性的不動性：クィアのイスラム教徒の巡礼について

グローバル化によって生み出された現在の融合と機会は、目に見えない移動現象、すなわちクィア・ムスリムによる巡礼へとつながっている。クィアでありながらムスリムであることは不可能、あるいは罪であると広く理解されているクィア・ムスリムの巡礼は、現代のグローバルな現象である。しかし、ムスリムのアイデンティティに関する主流の議論では、この問題は漠然としか注目されていない。欠けているのは、性的移動の基本的な形態としてのクィア・ムスリムの巡礼の概念的理解である。本稿は、マレーシアのクィア・ムスリムによる巡礼を可能にし、阻害し、あるいは誘導する権力体制について論じる。マレーシアでは、「性的移動の体制」がLGBTQIA+を統制し差別すると同時に、彼らを慈しむために曖昧に機能していると主張する。この曖昧さは、イスラム教の政治化の過程とイスラム教の原則、そしてトランスジェンダーの人々が常にマレー社会に属してきたという歴史的条件との絡み合いに基づいている。