリ名」をプロジェクト名として扱います。
今回のケースでは、ワークツリーが別であっても Compose ファイルが存在するディレクトリ名は変わらないため、ワークツリー間で同じプロジェクト名(services)が使われます。
このプロジェクト名は名前空間の役割を果たすので、別のワークツリーで作成したコンテナやネットワークであっても、同じプロジェクト名で管理されていれば削除してしまうのです。
プロジェクト名でコンテナ環境を分離する
つまりコンテナ環境の衝突をさけるシンプルな解決方法は、プロジェクト名を環境ごとに設定することです。
ドキュメントでは、次の優先度でプロジェクト名が決定されるとあります。
-
docker composeコマンドの-pフラグ -
COMPOSE_PROJECT_NAME環境変数 - Compose ファイル内のトップ属性
name[4] - Compose ファイルが存在するディレクトリ名[5]
- カレントディレクトリ名(Compose ファイルが指定されない場合)[6]
筆者のオススメは、COMPOSE_PROJECT_NAME 環境変数の設定です。ただし、シェルの環境変数として設定するのではなく、 .env ファイル で定義します。 .env は Compose ファイルと同じディレクトリに作成します。
COMPOSE_PROJECT_NAME=some-project
.env ファイルは後述する「Interporation で変数の値を設定するためのファイル」ですが、COMPOSE_PROJECT_NAME などの 事前定義された環境変数(pre-defined environment variables) の値を直接設定するのにも利用できます。
バインドポートの衝突
コンテナ環境の衝突はプロジェクト名を区別することで回避できますが、
より直接的に問題が起きるのは、ホストへのバインドポートが衝突することです。
開発環境では、データベースや Web サーバーなどのアプリケーションポートをホストにバインドすることが一般的です。しかし「ホストの同じポート番号に対し、複数のコンテナがポートバインドを試行する」とエラーになってしまいます。
例えば次のような Compose ファイルでコンテナを起動(docker compose up)すると、コンテナのポート 80 番をホストのポート 8000 番へバインド(割り当て)します。
services:
web:
image: docker.io/nginx:stable
ports:
- "8000:80"
このコンテナを起動したまま、同じ内容の Compose ファイルで別のコンテナを起動すると、先程起動済のコンテナがすでにポート 8000 番へバインド済のため、エラーになります。
方法 1:Interporation を使ったバインドポートの変更
まずホストへのバインドポートを動的に変更し衝突を回避する例を紹介します。
先ほど示した compose.yaml を次のように修正します。
services:
nginx:
image: docker.io/nginx:stable
ports:
- "${WEB_PORT:-8000}:80"
ホストへのバインドポート定義を 8000 から ${WEB_PORT:-8000} に変更しました。
これは以下を意味します。
-
WEB_PORT変数が設定されていたらその値をバインド -
WEB_PORT変数が未定義なら 8000 番をバインド
WEB_PORT 変数は同名の環境変数で設定することもできますし、同じ階層のファイル .env に定義する ことも可能です。
WEB_PORT=8888
このように、Compose ファイル中に変数を定義して動的に値を差し替える機能を Interporation と呼びます。
Interporation にはいくらかの変数の設定方法があります。詳しくは上記ドキュメントをご参照ください。
方法 2:ホストへのポートバインドをやめる
動的なポート変更では対応できないケースがあります。
SNS マネジメントツールを開発する SocialDog では、サービスの性質上 OAuth を使った連携処理が多く実装されており、ローカルの開発環境でも HTTPS エンドポイントを使えると都合がよいです。
つまり、必然的に 443 番ポートを変更せずそのまま使いたくなります。複数の環境で同じポート番号を使うにはどうすればよいでしょうか。
同じ IP アドレス上で複数のプロセスが同じポート番号をバインドすることはできません。[7][8]
ならばホストへのポートバインドをやめればよいのです。
もちろんホストへのポートバインドをやめるということは、ホストからコンテナサービスに直接アクセスできなくなります。そこで、踏み台となるプロキシサーバーをコンテナ環境のネットワークに参加させることで、プロキシ経由でアクセス可能にします。
具体的なやり方を理解するために、まず Compose ファイルのマージについて紹介します。
Compose ファイルのマージ
docker compose コマンドを実行すると、デフォルトでカレントディレクトリのファイル compose.yaml が読み込まれます。[9]
それだけでなく、compose.override.yaml という名前のファイルが存在すれば同時に読み込まれます。[10][11]
