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上流工程担当者に贈りたい「おまえら、NFT・メタバース・Web3について、勘違いしてないか?」

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🎍 はじめに

この記事は、QiitaのNFT Advent Calendar2021の17日目の記事であり、記載内容は投稿日時時点の情報です。

Facebook社がMeta社に社名変更して以降、表題のキーワードは一種のバズワードとして、様々な媒体で紹介されています。一方で、その内容は玉石混交であり、嘘を嘘と見抜けない人が騙されてしまう事案も多く見受けられます。百歩譲って他人事ならいざ知れず、自社にこれらのバズワードに係る案件が舞い込んできた時、その要件が石に基づいて定義されたものだと、一開発者としては、ため息をつかざるを得ないですね。

これらのバズワードに実際に携わる者として、本稿では、おまえらの勘違いを簡潔な解説とともに指摘していきます。

https://about.facebook.com/meta

✔ 要約

  • NFTとは、「ブロックチェーン上で使われる、一意に識別するための識別子が付与されているトークン」です。それ以上でもそれ以下でもありません。
  • メタバースは、ブロックチェーンやNFTに支えられていません。
  • Web3は、ブロックチェーン技術もLayerに含まれていますが、「ブロックチェーンを使用したWeb」と要約するのは些か雑です。

🎅 NFTとは「識別子つきのトークン」です

「NFTとはなにか」という巷の記事では、「代替不可能なトークン」と紹介されることが多いNFTですが、「代替不可能なトークンとは具体的になんなのか」を教えてくれるソースは多くありません。ではNFTとはどういうものなのかというのは、ブロックチェーンの仕様によって異なるので一概には言い切れないのですが、概ね以下のようなトークンを指します。

{
  "id": 000000001,
  "token_id": "57708047907959245167290714890948782768599320232661195624028503327339288985XXX",
  "token_metadata": "https://ipfs.io/ipfs/XXX,
  "off_chain_image_url": "https://drive.google.com/drive/XXX",
  "on_chain_image": "base64などでエンコードされた画像"
  "detail": "これは自分のOpenSea Assetsを元につくったZenn記事用トークンです。無断転載は禁止。問い合わせはTwitter(@Skmt3p)まで"
  /* 以下略 */
}

このトークンは、サービス内でのプライベートな識別子であるidとブロックチェーン上で一意となるtoken_idを持っています。そして、このtoken_idを持つことがNFTをNFTたらしめます。NFT(Non Fungible Token)には一意な識別子があり、FT(Fungible Token)にはそれがありません。これがNFTが代替不可能といわれる所以です。なお、本稿ではコントラクトの中にFTとNFTを併せ持つことができるMFT(Multi Fungible Token)の仕様については言及しません。

逆に言えば、 こうした識別子付きトークン以外はNFTではありません。 投稿時現在、NFTアートなるものが流行っていますが、現在流行しているNFTアートの多くは、 NFT(が参照先を示しているだけの)アート でしかありません。しかも、その参照先が分散型のストレージたるIPFS等(token_metadata)ならまだしも、オンチェーンでも分散管理されているわけでもない場合(off_chain_image_url)、その参照先がいつまで存在するかも分からず、気づいたら虚無を参照しているということもありえます。そして、オンチェーンのコントラクトが行われたとして、それで真贋が証明されるわけでもなければ、技術的に所有権が証明できるわけでもありません。したがって、現状、オンチェーンで取引が行われるメリットは、コントラクトの履歴がブロックチェーンに残ることくらいではないでしょうか。 NFTはあくまでもただの識別子付きのトークンでしかないのです。

ただ、NFTと聞いて、条件反射で否定をするのも考えものです。例えば、参照先が虚無になる問題や、(契約次第ではあるものの)アートの所有権の問題は、将来的にオンチェーンアート(on_chain_image)が普及すれば、解決策の一手となりえます。また環境問題については、そもそもNFTの話ではなく、ブロックチェーンの、しかもマイニングが主要因となっている話です。それについても、Proof of Stakeは環境負荷を大きく下げることができ、完全解決とは言えずとも、解決に向けた一歩を歩むことができます。

結論: 「おまえら、NFTについて、勘違いしてないか?」

  • 「NFTを配る」企画や商談をしている企画・営業・決裁担当者のおまえらへ
    • NFTってただのトークンなんですけど、それをもらって対象者にメリットある?NFTをアートとか音楽とか3Dモデルのことだと勘違いしてないか?
    • NFTを受け取る側の労力を考慮してる?配ればもらってくれるものだと勘違いしてないか?対象者はウォレットを持ってないかもしんないぞ。
    • ブロックチェーンの導入は、技術的ハードルが高いだけでなく、法務や税務の観点での経営判断も必要だぞ?ステークホルダーとコンセンサスとれてるか?一朝一夕で導入できるもんだと勘違いしてないか?
  • NFTと聞いて条件反射で否定のお気持ちを述べちゃうおまえらへ
    • おまえらが懸念している事案は、本当にNFTに対する懸念か?一部の利用者の問題を全体の問題と勘違いしてないか?
    • ブロックチェーン技術の問題点をNFTの問題と勘違いしてないか?別物とは言わないが、同じ物として語るべきものでもないぞ。
  • NFTのクソ記事を書いたりクソ情報商材を売ったり、NFTについてあることないこといってるインフルエンサーのおまえらへ
    • 頼むから勘弁してくれ。おまえらの不確実な発信が、ブロックチェーン業界の発展につながるものと勘違いしてないか?ブロックチェーン界隈の人々の肩身を狭くしてるんだぞ。今やNFTとかブロックチェーンに胡散臭さがついてまわるようになっちまったじゃねえか。

🎄 メタバースは、ブロックチェーンやNFTに支えられていません。

ニール・スティーヴンスンの『スノウ・クラッシュ』中に登場する電脳空間が原典とされているメタバースという語ですが、昨今では、広く仮想空間・電脳世界・VRなどを指す語として使われています。正直、これはこれでいいと思っており、本稿でこの定義について、とやかく言うつもりは毛頭ございません。メタバースとVRの違いも、「ユニバースやマルチバースに対するメタバース」「ARやXRに対するVR」くらいの解像度と使い分けで十分というのが私めの所感です。どこかの会社は「オープンメタバース」とか「パラリアル」という語を使っていますが、それもそれでヨシではないでしょうか?

