データファブリックについて調べてみた
データファブリックについて軽く調べて見たので、自分の頭の整理も兼ねて書いてみたいと思います。
1. データファブリックとは?
データファブリックは、一言でいえば
分散したデータを、統合的で柔軟な仕組みでつないで、必要なときに必要な形で活用できるデータ基盤
です。
データウェアハウスやデータレイクなどとは異なり、より動的で拡張性の高いアプローチをとり、複数のデータソースや分析ツールを“織り込んで(ファブリック=布地)”いくことで、データのシームレスな活用を可能にするデータアーキテクチャを指します。
2. ハイプ・サイクルにおけるデータファブリックの位置づけ
2024年のGartner Data Managementハイプ・サイクルでは、データファブリックは「幻滅期(Trough of Disillusionment)」に位置づけられています。(参考: Gartner Hype Cycle for Data Management 2024)
幻滅期とは、ピーク時に膨らんだ期待がいったん沈静化し、「本当に使いこなせるにはどのような仕組みが必要か?」が再考される段階です。とはいえ、Benefit Ratingは「Transformational」と評価されており、今後5〜10年以内に主流化し、企業のデータ基盤を支える中核技術になると期待されています。
3. データファブリックの特徴
データファブリックが注目される理由は、その柔軟性と拡張性にあります。
異なる環境(オンプレ、クラウド、ハイブリッド)や多様なツール(ETLツール、BIツール、機械学習基盤)を透過的につなぐことで、データパイプラインの構築や管理を容易にします。また、メタデータ管理とガバナンスを強化し、データ品質・セキュリティを確保しやすくします。
4. データウェアハウスやデータレイクと何が違うのか?
データウェアハウスやデータレイクなど、特定のスタイルにデータを格納・統合することが中心でした。
従来のデータウェアハウスは、整然とした棚にデータを整理して並べるイメージ、データレイクはあらゆるデータを溜め込む巨大な箱のような存在です。
しかしデータファブリックは、「既存の複数の箱や棚(=分散されたデータソース)を布地のようにつなぎ、必要なときに必要なデータを取り出す」アプローチです。つまり、データを必ずしも一箇所に集約せずに、分散状態のまま柔軟に活用できる点が大きな違いです
5. データファブリックアーキテクチャを実現するために必要な要素
データファブリックはアーキテクチャを実現するために必要な要素として以下が挙げられます。
- メタデータ管理基盤: データ所在、品質、アクセス権限、などの情報を統合的に管理
- データ統合・仮想化ツール: データを物理移動せずとも必要な時に接続・参照できる仕組み
- ガバナンス・セキュリティ: データアクセスルールやコンプライアンス対応
- 自動化・オーケストレーション: データパイプラインの自動構築・更新、品質モニタリング
- 分析ツールとの連携: BIツールや機械学習基盤とのシームレスな接続によるデータ活用促進
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