「同時に読み込まれる」と書きましたが、Docker Compose は複数の Compose ファイルをマージする機能を提供しています。
個々の開発者の裁量で Docker Compose の構成をカスタマイズできるよう、compose.override.yaml は git のバージョン管理から除外(.gitignore に追加)しておくとよいでしょう。ちなみに SocialDog の開発では compose.override.yaml.sample というファイルをリポジトリにコミットし、ニーズに合わせた構成オプションを提供しています。
これから実現するポートバインドの無効化も、compose.override.yaml 上で定義する想定で紹介します。
ports 設定の上書き
compose.override.yaml に ports 設定をそのまま書くと、「上書き」ではなく「マージ」になります。
つまり、次のような 2 つのファイルがあったとき
services:
nginx:
ports:
- 80:80
services:
nginx:
ports:
- 8080:80
これらをマージした環境は実質的に次の構成と同じになるということです。
services:
nginx:
ports: # 設定がマージされている
- 80:80
- 8080:80
しかし今回のケースでは、 ホストへのポートバインド定義自体をリセットしたい ので、次のように !reset null というタグを付与します。[12]
services:
nginx:
# ポートバインド設定の削除
ports: !reset null
プロキシ経由でアクセス
ホストへのポートバインドをやめたので、プロキシ経由で当該コンテナへアクセスできるよう、プロキシサーバーコンテナの定義も追加します。ここでは ubuntu/squid イメージコンテナを使った例を示します。[13][14]
services:
nginx:
# ホスト名を設定
hostname: socialdog.test
# ポートバインド設定の削除
ports: !reset null
expose:
- 443
squid:
image: docker.io/ubuntu/squid:5.2-22.04_beta
volumes:
- ./squid.conf.d:/etc/squid/conf.d:ro
ports:
- ${PROXY_PORT:-3128}:3128
cap_add:
# ICMP パケット用
- NET_RAW
上記の例では、デフォルトでホストの 3128 番ポートから、squid サービスコンテナをプロキシサーバーとして利用できます。
つまり次のような .env ファイルを同じ階層に配置すれば、ポート設定を上書きすることができます。
PROXY_PORT=13128
補足すると、同一プロジェクトの Docker Compose のサービス(コンテナ)は、明示的に変更しない限り同じネットワークに所属し、サービス名がそのままホスト名になります。つまり互いにサービス名を使って IP アドレスを解決できます。
具体的には上記の場合、 squid サービスコンテナから、ホスト名 nginx を使って nginx サービスコンテナの IP アドレスを解決できます。
明示的にホスト名を設定する場合、hostname に定義します。
services:
nginx:
# ホスト名を設定
hostname: socialdog.test
上記の場合、socialdog.test で nginx サービスコンテナの IP アドレスを解決できます。
この例ではホスト名をドメイン名で設定(例えば socialdog ではなく socialdog.test で設定)していますが、これはいくつかの点で重要です。
例えば多くの Web ブラウザは「ドメイン名と認識できない文字列」を URL のホスト名として利用できません。ブラウザから当該コンテナへホスト名でアクセスさせるためには、このように ドメイン名と認識できる文字列を hostname に設定しておく必要があります。
Squid プロキシ(squid サービス)の設定例です。
acl CONNECT method CONNECT
acl SSL_ports port 443
acl Safe_ports port 80
acl Safe_ports port 443
http_access allow CONNECT SSL_ports
http_access allow Safe_ports
HTTPS プロトコルでは通信内容が暗号化されるため、プロキシサーバーは暗号化された通信をそのまま中継する必要があります。そのため、TCP トンネリングを行う CONNECT メソッド を利用できるように設定しています。
先程説明したように Docker Compose ネットワーク内では、hostname で設定したホスト名を使って当該コンテナの IP アドレスを解決できます。
本構成ではプロキシサーバーコンテナを経由して nginx サービスに接続しますが、ホスト名はプロキシサーバーコンテナ上で名前解決する必要があります。 この点は重要です。
もし SOCKS プロキシを使う場合、プロキシサーバーにホスト名をそのまま渡せる SOCKS5 プロキシを利用する必要があります。
なおコンテナサービスに MySQL や PostgreSQL といったデータベースコンテナが含まれる場合、おまけで Adminer サービスも追加しておくと、環境ごとにデータベースをブラウザから確認できるのでおすすめです。[15]
