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freee 技術の日 に参加してきた

2023/04/18に公開

freee 技術の日 に参加してきた

とある縁がありまして、freee 技術の日に参加してきました。
その感想 blog というやつです。
閉じてあるところは気になる方は見ていただければと思います、ちょっと気になったところとかぽえむとかです。

オープニング

オープニングは CEO の ds (佐々木 大輔) さんから軽めに。
起業当初は ds さんもばりばりコードを書いており、それが今の freee のプロダクトの中でも 1,800 行程度は残っているらしいです。
技術的負債呼ばわりされる面もあるようですが、最終的にはそれが無くなるのが目標だそうです。
また、CEO という立場もあり、pr (pull request) を送ると、監査法人から悪い意味で都合よく改修するつもりがあるんじゃないか、と疑われたが、それに対して社員がぼっこぼこにレビューしたので監査法人の担当が安心した、という笑い話もありました、いい会社ですね。

2021年障害訓練:侵入手法解説

自社のDB破壊しCEOに身代金要求、freeeが本当にやったクラウド障害訓練の舞台裏 「従業員はトラウマに」【マジで】サイバー演習シナリオの作り方【怖い】 などでも書かれていますが、freee の障害訓練は界隈では結構有名ですね。
この記事にも写真が載っている 多田正 (tdtds、ただただし) さんが実際にお話しされること、また犯罪の示唆になりかねないためオフライン限定ということもあって、会場はかなり混んでいました。

内容としてはいわゆる supply chain 攻撃の類で、デモの動画もあったのですが、おお、実際に、、、おおおお、、あああやられてる、、、という危険を身近に感じられるものでした。
また、同様の類の攻撃手法について、以前は freee 社内でも通用する可能性があったようなのですが、最近再度動画を撮り直そうと思ったら防がれた、という社内 SIRT のレベルアップという観点のお話も伺えました。

会場の一部の壁に書道が貼ってあったのですが、tdtds さんは「脱税」と書かれていたのが面白かったです。

https://twitter.com/_skmkzyk/status/1647448039051886592

脅威分析はじめました

あまりこの分野は詳しくなかったこともあり、STRIDEElevation of Privilege (EoP) Threat Modeling Card Game などの話が初耳で面白かったです。
結局は各システム、プロダクトを構成する要素を分解して、それらの要素がどのような脅威に対してどのような脆弱性を持っているのか、という話ではあるのですが、よりどころがあるのを知っているだけでも進めやすさは大きく異なるので参考になりました。
実際に、tdtds さんの攻撃によりぼこぼこにされたようで、それを踏まえてどう対処していくかという、Red Team みたいな動きもあるみたいです。

EoP に関しては有志が日本語化されたものがあるようなのでこちらも参考になります。

https://github.com/KiiCorp/eop-ja

とある筋からこちらに関してのおすすめ図書を教えていただきました。
昨日から読み始めました。

https://www.amazon.co.jp/dp/B09Q8WSKTH

Methods of Global Engineering Team: Culture, Tech and Dev't Process

「Global」や「Culture」などの言葉が出ているので、参加せざるを得ないと思い参加しました。
最初の 1/3 は取りまとめをしている ikke さんの話で、残りの 2/3 はフィリピンで働いている ADC さんと Dean さんが大崎に来て、Rails と Culture について話をされていました。
私自身、最近はあまり Rails に触れていなかったので、ただ便利そうなものがあるなという感想くらいしかありませんでした、すみません。
しかし、Culture の面では、本当に楽しそうで、日本にいるメンバーとの信頼関係が築かれている様子が伝わってきました。
初めて知ったのですが、Boodle Fight という料理があるようで、これも日本のメンバーを含めて楽しんだという話がありました。

元々は、日本の受託開発を行っていた LiKHA-iT があり、それがベースとなってフィリピンでの開発が進んでいるようです。
メンバーは 30 人程度ですが、国籍としては 10 カ国ほどから来ており、多様性が感じられます。

