アジャイルが解決!「成功を妨げる3つのギャップ」とアンチパターン的反応!
SocialDog でエンジニアやっている Kaz です。
以下を読んでいて出てきた内容が、個人的に非常にぶっ刺さったため、社内 LT 会で共有しまして、それをベースに記事もまとめてみました。
スプリントゴールで価値を駆動しよう: 価値探索に焦点を合わせたスクラムの実践 by マールテン・ドーメイン
個人の主観や理解も含まれているため、本の内容と異なる点もあるため、ご了承ください。
計画成功を妨げる 3 つのギャップ
ステファン・バンゲイによると計画の成功を妨げる3つの主要なギャップ、というものがあるそうです。
- 知識のギャップ: 知りたいことと、実際に知っていることの違い
- 狙いのギャップ: 他人に行動してほしいことと、実際の行動の違い
- 効果のギャップ: 期待する達成と、実際に達成できたことの違い
そしてこのギャップは、「摩擦」によって増幅されます。
摩擦: 阻害要因
「摩擦」とは、物事がスムーズに進まない要因となるものとされています。
明らかに簡単なことを非常に難しくする力
カール・フォン・クラウゼヴィッツ(プロイセン軍将軍)
- 驚きが起きる機会を増やす、あらゆるもの
- 素早く変化する複雑な環境において、共通のゴールをバラバラな心で実現しようとする際に生じる
マールテン・ドーメイン(著者)
ギャップに対する通常の反応
これらの「ギャップ」に直面したとき、人が取りがちな(アンチパターン的)「通常の反応」が述べられています。
知識のギャップ → 多くの時間を計画に
知りたいと思うことよりも、少ないことしか知らない状態です。
通常の反応
多くの時間を計画策定、分析、方法の議論に費やそうとしてしまいます。
問題点
どれだけ時間を使っても、今知らないことを知ることはできません。時間を費やすほど雑音が増え、「知っていると信じていること」が入り込み判断を曇らせることとなります。
結果として、知らないことを隠しかねない点も問題です。
狙いのギャップ → マイクロマネジメント
他人に行動してほしいことと、実際の行動の違いです。ギャップは故意でない場合も多いと考えられます。というのも、人は間違いを犯してしまうからです。ストレスが強い環境だと特に。
通常の反応
より多くの指示を出し、推敲に時間を費やします。良い指示を、より頻繁に出そうとします。
結果、マイクロマネジメントになります。
問題点
「より多くのより良い指示」とは、製品の分厚い取り扱い説明書みたいなものです。ほとんどの人に読まれず、読んだとしても全部覚えられず、そして変化に対応されず、情報が古くなっていきます。
そして何より、すべての状況がその説明書に書かれているわけではないので、予想外が起きた際に対応できなくなります。そのことによって、また説明書が分厚くなることでしょう。
効果のギャップ → 強固な統制
自分たちの行動が、当初期待していたのとは結果が異なる状態です。
通常の反応
次回は結果を確実にするため、メトリクスを可視し、統制をよりきつくします。制約や制限を強固にすることで、統制されている状態を維持しようとします。
問題点
その統制に執着することがゴールとなってしまうことが起こりえます。
例えばカスタマーサポートで、従わなければならないルール >>>>> 顧客の最適な成果という状況を経験したことがある人も多いことでしょう。
通常の反応に対処するためのアジャイル
これらのギャップによる摩擦に遭遇したときに、アジャイルソフトウェア開発宣言の価値が有効であると著者は記しています。
プロセスやツールより個人との対話を
「プロセスやツール」に固執する場合、「狙いのギャップ」「効果のギャップ」による摩擦があったと考えられます。
「思ったとおりに人が動かない」から「こういうツールを導入しよう」とか、「期待した結果にならない」から「プロセスをより細かくしよう」とか。
しかし、「個人と対話」することで、マイクロマネジメント的な動きや、過度な統制を避けることができるかもしれません。
包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを
「包括的なドキュメント」は、「事前にすべてを知っていること」を前提に書かれることも多いことでしょう。それはつまり、「知識のギャップ」による摩擦に「より計画する」ことで対応することだと考えられます。
しかし、いたずらに計画に時間を使うことは、時間を浪費するだけになってしまう結果になりかねません。
「動くソフトウェア」を作ることで、「知っていること」を増やし、不確実性を減らすことができるかもしれません。
契約交渉よりも顧客との協調を
「契約交渉」とはつまり、「こういうふうに動いてほしい」という「狙いのギャップ」への摩擦と、「契約内容以上のことはやらない」という「効果のギャップ」への摩擦への通常の反応のコンビネーションと考えることができます。もちろん、「契約」するためには「すべてを知っている」という前提も必要になるため、より時間がかかる結果になるかもしれません。結果、「契約」に時間がかかることで、ビジネスチャンスを失うこともあるでしょう。
「顧客との協調」を前提とすることで、それらの摩擦を避けることができるかもしれません。
計画に従うことよりも変化への対応を
「計画に従うこと」それ自体が「効果のギャップ」による摩擦の弊害だと考えられるでしょう。また、「従うだけでよい計画」を立てるのも、時間がかかります。そして、「計画に従っているか」を監視、管理するのも「狙いのギャップ」による摩擦が引き起こす問題となります。
「変化に対応すること」を前提とすることで、それらの問題点を避けられるかもしれません。
終わりに
個人的にこれらの「3つのギャップ」への「通常の反応」が心当たりがありすぎて…
「人とはそういう反応をしてしまうものだ」ということと、「それを避けるためにどう考えるべきか」ということが言語化されていると、そういった状態をメタ認知しやすくなりますね。本当に、こういう感覚や現象を明確な言葉にできるのはすごいと、毎回思わされます。
「通常の反応」を避けることで「摩擦」をなるべく減らし、顧客に素早く価値を届ける開発を進めていきたいと思います!
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