結論: 「おまえら、メタバースについて、勘違いしてないか?」

  • 日本メタバース協会のおまえらへ
    • おまえらの公式Webサイトにある以下の記述について、おまえら、ブロックチェーンがメタバースを支えるものと勘違いしていないか?『メタバースを支えるブロックチェーンやNFT(Non Fungible Token)の技術を理解している人が少ない』って自己紹介してる場合じゃないぞ。勉強してくれ。私も勉強するから。

「しかしながら、わが国においてはメタバースについておおまかなイメージがつく人は多いものの、メタバースで何ができるかを理解している人は少ないというのが現状です。これはメタバースを支えるブロックチェーンやNFT(Non Fungible Token)の技術を理解している人が少ないこと、技術を理解していてもそれをビジネスに展開することは簡単ではないということが背景となっています。加えてネット上にあるメタバースビジネスに関する情報はほとんどが英語で日本語のものはほとんどない、という現実もあります。」

  • メタバースを知らないおまえらへ
    • メタバースを怖いものと勘違いしてないか?怖くないよ。楽しいよ!Quest2などのHMDを買えば、無料でメタバースを体験できるぞ!
  • メタバース原住民のおまえらへ
    • メタバースを知らないおまえらを全力で堕とすぞ!「自分じゃ何もできない」と勘違いしてないか?おまえが、おまえらこそがメタバースだ!
  • ザッカーバーグのおまえらへ
    • 自分たちのメタバースがメタバースの一丁目一番地だと勘違いしてないか?授乳カフェにこい。話はそれからだ。

❗ Web3は、定義するには早すぎる

これまでに紹介してきたNFTやメタバースについて語られるとともに、語られることが増えてきたWeb3。分散型Webだとかセキュアだとか言われていますが、 Web3 Foundation では以下の通り語られています。

Our mission is to nurture cutting-edge applications for decentralized web software protocols.

Our passion is delivering Web 3.0, a decentralized and fair internet where users control their own data, identity and destiny.

Web3の定義に関わるのは以下の箇所です。

Web 3.0, a decentralized and fair internet where users control their own data, identity and destiny.

その和訳は 「Web 3.0、ユーザーが自分自身のデータ、アイデンティティ、運命をコントロールする分散型かつ公正なインターネット」 となりますが、些か抽象的で分かりづらいですね。ということで、同ページに記載されている技術スタックを参照してみます。

L1のP2P通信から、L4のブラウザーまでに様々な技術がスタックされた上で、Web3が実現することが分かります。もちろん、巷で語られている通りにブロックチェーン技術もL2に登場しているのですが、あくまでもWeb3の数ある構成要素の一部分に過ぎません。故にWeb3を「ブロックチェーンを使用したWeb」と表現するのは、極めて部分的で、お粗末な表現です。そもそも「ブロックチェーンを使用したWeb」って結論なんやねんという話でもあります。所感として、私自身は端的に「検証可能性のあるWeb」がWeb3であると考えているのですが、こればかりは実現しないことには断言することができかねます。

ただ、一考をするにあたって、同Web3 Foundationが公開している以下の動画は非常に学びのあるものです。和訳してくださっている方もいらっしゃるので、是非に確認してみてください。

https://www.youtube.com/watch?v=l44z35vabvA&feature=emb_title

https://medium.com/@onion797jp/what-is-web3-japanese-translation-3156d17299b7

結論: 「おまえら、Web3について、勘違いしてないか?」

  • Web3とメタバース・ブロックチェーン(NFT)を無理やりこじつけようしているおまえらへ
    • これらが相互に関係しているものと勘違いしていないか?ブロックチェーンは機関技術として使われうるが、別にメタバースと関係しているかはわかんないぞ?Web3は、これからのWeb開発者諸氏が作っていくんだ。

📝所感

今回の記事は半分ネタ・半分グチみたいになってしまった。上流工程担当者に贈る際には、柔らかいタッチに脳内変換するようお伝え下さい。失敗や勘違い自体は別に悪いことではなくて、そこから何を学び、次をどうするかが大事ですよね。そこを大事にできる2022年を過ごしたいと思います。それではメリクリ&良いお年を。

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私R.D.Sakamotoは、エストニア法人"OmusBridge OÜ"を趣味半分で経営しながら、VR法人HIKKYでのWeb開発に従事しています。前者では現在エストニアのStartUp Visa申請のための取組中で、後者ではもう冬休みに入りました。Nuxt3の調査を兼ねた個人開発でも頑張ろうと思います。投げ銭をしてくれる方はコチラからお願いいたします。多分公開鍵のはず...(公開自体が初なので)

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🎈宣伝(2) 元エンジニアバー"Barloon"のDiscordのご紹介

コロナ渦前は渋谷や中野で営業していたエンジニアバー"Barloon"。当時は500人超のエンジニアがSlackにはいたのですが、今はひっそりと有志メンバーがDiscordに集い、週1の Barloon Meeting でだべったりマイクラをやってたりします。最近は、ブロックチェーンやクリエイティブコーディングについて話していた記憶があります。

なにかと社外の人とのつながりが希薄になりがちな昨今、興味がある人は、是非にググって入り口を探してみてくださいまし。

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