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ビジネス+IT『マルチクラウドとは?ガートナーが解説、AWSやMS、GCPらの差別化戦略とクラウド活用術』のメモ

Masayoshi Tohna@おれさまラボMasayoshi Tohna@おれさまラボ

10年先を見据えたシステム基盤の抜本的な見直し

「そこで鍵を握る技術、一度作ったシステムを使い続ける“モード1”から、継続的かつ短期間での見直しを前提とする“モード2”への脱却を可能とするクラウドだ。

  • モード1:一度作ったシステムを使い続けるモード
  • モード2:継続的かつ短期間での見直しを前提とするモード

CI(継続的インテグレーション)/CD(継続的デリバリー)、DevOpsなどのフレームワークが下支えとなり、巨大なシステムの迅速かつ安価な、しかもユーザー満足度が高い形での持続的な運用が実現される

ただし、日本ではいまだ「頭でっかちで体が利用に付いていかない」(亦賀氏)企業が大半だという。

確かにオンプレは減っている。だが、我々の調査ではクラウド導入率は最も高いSaaSでも31%。IaaS、PaaSなどを含めて平均では2割にも届かない。しかも、ユーザー企業でも8割が、いまだクラウドのメリットやリスクなどの基本事項を確認したり、利用を外部に丸投げしたりといった段階にとどまるのが実態だ

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マルチクラウドとは何か?

マルチクラウドとは、複数社のパブリック・クラウドを組み合わせて使用すること

  1. 計画的マルチクラウド:主にシングル・クラウドへのロックインに関する懸念を解消したいというニーズから生まれたものであり、組織的なガバナンスを必要とする。開発者よりもIT部門がガバナンスを効かせたい場合に議論される。
  2. 自然発生的マルチクラウド:気付いたら企業内で複数のパブリック・クラウドを使っていたという、いわゆるシャドーITの状態になっているものである。このようなケースではガバナンスは効いておらず、社内はクラウドのカオス状態となっているが、「確かに、当社はマルチクラウドになっている」といった会話が交わされることが多い。
  3. 発展的マルチクラウド:シングル・クラウドにおけるコストや技術的課題などを継続的改善の考え方によって解決しようとするものである。たとえば、クラウド・ネイティブ企業が最初にAmazon Web Services (AWS) を使い、その後必要に応じてGoogle Cloud Platform (GCP) やMicrosoft Azureといったほかのクラウドと連携させ、サービス基盤を発展的に作り替えるというケースがこれに当てはまる。
  4. 先端的マルチクラウド:コンテナやGoogle Kubernetes Engine (GKE) クラスタをAWSの上で動かすといったものであり、2020年現在、日本国内でもクラウド・ネイティブ企業における先行事例が確認できる。

「最も多い誤解が、クラウドを従来型のアウトソーシングや仮想ホスティングの延長として捉えていること。クラウドの本質は、モード2のためのサービス部品の集合だ」

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差別化に向けた独自策

◆AWS

  • AWS Outposts:クラウドのインフラやサービス、API、ツールのほぼすべてをオンプレミス環境に拡張するためのアプライアンス製品。ハイブリッド環境の推進を意図したものではなく、狙いはあくまで、モード2によるシステム基盤のさらなる使い勝手の向上。
  • AWS Snowcone:A5サイズのエッジコンピューティング/ストレージデバイス。

⇒ データ保護の点で採用を断念していた企業でのクラウド利用や、ドローン向けの高速処理といった新たなクラウド活用が可能となる。

◆Microsoft Azure

  • Azure Arc:Azure上のリソースの管理機能をオンプレミスやマルチクラウド、エッジなどに拡大する。

◆Google Cloud

  • Anthos:コンテナ化されたアプリのクラウドとオンプレミスを問わない実行を可能にするプラットフォーム。先進のクラウド技術をオンプレミスに適用することでのモード2のハイブリッドを強化。

◆オラクル

  • 野村総合研究所と手を組み、Oracle Cloud環境を顧客環境に構築する取り組みを国内で開始

◆VMware

  • Project Monterey:5Gサービスや、AIなどの大量ワークロードを、CPUからNVIDIA DPU(Data Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)、Specialized NICなどにオフロードするハイブリッドクラウドの新アーキテクチャー
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スタイル・チェンジ

クラウド時代についていくには、5つのスタイル・チェンジが必要。

  1. システムの作り方
  2. インフラ
  3. エンジニア
  4. ビジネス
  5. 組織

アプリすべてをクラウドに移行する必要はない。特に安定稼働を優先するなら、既存システムをあえて塩漬けするのが一番だ。そこで得た時間をクラウド活用やビジネスアーキテクチャーの構築など、変化対応のためにに振り分ける。クラウドの力を真に理解し、発揮させるために何より大切なのが、自分で作り、運用することなのだ。スタイル・チェンジにより自身でクラウドを使いこなすことで、外部への丸投げよりはるかに適切な要件設定が可能になる。SIコストとクラウド利用料を合わせて、見積もりでは年間で1億数千万のプロジェクトを数千万まで圧縮できた事例もあるという。

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💰システムの作り方のスタイル・チェンジ

  • モード1工程の時間とコストの削減
    • 割り切る、要件ファーストをやめる
    • 極力作らない、すでにあるサービスを「利用する」
    • 大きなコスト削減を狙う
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クラウド「スキル」をどう磨けばよいのか?

習得も一朝一夕にいかず、一般にカオス・エンジニアリングとなれば10年以上、SRE(Site Reliability Engineering)やDevOpsであっても、手掛けるまでに5~7年のトレーニングが必要になる。ただ、「だからこそ、人材投資を戦略に組み込み、書籍やオンライン講座を利用して、すぐにでも始めるべきだ」と亦賀氏は訴える。

一方で、クラウドの利用が広がることでガバナンス強化に向けた全社員対象の教育も必要となる。そこでの思わぬ“落とし穴”には注意が必要だ。教育ではトラブルや失敗を避ける方法をまとめたガイドラインが用いられることも多いが、ガイドラインは内容が細かすぎて逆に使いにくく、技術の変化が激しい中、内容が現実に追い付かない机上論となるケースも散見される。その点を踏まえて亦賀氏は提案するのが、利用の原則をベースとする教育の並行実施だ(図3)。

クラウドは次世代のIT基盤のベースラインとなる。その活用には、技術を使いこなすための人の教育が何より大切だ。だからこそ、次世代クラウド戦略の策定にあたっては、テクノロジー戦略だけでなく人材戦略にも力を入れるべき。

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これはほんと仰るとおりだなぁ。人類は昔から作るより運用のほうが大変なことを知っていながら、そこに投資していない。運用するのは人間なのだから、その人間が育っていなければ安定稼働などありえない。運用に金を払う文化になってほしいな。

このスクラップは2020/12/11にクローズされました