イベント後、Ask the Speaker で話をしていたのですが、言葉の壁は相変わらず大きいようですが、通訳の方が上手く間に入ってコミュニケーションには特に問題なく進められているようです。
ADC さんと主に話をしましたが、彼はRails 2.xから触れていて、ラーメンと刺身が好きだとのことでした。

more better と思ったところ

ADC さんと Dean さんがしゃべっている部分に関して、おふたりはスライドを見ながら英語でしゃべりつつ、事前に用意された日本語の内容が別の画面で表示されていました。
自動翻訳の仕組みは今時どれだけでもあるのに、あえてそうしたのはなにかなぁという気はしました。
実際、おふたりがしゃべっている内容の 4 割くらいは欠けていた気がしますし、普段どのように英語しかしゃべれないメンバとやり取りするかを見せるのも大事なのではと感じました。

「Webアプリケーションアクセシビリティ」著者の会社(freee/サイボウズ/SmartHR)での取り組みは実際どんな感じ?

自分も当事者としてこの本を買いましたし、その作者同士のディスカッションというので興味深く話を聞かせていただきました。
それぞれの組織でどのように Accessibility に取り組んでいくか、取り組んでいく中でうまくいっているところうまくいっていないところなどが伺えました。
Design system と Accessibility を組み合わせていくことで、Accessibility が特別なことではなく当たり前にしていく、そういった姿勢が伝わってきました。
組織によっては障害をお持ちの方を雇っていて、実際の tester として働かれているようです。

なかでも興味深かったのは、別の観点として、W3C Accessibility Standards には含まれていないタイプの障害を持っている方もいるという点でした。
具体的な例として、目、耳、などの障害のほかに、知的障害といった種類の障害もある、というお話でした。

書籍はこちらです、念のため。

https://www.amazon.co.jp/dp/B0BTLCDDK5

海外拠点駐在員とともに見るfreeeのグローバル開発

マニラ駐在員である sayoshi さんがお話しされていました。
Global Engineering Team からもたくさん参加していた様子でした。
フィリピンがどういう国で、みたいな説明から始まり、宗教的な面での特徴や、政府から突然明日休みにするという通知が飛んでくる、などのユニークな話も聞けました。
平均年齢が 24 歳ということでかなり若く、それゆえに Junior Engineer が多いということでした。
ただ、だからと言って技術的なレベルに大きな差があるわけではなく、ちゃんと経験を積めば同じような仕事ができるということでした。
フィリピンではまだあまり major ではない Ruby on Rails のハンズオンを提供するなどして、地元 community への貢献もされているようです。

ブランド表現を実現していくためのデザインプロセス

hina さんがお話しされていました。
デザインフィロソフィとして「かろやかシンプル」「あんしんインテリジェント」「まえむきリラックス」「たのしさスパイス」というのを掲げてデザインをレビューしていっているらしいです。
エモ系の話かと最初思ったのですが、なんとなく、freee らしいデザイン、とか、なんとなく、いいよね、というデザイン、を言語化するのはとても大事で、でもかなり難しいことだと思っていて、これらの言葉を共通言語としてデザインの良し悪し、フィットしてるかどうか、を判断できるというのはよいですね。
物事を理解するにはまず名前を付けることから、というのがあった気がしていて、調べてみたら ジョシュアツリーの法則 というようですね。
ちなみに、今この記事を書きながら GitHub Copilot が提示してくれたんですが、Design Philosophy - freee brand site に書いてありました、えらい。

「あんしんインテリジェント」とかはなんか親しみがあっていいなと感じました。
なんかこう、IT って怖い、みたいなのがまだ残っているところもあると思っていて、この「OK」っていうボタン押しても大丈夫なの?みたいなのは母親から連絡をもらうこともありますし、あんしんできるインテリジェントってのはいい目線だと思いました。
社内に広げていくにあたっての苦労話もあり、「みんなのデザインフィロソフィ」という社内マガジンを作って徐々に浸透していってるそうです。

すでに何度も話されている内容なのかもしれませんが、スライドに使われているアイコンやイラストについても非常に特徴的だと思うので、その辺の話も聞けたらと思いました。
社内にほいほい使えるあーいうセットがあるのはスライド作りにおいてはめっちゃ楽だと思うんですよね。

