#001 Security は「気にしなくていい状態」だった。
🛡️Security は「気にしなくていい状態」だった
Security(セキュリティ) という言葉を聞くと、何を思い浮かべるだろうか?
ウイルス対策?パスワード管理?ファイアウォール?──そのどれも正解である。
けれど、そもそも 「security」という語はどういう意味を持っているのか?
この問いの答えは、ボクらエンジニアの視点にちょっとした視界の広がりをもたらすだろう。
📚ラテン語の語源:se + cura
Security の語源はラテン語 sēcūra (セクーラ) である。
さらに分解すると:
- se-(離れて、外れて)
- cura(心配・世話・ケア)
つまり、「心配ごとから離れている状態」。
言い換えれば、“気にしなくていい状態” こそがセキュリティの原義だったのである。
たとえば──
- 鍵をかけるのは、泥棒に入られないようにするためじゃなくて、「泥棒のことを心配しなくて良いという安心感」を得るため。
- HTTPSで通信を暗号化するのは、「盗聴されないという安心感」を得るため。
- 二要素認証を使うのは、「誰かに乗っ取られる心配が減るという安心感」を得るため。
🌿 セキュリティとは、恐怖や心配から解放されること。
🔓「守る」より「自由でいられる」ために
セキュリティという言葉は、ともすれば「防御」「封じる」「閉じる」ようなニュアンスで理解されがちである。
けれど、語源的にいえばむしろ逆で、
人が安心して、自由に、のびのびと動ける状態を作るための技術や思想こそがセキュリティである。
これは現代のサイバーセキュリティにも通じる。
- 脆弱性の修正は、自由な開発のために。
- アクセス制御は、安心してシステムをシェアするために。
- プライバシー保護は、自分らしく生きる自由のために。
🗽 セキュリティとは、不安を気にせずにやりたいことができる「自由の土台」である。
🧩安全とは「状態」である
英語では、Security はしばしば a state of being secure(安全な状態) と説明される。
つまり、それ自体が「状態」だという点も重要だ。
セキュリティの設計とは、「どう守るか」だけではなく、
**「どうすれば、利用者が“心配せずにいられるか”という心理的体験を作れるか」**というUXの課題でもある。
- パスワードマネージャーが「ちゃんと保存されてる」って感じられるUIを持つこと
- 通知がわかりやすく、でもうるさすぎないこと
「気にしなくていい」を支える設計は、UI/UXやDevRel、教育ともつながっている。
🛡️まとめ:Security = worry-free
語源は、ボクらにいろいろなことを問いかける。
今回の場合は、**「あなたの設計は、本当に“気にしなくていい状態”を作っているか?」**と。
Security とは、恐怖や警戒を煽るための技術ではない。
むしろ逆に、「恐怖を気にしなくていい、自由な世界」を作るための技術である。
それを忘れないようにしたい。
🔎 参考文献
■ Online Etymology Dictionary – security
■ コトバンク – security
特に コトバンク – securityでは、日本ではあまり見ない用法についても学ぶことができる。とても面白いと感じた。
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