services:
db:
image: docker.io/postgres
environment:
POSTGRES_PASSWORD: example
restart: always
# adminer の定義
adminer:
image: docker.io/adminer:latest
hostname: adminer.test
restart: always
# プロキシの定義
squid:
image: docker.io/ubuntu/squid:5.2-22.04_beta
volumes:
- ./squid.conf.d:/etc/squid/conf.d:ro
ports:
- ${PROXY_PORT:-3128}:3128
cap_add:
- NET_RAW
この例の場合、プロキシ経由のアクセスで http://adminer.test:8080 にアクセスすると、Adminer の画面を開くことができ、データベースクライアントとして利用できます。
前述の通り「同じプロジェクト名で管理されるサービスコンテナ間は、互いにサービス名で IP アドレスを解決できる」ので、上記の例では db というホスト名で postgres データベースにアクセスできます。
制限
hostname に localhost といったループバックアドレスを示すホスト名は指定すべきではありません。
ブラウザが認識できるなにかしらのホスト名は指定する必要があるので、RFC 2606 で予約されている .test トップレベルドメインを利用するなどを推奨します。
なお、 複数の Compose 環境間で同一の hostname を設定しても問題ありません。 各プロキシサーバーコンテナからアクセスできるサービスは、プロジェクト名ごとに環境が分離されるため、接続するプロキシサーバーコンテナを変えれば、アクセスできるサービスもまた変わるためです。
ただ、繰り返しになりますが「プロキシに名前解決させる」ことに留意する必要はあります。
注意
プロキシ経由でコンテナへアクセスすることは、一種の複雑性を持ち込むことになります。
プロキシの設定やプロキシを扱うソフトウェア側のバグなどによっても、「動作するはずのコードが動作しない」ということがおきえます。
何か動作がうまくいかないときは、一度通常通りの構成でデバッグすることを強くおすすめします。
.env による環境分離
前述の .env ファイルによるポート設定は、もちろんプロジェクト名と一緒に設定できます。
COMPOSE_PROJECT_NAME=some-project
PROXY_PORT=13128
- コンテナ環境はプロジェクト名で分離する
- ホストへのバインドポートはプロキシポートだけ使い分ける
compose.override.yaml は共通の定義を利用し[16]、
上記の設定は .env ファイルで区別するだけで、環境を分離しながら Compose 環境を複数立ち上げられるようになります。
プロキシの利用例
開発で役立つプロキシサーバーの設定例を紹介します。
Playwright MCP
Playwright MCP サーバーの起動時引数でプロキシを設定することができます。
次は Claude Code での設定例です。
{
"mcpServers": {
"playwright": {
"type": "stdio",
"command": "npx",
"args": [
"@playwright/mcp",
"--proxy-server",
"http://127.0.0.1:13128"
],
"env": {}
}
}
}
プロキシサーバーの接続先を変えれば、別の Compose 環境に接続できます。つまり Claude Code を並列実行しても環境が衝突しません。
Chromium での設定例
macOS の場合、Chrome だと(macOS の)システム設定上のプロキシを利用する必要があります。
代わりに Chromium をインストール[17]し、コマンドラインから任意のプロキシを設定して起動すると便利です。
# Chromium のインストール(macOS の場合)
brew install --cask ungoogled-chromium
--proxy-server オプションでプロキシサーバーを指定できます。
/Applications/Chromium.app/Contents/MacOS/Chromium \
--user-data-dir=.chromium-profile \
--proxy-server=http://127.0.0.1:13028 \
https://socialdog.test # hostname で指定したドメイン名を使うこと
例のように --user-data-dir を指定すると、当該ディレクトリにプロフィール情報を保存できます。具体的には、ブックマークや保存したパスワードなどを次回起動時にも引き継ぐことができます。こちらも環境ごとに分けておくと便利です。
Firefox での設定例
# Firefox のインストール(macOS の場合)
brew install --cask firefox
Firefox の場合、--profile オプションでプロフィール情報を保存するディレクトリを指定できます。
