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アプリ開発者に知って欲しい広告配信の仕組み

2021/12/10に公開

はじめに

この記事はQiita Advent Calendar iOSの10日目の記事です。

アプリで広告を出しているアプリはたくさんあります。
しかし、とりあえずAdMobを入れておくか、よくわからないけどSSP入れておくか、となっている人もいるのではないでしょうか。

広告はどのようにしてアプリに届くのか、どのようにして価格が決まるのか。
広告収益を上げようと思った時、どうやって広告事業者を選べば良いのか、何を気をつければ良いのか。

僕は過去にSSPをやっている会社で広告SDKの開発を行っていました。現在はtoC向けアプリで実際に広告導入や最適化を行ってます。
この知識と経験を元になるべくわかりやすく説明できたらなと思います。
(逆に僕が昔いた会社ベースの知識になるため、SSPの内容については他社の実情はまったく異なっているかも知れません)

この記事ではアフィリエイトについては説明しません。
バナーやリワード広告といったアプリ内で広告を表示し、表示回数やコンバージョンに応じて報酬が発生する形式の広告についての説明となります。

アプリ内の広告はどこからやってくるのか

アドテクノロジーの進化に伴い、広告配信システムはとても複雑で多くのルートを通ってアプリまでやってきます。
すべてを説明するのも理解するのも大変なので、アプリが主に広告をやり取りを行うアドネットワークとSSPについて説明します。

アドネットワークとは

ちょっと説明が不安なのでWikipediaから言葉を借りさせてもらいます。

アドネットワーク(ad network)とは、Webやアプリメディアなどの広告配信可能な媒体を多数束ねて広告を配信するネットワークである。 [1]

広告主側から見ると、アドネットワークは多くの掲載枠を持っており、宣伝したい内容にマッチするような「ゲーム系」や「マンガ系」などジャンル指定をしたり、予算に応じてどれくらいの回数・単価で表示するかの制御をしてくれたり、広告を出した結果どれくらいの成果が出るのかを確認できたりといったことが可能になります。

アプリ側から見ると、アドネットワークは多くの広告在庫を持っているので、広告を表示する場所を提供することで広告主を探す営業などを要さず、アドネットワークが広告を表示し、表示回数やコンバージョンに応じた報酬を受け取ることが可能になります。

アドネットワークの特徴

アドネットワークから配信される広告は、接続している広告主により持っている広告のジャンルや在庫数、単価が変わります。

また、広告の在庫数や単価は時期的や広告主の都合により大きく変わることもあります。

つまり広告の在庫数が少ないときは広告を出したいのに出てくれない🥺ということもあり得ます。

アドネットワークの説明図

SSPとは

SSPとはSupply-Side Platformの略称で、アプリ側の広告収益を最大化させるツール・サービスです。
逆に広告主側の効果を最大化させるツール・サービスであるDemand-Side Platform(DSP)というものがあります。

SSPは複数のアドネットワーク・DSPの中から、広告枠に対して収益性の高くなりそうな広告をアプリに表示してくれます。

SSPの特徴

SSPは複数のアドネットワーク・DSPと接続して広告を配信してくれるため、広告の在庫数が比較的多く安定して広告を出すことができます。

メディエーション形式の広告配信(後述)を自前でやろうと思うと、複数のアドネットワークそれぞれのアカウントを作る・広告の設定をする・各アドネットワークのSDKを実装する・最適なアドネットワークを選べるように運用を行う、といった作業が必要になります。

SSPの機能を提供するサービスを利用するとそれらの作業をやってくれたり、アドネットワークの広告在庫や単価の過去のデータから収益性の高い広告を出してくれそうなアドネットワークを判別して優先度を毎日更新してくれたりします。

ただし、手軽に色々なことができる一方でSSPのサービスを利用するとのマージンが取られるため、広告単価が少し低めになることも。

また、SSPのサービスでRTB形式の広告配信(後述)の機能を持つものも多いです。
RTBを使うと単純なアドネットワークを使う場合に比べて、リアルタイムにより収益性の良い広告を表示できるようになります。

SSPの説明図

広告配信の形式の違い

複数のアドネットワーク・DSPの中から収益性の良いものを選出する広告配信の形式として、メディエーションとRTBがあります。

メディエーションとは

メディエーション形式では、アプリは(メディエーションツールを使い)複数のアドネットワークに対して優先度の高い順に広告リクエストを送り、返ってきた広告が表示されます。

メディエーションの説明図

メディエーション形式の広告配信の課題

アドネットワークは広告が表示されるごとに実際どれくらいの単価で配信されているのかはわかりません。
大体数時間や翌日になってからどれくらいの回数表示されたか、平均どれくらいの単価なのか、といった情報がレポートで見れるようになります。
なのでアドネットワークの調子を見て優先度をなるべくリアルタイムに更新したい!となってもどうしても対応が遅れてしまいます。

またメディエーションは仕組み的に1つづつ順番に広告を表示できるのか確認するため、アプリで広告を読み込むまでに時間を要する場合があります。

RTBとは

RTBはReal-Time Biddingの略称で、広告を読み込むたびに複数のDSPに対してオークションを行い、一番高い単価を提示したDSPの広告が表示されます。

広告表示ごとにオークションが行われるため、メディエーションと比較すると、より収益性の良くなる可能性が高いです。
また読み込むべき広告がはっきりしているので、メディエーション形式と比べて、より短い時間で広告を表示されることも期待できます。

RTBの説明図

おわりに

本当はもっと書きたいこともあったのですがすでに内容が多くなってしまっているのと、アドベントカレンダーの締め切りに追われて全然書ききれませんでした😭
(しかもiOSのアドベントカレンダーなのにiOSの話までたどり着けていない😇)

続きはいつかの機会に書きたいと思います🙏

脚注
  1. アドネットワーク」『ウィキペディア フリー百科事典日本語版』 ↩︎

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