仕事がしやすくなる社内発信のすすめ

hachi さんがお話しされていました。
資料はこちらみたいです。

https://twitter.com/hachiblog/status/1647497552533803009

社内発信、というものの社内に限定せずにどんどん発信していくことで、自分が「やりたいこと (Will)」「できること、できないこと (Can、Cannot)」「やったこと (Done)」を伝えていく、みんながそれを知っていく、それによって自分自身が仕事をしやすくなっていく、というお話でした。
元ネタとしては Will-Can-Must ってのがある、というお話でしたが、今調べてみたらリクルート発祥みたいですね。

https://www.recruit.co.jp/employment/mid-career/human-resources/

共有していくことで自分がどんな人間かを周りが理解して、自分がやりやすい仕事が回ってくるというのも実体験込みで非常に納得できる内容でした。

ChatGPTなど大規模言語モデルの活用方法や影響について

KATARIBA と名付けられていた部屋にずーっと座っていたのですが、このセッションもまたかなり人気のセッションでした。
Microsoft Copilot の話があったり、Vector DB というまぁ要は ChatGPT に投げ込むときの記憶として使うのに都合がよさそうな DB の簡単な紹介がありました。
そのほかにも、簡単なデモというか、「1,400 円の本を登録しておいて」と書いたら実際に freee 会計の画面に反映されている、というものがありました。
シンプルに思いつく内容ではあるのですが、まずは手堅いところから実装が進んでいる様子が見られました。

more better と思ったところ

正直なところ、もっとすごーいと感じられるものが見たいと期待しすぎてしまった感はあります。
素人考えであーだこーだいうのもあれですが、Chat であることにこだわりすぎてしまっているのかなと感じており、LLM というか、要は指示を与えれば考えてくれる AI とでも呼べるものがやっとできてきたところなので、じゃあなんかこう人間がちまちま考えるより AI がやった方がスケールするよね、とか、AI がやった方が正確だね、とかが見たかったなという感想があります。

スモールビジネスを、世界の主役に。

クロージングのキーノートは freee の CTO である yj (横路 隆) さんから。

実家のお手伝いでちょっとしたツールを作ってあげたらお小遣いが 5,000 円から 50,000 円に上がった、という面白い過去の話も伺えました。
2012 年ころから 3 年ほどで区切りながら、freee の 10 年の歴史と世の中の技術的なトレンドのまとめのスライドはとても参考になりました。
印象として、先進的な取り組みをどんどん取り入れていく姿勢はありつつ、ベストプラクティスにもちゃんと従っていくというような、手堅く進めていく姿勢もあると感じました。
技術スタックに関しても、Database のような後から変更が難しいところは全社で統一ルールを設けつつ、それ以外のエリアでは自由に選べるようにしている、というような取り組みもあるようです。
これからは、ベストプラクティスを発信していくような立場、例えば RoR (Ruby on Rails) ユーザとして有名な GitHub、Shopify、Square の次を担っていきたい、ということも伝えられていました。
最後の方は、いわゆる Customer obsessed というような内容もあり、このような考え方をもちながら働いてほしい、という、もはや社内に向けたメッセージだなと感じられました。

オフィスツアー

クロージングの後でしたが、18:00- からの回があったのでオフィスツアーに参加させていただきました。
たしか 21F、19F、18F を見させていただいたかと思うのですが、図書館のエリアがあったり、大き目のちゃんとしたキッチン、駄菓子を食べながら会議のできるエリア、など特徴的なところが多くて、とても楽しかったです。

まとめ

語彙が貧弱で申し訳ないのですが、めっちゃよかったですね。
技術的な内容としても楽しかったものが多かったのと、なにより屋台とかのお祭りとしての雰囲気や、スタッフとして参加している社員の方々の表情が楽しそうでした。
技術の日、という名前がついていますが、freee という会社がどういう雰囲気なのか、を感じるのには一番いい機会だったかと感じました。
がらがらぽんもやってたのですが、エプロンもらいました、ありがとうございます。

ぽえむ

社内の文化が最大公約的数にめちゃくちゃいい塩梅になっているんじゃないかと外からは感じていますが、文化を維持するのの大変さもまた感じているところではあるので、なんかいい感じ、みたいなのを言語化しつつ、それがずーっと続いていったらいいなと祈っています。

なお、Twitter にもいっぱいついーとしているのでぜひ良ければ見てみてください。

https://twitter.com/search?q=from%3A_skmkzyk since%3A2023-04-16 until%3A2023-04-17&src=typed_query&f=top

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