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ChatGPTの「記憶」「指示」「Canvas」などの違い整理メモ

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ChatGPTの「記憶」や「カスタム指示」「プロジェクト指示」「Canvas」など、設定項目が多くて混乱することがあったので整理。

自分用のメモとしてまとめたものですが、似たようなところでつまずいた人の参考になればと思って記事に残します。

  • 情報:2025/09/05時点
  • モデル:ChatGPT-4o
  • 環境:Windows/ブラウザ

ChatGPTにおける情報管理構造:記憶・指示・編集ファイルの整理体系

構成図(構造ツリー)

ChatGPTユーザー設定全体
├─ グローバル設定(共通で影響)
│ ├─ 記憶(Memory)
│ └─ カスタム指示(Custom Instructions)
│
├─ プロジェクト(Projects)単位(用途ごとに独立)
│ ├─ プロジェクト指示(Project Instructions)
│ ├─ チャット履歴(プロジェクトに紐づく)
│ ├─ プロジェクト記憶(Project Memory)
│ │   └─ オプション:プロジェクト専用メモリ(Project-only Memory)
│ ├─ Canvas(チャット内で編集可能なドキュメント)
│ └─ ファイル(プロンプト、編集状態、その他構成情報)
│
└─ チャット履歴(Projectsに属さないグローバルな会話)

※ グローバルなチャット履歴と、Projectsに紐づくチャット履歴は異なる構造を持ちます。前者は一時的で設定に依存せず、後者はプロジェクト内の設定やCanvasと連携して保持されます。

各構成要素の定義と用途

1. 記憶(Memory)

  • ユーザー情報(職業、話し方の好み、関心分野など)を長期的に保持
  • すべての会話・プロジェクトで共通して使用される
  • 2025年時点では「保存された記憶」に加えて、最近のチャット履歴からの学習・参照が強化(Plus/Proはより長期の継続理解)
  • ユーザーが管理・削除可能(設定の記憶管理から)。「Reference saved memories」をOFFにすると、チャット履歴の参照(Reference chat history)も同時にOFFになる
  • 一時的に記憶を使いたくない場合は「Temporary Chat」を利用

2. カスタム指示(Custom Instructions)

  • 初回チャット開始時に読み込まれるユーザープロファイル
  • 望ましい応答スタイル、話し方、得意分野などを記述
  • 全チャットに共通で適用される(プロジェクトには依存しない)

3. プロジェクト指示(Project Instructions)

  • 特定プロジェクト専用のルールや指針を記述
  • キャラクター設定、用途、制約などを個別に指定可能
  • 他プロジェクトに影響を与えない
  • プロジェクト専用メモリ(Project-only Memory)を有効化すると、そのプロジェクト内の会話・ファイルのみを参照し、グローバルの保存記憶を参照/汚染しない

4. Canvas(キャンバス)

  • プロジェクト内で作成・編集できる文書/コードファイル
  • 長文の編集、分担作業、コードレビュー、バージョン管理に適する
  • チャットと連携しながら同時に利用可能

5. チャット履歴

  • プロジェクトに紐づく会話の記録
  • Canvasや指示と組み合わせて、文脈の保存やナレッジ活用が可能
  • 参照は自動要約・抽出ベース(語句一致ではなく意味類似)。プロジェクト専用メモリON時は、同プロジェクト内の履歴に限定して参照される

各構成要素の概要整理

項目 説明 備考
記憶(Memory) 個人に依存する情報を保持 「記憶の管理」から編集可/保存記憶+履歴参照。設定で保存記憶をOFFにすると履歴参照もOFF
カスタム指示 利用者の希望スタイルや背景を明示 設定フォームから編集可
プロジェクト指示 用途ごとの専用設定 誤解や文脈ロスを補正。Project-only Memoryで外部と分離可
Canvas チャット内で編集できるドキュメント コメント・段階的な更新が可能
ファイル(Projects内) 保存された構成情報やプロンプトなど ユーザー操作はできない(内部保持)。対象により自動読み込みされない場合あり
チャット履歴 会話のバックログ 重要箇所を自動抽出して参照。プロジェクト専用メモリON時は同プロジェクト内に限定

各構成要素におけるトークン消費と読み込み範囲

構成要素 読み込み範囲 補足
記憶(Memory) 部分的 保存記憶+(プランに応じた)最近の会話理解を参照。必要な要素のみが注入される
カスタム指示 全量 チャット開始時にプロンプトへ完全に挿入。長いほどプロンプトを圧迫
プロジェクト指示 全量 毎回読み込まれる固定情報として影響。簡潔さが重要
Canvas 全量 編集内容は基本的にプロンプトへ挿入。長文はコスト増
ファイル(Projects内) 全量 操作内容により読み込み挙動は変化。巨大ファイルは分割運用が無難
チャット履歴 部分的 直近・重要部分を自動抽出。Project-only Memory ONなら同プロジェクト内履歴のみ。保存記憶OFFで履歴参照も無効化

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