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Immersive virtual reality for pragmatics task development
<文献>
Naoko(2022) Immersive virtual reality for pragmatics task development
Research Question
- タスク媒体(VRとコンピュータ)と状況的要因(圧、距離、押し付け程度)の違いは参加者の発話行為の流暢性に影響を与えるのか。
- タスクの特性の違いは参加者の発話行為ストラテジーの使用に影響するのか。
Method
participants
- アメリカの2大学から募集した62名の学生。
- L131名(男性13名女性18名)、18-39歳(平均19.9歳)
- L231名(男性12名女性19名)、18-28歳(平均20.7歳)
- L2の大半は中国語母語話者(28名)、韓国人(2名)、ベトナム人(1名)
- L2全員アメリカに約1年在住、学習歴約12年
- TOEFL平均スコア103.42点
- L220名はVR未経験者、11名は数回使用経験あり
Task situations
- 依頼(4項目)、意見(4項目)、拒否(2項目)の計10項目の発話を誘発する2種類のロールプレイタスクを作成。VRもCPも参加者が与えられた役割を演じ、指定されたspeech actを行うというシナリオであった。
- 10個のspeech actはBrown & Lenvinson(1987)の3つの文脈要素(Power(P), Distance(D), Imposition(R))に基づき2つにわけられた。①大きな強制力をもち、参加者よりも大きな権力と社会的距離のある人に向けたspeech act(PDR-high)。②大きな押し付け(R)を伴い、自身と同等の力、小さな社会的距離のある人に向けたspeech act(PDR-low)。各課題には10個の目標speech actに加え、5個のdistractor speech actが含まれる。標本t検定よりPDF-high speech actはPDR-low speech actよりも難しい認識していることが示された。
Task Mediums
- 上記の状況を用いてタスクを開発した。CPベースタスクはsingle-modal input(文章など)でVRベースタスクはmulti-modal input(オーディオビジュアル入力など)であった。CPタスクでは参加者は想像上の対話者に向かって発話、VRタスクは360°visualizationsに登場する対話者に向かって発話。実験前に練習タスクあり。
- CPタスクはLiveCodeを用いて作成。シナリオにvidual inputは組み込まなかった。状況説明の文字が画面上に20秒間現れ、消えたら参加者はCPに向かって話す。話し終わったらクリックして次の項目に進む。時間測定なし。
- VRタスクはInsta360を用いて作成し、動画をYouTubeにアップロード。参加者はOculus Goを用いて視聴。20秒間状況説明の文字が表示。消えた後最初に30秒間で設定された環境を見て慣れる時間が与えられた。最初の30秒は映像中の登場人物がプロンプトを伝え、参加者は割り当てられた役割を演じて応答する。デジタルボイスレコーダーで録音。時間測定なし。
Data collection
- 参加者は、informed consentと背景に関するアンケートに回答した後、学内の静かなオフィスで2つの課題を行った。2つのタスクは2週間おきに実施された。
- 半数の参加者(無作為抽出)はCPベースタスク後、2週間後にVRベースタスクを行った。残りの参加者は順序を逆にした。参加者は、コンピュータベースのタスクに約15分、VRベースのタスクに約30分費やした。参加者の一部は、follow-up interviewに参加した。
Data analysis
- RQ1の分析:タスクの媒体、状況が参加者のspeech act productionの流暢性に影響を与えるかどうかという問いに対し、流暢さを発話速度によって操作した。二次元配置反復測定ANOVAをL1とL2群に分けて行った。(従属変数:発話速度、グループ内要因:タスク媒体、状況)
- RQ2の分析:タスク媒体と状況が参加者のspeech act strategiesの使用に影響を与えるかどうかという問いに対し、CPベースタスクとVRベースタスク、PDR-lowとPDR-highの状況のspeech actが別々にコード化された。
- コーディングの枠組み(Beebe, Takahashi, & Uliss Weltz, 1990; BlumKulka, House, & Kasper, 1989; Taguchi, 2012)を採用し、データをmain strategiesとmodificationsの領域でコーディングした。main strategyは対象となるillocutionary forceを伝える発話で直接性の程度についてコーディングされた。modificationはmain strategyに付加される言語的要素で、意図を明確にしたり力を弱めたりするのに役立ち聞き手のfaceに与える潜在的なダメージを軽減する。
- データのコーディングは経験のある応用言語学博士の学生が行った。正確さを保つために2回チェックを行った。さらに別の博士課程の学生が約40%のデータをコーディング。Cohen Kappa値は0.76で相互一致が見られた。
- データコード化後、direct strategiesの頻度とmodificationsを集計。正規分布の仮定を満たさなかったため、ノンパラメトリック反復測定検定(Wilcoxon検定)を用いてCPとVRの発話、PDR-low/ highの間でdirect strategiesの頻度が異なるかどうかを検討。2回に分けて比較したためα-levelは0.025に調整。
Results
- VRを用いたclosed role-playタスクにおいてL1、L2どちらの群も流暢さが低下した。仮想的没入空間で実際の人物を描いた映像に反応する必要がある課題。CPベースタスクでは両群とも流暢に話すことができた。
- modificationについて、どちらの群もVRの用いたspeech actで意図を伝えるためのmodification devicesを多く用いていた。しかし、main speechのdirectness levelは両タスク媒体で同程度だった。
- VRタスクにおけるspeech actに見られるmodificationsの回数からspeech act速度は遅く、長く、精巧な発話行為表現であることが明らかになった。
- PDR-highではL1、L2群ともに流暢に発話することができなかった。この状況ではL1話者はdirect strategiesをあまり使わず、modificationsを多く使い、この傾向は両タスク媒体で同じだった。L2話者はPDR-highではタスクの媒体に関わらず多くmodificationsをするが、direct strategiesはVRタスクでのみ影響を受ける。PDR-highのspeech actではVRでのみ直接的な表現が少なくなる。
Future directions
- サンプルサイズの小ささ
- 研究対象を他言語、集団に拡大する必要あり(文化的背景が影響する可能性あり)
- 幅広い習熟度の参加者を対象とした研究も必要
- 参加者のVR機器に対する快適さを評価していない
- 研究者は十分な情報に基づいた決定を行う必要あり
- VRタスク作成には高いコストがかかる。実用性も懸念事項。VRは既存のタスクの代替ではなく、1つの選択肢として検討されるべき。
読みたい文献
- Beebe, L. M., Takahashi, T., & Uliss-Weltz, R. (1990). Pragmatic transfer in ESL refusals. In R. Scarcella, D. Andersen, & S. Krashen (Eds.), Developing communicative competence in a second language (pp. 55–74). New York: Newbury House.
- Blyth, C. (2018). Immersive technology and language learning. Foreign Language
Annals, 51, 225–232. https://doi.org/10.1111/flan.12327 - Halenko, N. (2013). Using computer animation to assess and improve spoken language skills. In Conference proceedings: ICT for language learning (p. 286). Florence, Italy: Libreriauniversitaria.
- Brown, P., Levinson, S. C., & Levinson, S. C. (1987). Politeness: Some universals in language usage (Vol. 4). Cambridge university press.
Discussion