/Applications/Firefox.app/Contents/MacOS/firefox \
--profile .firefox-profile \
--no-remote \
https://socialdog.test # hostname で指定したドメイン名を使うこと
Firefox はプロキシをコマンドラインから指定できず、設定画面上でプロキシを設定する必要があります。
次は HTTP プロキシを設定する例です。

Safari でのプロキシ利用
筆者の調べた限りですが、残念ながら Safari では任意のプロキシをブラウザインスタンスごとに指定することができないようです。
macOS の場合、システム設定でプロキシを設定する必要があります。
おまけ:Podman の活用
本環境の動作確認は Podman Desktop を使った docker compose 環境で行いました。
Podman はコンテナ管理のための中央集権的なデーモンプロセスがないため [18] フットプリントが軽く複数立ち上げに適していると感じています。
他
環境を複数用意するにしても、環境構築の手間は都度発生します。
こちらについては Makefile を使って、あらゆる依存関係を自動で解消する Tips についても以下記事で紹介してますのでぜひご参考ください。
SocialDog でも、例えば以下を 1 つのコマンドで用意できるように工夫しています。
- コンテナ環境のビルド
- yarn による依存系のインストール
- データベースのマイグレーション
- Composer による依存系のインストール
- 1Password CLI を使ったシークレットファイルのダウンロード
あとがき
最近 Django の共同開発者である Simon Willison 氏が Vibe engineering というブログ記事を投稿されていました。
こちらの中で、次の一文が印象的でした。
AI tools amplify existing expertise. The more skills and experience you have as a software engineer the faster and better the results you can get from working with LLMs and coding agents.
Claude Sonnet 4.5 による邦訳:
AIツールは 既存の専門知識を増幅させます。ソフトウェアエンジニアとしてのスキルと経験が豊富であればあるほど、LLMやコーディングエージェントと協働することで、より速く、より良い結果を得ることができます。
本記事を書くにあたっても、AI を使って開発を効率化するために、既存の技術を深く知り応用を考えることは改めて重要だと思いました。
よきコーディングライフを。
-
ブランチに限りません ↩︎
-
ここでは
git worktree addで作成したディレクトリおよび作業領域のこと ↩︎ -
各ワークツリーの
compose.yamlファイルに差異がある場合などはこの限りではありません ↩︎ -
-fフラグで複数指定されたときは最初に指定されたファイル ↩︎ -
-fフラグで複数指定されたときは最初に指定されたファイルが存在するディレクトリ名 ↩︎ -
特に
-f -を指定し標準入力から Compose 定義を与えた場合が該当すると思われます ↩︎ -
同じ IP アドレスとポート番号の組み合わせでも、TCP と UDP の各ポートは別物として扱われます ↩︎
-
SO_REUSEPORT の利用など特殊な条件は考えないものとしています ↩︎
-
compose.yml、docker-compose.yaml、docker-compose.ymlもサポートされている ↩︎ -
COMPOSE_FILE 環境変数 でこれらのデフォルトを上書きできます ↩︎
-
-fフラグで任意の Compose ファイルを指定することも可能です。つまりデフォルトの挙動は-f compose.yaml -f compose.override.yamlと同等です ↩︎ -
!reset []でもよいです。なお既存のポートバインド定義を上書きしたければ、!overrideを使います ↩︎ -
443 ポート を
exposeに指定しなくても動作上は問題ありません。これはメタ情報として扱われ、コンテナが当該ポートを公開することを示すための一種のドキュメントになります ↩︎ -
もともと DBeaver を愛用していましたが、OpenJDK が SOCKS5 でのドメイン名リクエストをサポートしていないためこの点で都合が悪かったというのが本音です。ただ Adminer は本当に使いやすいです ↩︎
-
筆者はワークツリー間で共通の
compose.override.yamlを配置する際、cpではなくlnコマンドでハードリンクを作成し、変更が同期されるようにしています ↩︎ -
もともと
brew install --cask chromiumで記事を執筆していましたが、2025/7/27 に deprecated になったようです ↩︎ -
仮想マシン上でコンテナサービスを立ち上げホストから接続する場合や docker compose を使う場合、API 待ち受け用のデーモンプロセスは必要です ↩︎
Discussion