OX - onboarding experience について考えてみる
TL;DR
- account lifecycle における最初のステップ、onboarding experience について
- あまりよくなかった過去の onboarding experience について
- こうだったらいいんじゃあないかな、という onboarding experience についてとそれに役立つかもしれない最近の Microsoft Entra ID の話
はじめに
最近 account の lifecycle とか、そのなかでも onboarding experience について考えることがあったのでメモとして書き残しておきます。
account の lifecycle
account の lifecycle、それは生き物の人生のように生まれてから死ぬまでの一連の流れのことです。
たとえば社員の account ということであれば、入社時に account を作成 (= 生まれ)、退職時に account を削除・論理削除 (= 死ぬ)、ということになります。
今回話をしたいのはその中でも最初のステップ、account 作成時のことを考えてみます。
とくに外資では、入社時のもろもろを onboarding と呼ぶので、ここではその一連の流れを onboarding experience と呼ぶことにします。
あまり良くなかった過去の onboarding experience
わたしが今まで入社・転職してきた中で、あまりよくなかったな、という onboarding experience の例を挙げておきます。
- 転職活動して、採用されて、入社して、初出社しました
- ただ、出社したところ、自分の PC の手配がまだできていませんでした
- 執務室の角に 2 台ほど置いてある、共有 PC にログインしてとりあえず e-learning しておいて、みたいな
というような感じでした。
いろいろ仕方がなかったのかもしれませんが、転職してよしやるぞ、という意気込んでいるこちらに対して、なんか眠いな、という印象だったのを強く覚えています。
今であれば、とりあえず PC の調達が間に合わなかったとしても Desktop as a Service (DaaS) とか Virtual Desktop Infrastructure (VDI) とかを使って、適当な PC からでも接続してもらう、という手段もあるかなとは思います。
ただ、個人的な感覚ではありますが、あのころはまだ DaaS などの環境は正社員以外というか、ビジネス パートナーで来ていただいている方に自社から PC 貸し出せない代わりに使ってもらう、みたいな印象もあったように思っています。
コロナ禍の対応の中でそんなことも言ってられず、自社の社員含めて全員 DaaS だー、という雰囲気というか、状況が変わったような感覚をなーんとなく持っています。
また、これらの話と一緒について回るのは社内の各種システムへの権限付与がまだ済んでおらず、とりあえず最初の 3 日間くらいは勤怠付けなくてもいいよー、みたいなやつですね。
こうだったらいいんじゃあないかな、という onboarding experience
わたしの単純な無知で、もうこういう世界はできてるよ、だったらいいなと思いますが、今のところまだ経験できていないので、あくまで個人的な思いつきです。
- (採用する企業目線で) 新しく従業員を採用しました
- んじゃその方に HRtech 的な SaaS から個人情報入力画面みたいなものを送って入力してもらう
- その入力結果をもとに、自動的に各種システムへのアカウント作成を行う
- IdP - SP での account provisioning でもいいし、SSO でもいいけどとりあえず権限がついている状態にする
というような流れです。
もちろん使っている SaaS、IdP によってできる・できないはあるんでしょうが、技術的にはほぼできるはずという気はしています。
「あまりよくなかった過去の onboarding experience」で挙げた例がこれで解消するのか、ややこじつけ的な部分があるのは自分でも何となく感じています。
ただ、履歴書や業務経歴書を提出し、それをもとに人事だか IT 管理者がにらめっこして account 作成業務をやるくらいなら、そもそも self service、被採用者自身で account が作成できちゃった方がなんとなく早いような気がしています。
ちょっと余計な話
ちょっと余計で、ポジション トークになるのかもしれませんが、Microsoft Entra ID でこういうサービスがあって、こういう風に使えたらいいな、というのを書いておきます。
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あらゆるデータソースから Microsoft Entra ID に ID を同期する新しい方法のご紹介
ということで、Microsoft Entra ID (旧: Azure AD) 側から Active Directory (AD) 側に Hybrid user を作成できるようになるよ、という話です。
世の中には HRtech 的な SaaS はいろいろありますが、そこから Microsoft Entra ID の API を叩いてもらえば、そっから AD に対しても user を作成できる、というイメージです。
AD を使った認証・権限管理はまだまだ多いと思うので、上記のこうだったらいいんじゃないか、を実現する 1 つのピースがそろいつつあるのかなと感じています。 -
Microsoft Entra Verified ID の概要
とはちょっと違うのですが、たとえばその HRtech 的な個人情報入力画面において、マイナンバーカードを読み込ませればもろもろの入力が自動でできる、ということも可能なんじゃあないかと思っています。
マイナンバーカードについてはこの記事を書いている 2023年12月 時点で名前が変わるだのうんぬんやっていますが、とりあえず e-tax などでのマイナンバーカード読み取りによるもろもろがシュッと済む感じを、onboarding experience にも取り入れられたら楽になりそうだな、と思っています。
さらに余計な話
転職を繰り返していてめんどうなのは、業務経歴書なんですよね。
もちろん、ある程度 public な presence がある人に対して業務経歴書を求めることはないでしょうから、求められた時点でまだまだだなという考え方もできます。
その人のことが良くわからないからまずは業務経歴書見て、どういう経験をしてきた方なのかを想像する、ということなので、そもそも公開情報にいっぱい情報があればそもそも調べる必要もないということですね。
ただ、まぁ、一般的にはとりあえず履歴書と業務経歴書出して、ということが多いでしょうから、ここをなんかしゅっとやってくれるさむしんぐがあると嬉しいんですがねぇ。。
ついでにそれをその時の所属企業が証明書的なさむしんぐで署名しておいてもらえると、わざわざ在籍証明とかバックグラウンド チェックの時にも楽な気がするんですよねぇ。
おわりに
いやまぁそもそもそんな転職しないんだわ、という方からすればあんまり余計な話なのかもしれませんが、もっと雇用が流動化していく、タスクごとにフリーランスを採用するとか、そんな世界になった場合に、じゃあそのための account 作成なり権限付与とかもうだるくないですか、って状況がもう来る・来ているんじゃないかと思います。
物量が多くなければあまりメリットはないのかもしれませんが、端的に言えばバックオフィス系のタスクは効率化すればするほどダイレクトに利益に響いてくる部署なので、やる価値は大いにあるんじゃないかと信じています。
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