GraphQLの歴史
GraphQL を業務で使い始めました。
いつものように、GraphQL の歴史が気になったので、調べてみました。
参考資料
GraphQL の共同開発者で、GraphQL Foundation エグゼクティブディレクターである Lee Byron さんから、GraphQL の歴史について、紹介されています。
次の資料も参考になります。
- https://dev.to/tamerlang/a-brief-history-of-graphql-2jhd
- https://levelup.gitconnected.com/what-is-graphql-87fc7687b042
GraphQL が生まれる前
GraphQL が生まれる前の歴史を、簡単に要約しました。
年 | 要約 |
---|---|
2004 | ソーシャルメディア Web サイト「Thefacebook」が公開され、後に FaceBook になりました |
2007 | iPhone の登場により、モバイルが急速に普及し始めましたが、FaceBook は HTML5 に賭けすぎて失敗しました |
2012 | FaceBook はモバイル(iOS) のニュースフィードを REST API で開発し始めました |
REST API での開発における 3 つの課題
REST API で開発を進めていくと、次の 3 つの課題を抱えてしまいました。
- Slow on network
- 1 つの API から必要なデータが全て返ってこないため、複数のリクエストを何度も往復する必要がありました
- Fragile client/server relationship
- API の変更を、クライアントコードに慎重に引き継がなければ、クラッシュしてしまいました
- Tedious code & process
- クライアントの開発は、API のレスポンスに非常に連動しているので、API のレスポンスの変更があれば、クライアントも変更しなければなりません
これらの課題を解決すべく、FaceBook は、スーパーグラフと呼ばれるプロトタイプを開発しました。
そのベストプラクティスを集めたものが、GraphQL となりました。
例:複数のリクエストを何度も往復する
複数のリクエストをする例が、次のページに書いています。
例として、ユーザー情報、ユーザーが投稿したコンテンツ、ユーザーのフォロワーという 3 つの情報を取得するケースです。
REST API の場合は、次の画像のように 3 往復することになります。
GraphQL の場合は、1 回の往復だけでデータが取得できます。
REST API から GraphQL へ
REST API から、GraphQL に切り替えた結果、次の 3 つのメリットを享受することができました。
- Fast on network
- 必要なものだけを記述できるため、1 回のリクエストで十分です
- Robust static types
- どのようなデータが利用可能か、どのような型か、クライアントは知ることができます
- Empowering client evolution
- レスポンスのフォーマットはクライアントが制御できます。そのため、サーバーサイドはシンプルになり、メンテナンスも容易になります
- 古いフィールドを非推奨とし、機能は継続できます。この後方互換性によりバージョニング管理が不要になります
3 つの課題を 改めて考える
REST API の 3 つの課題を、2022 年の今、改めて考えてみます。
- Slow on network
- 2012 年は、3G 回線が普及していた
- 複数リクエストや、API のペイロードが大きいと、ネットワークレイテンシに大きく影響していそう
- 2022 年は、5G 回線が普及している
- ネットワークレイテンシは、そこまでクリティカルな問題にはならないのでは
- もちろん、低ネットワークを利用するユーザーが多いプロダクトなら、考慮が必要かも
- 複数リクエストは、BFF のようなファザードを建てることで、解決できないか
- 2012 年は、3G 回線が普及していた
- Fragile client/server relationship
- バージョニングと後方互換性については、今の REST API も変わりなく課題の 1 つ
- Tedious code & process
- スキーマ駆動な開発で、問題解決できるのではないか
簡単に書いていますが、3 つの課題は、もっと深い・困難な話だったのかもしれません。
ですが、今の時代で考えてみると、GraphQL を使うユースケースは、エッジケースなのかなと思ってしまいました。
本件の課題の根幹の 1 つは、ニュースフィードにおけるデータ構造の複雑さ(再帰的,ネスト)じゃないのかなと想像していました。
参考リンク
- https://www.apollographql.com/blog/graphql/basics/why-use-graphql/
- https://wundergraph.com/blog/why_not_use_graphql
GraphQL の魅力
データの取捨選択
GraphQL の必要なデータを記述できる機能は、魅力的と思います。
従来の REST API の開発設計では、次のようなパターンを業務で経験してきました。
- レスポンスデータのバリエーションをグループ分けするクエリパラメータ Response group
- Response group
- small
- 最小セット
- middle
- small と large の中間
- large
- 全てのフィールド
- small
- Response group
Response group での開発で、特に大きな課題と感じたことはありませんでした。
データの取捨選択は、API のスケールのしやすさがメリットのように思います。
データの階層構造
GraphQL は、リクエスト・レスポンスのデータに、階層構造を表せます。
これも、魅力的です。
従来の REST API では、リクエストのクエリパラメータは、フラットな形で送るしかありませんでした。リクエストボディを使って、JSON を送るという手段もあります。(まあ、これが GraphQL なんですが)
REST API のリクエストに、階層構造を表せるのは、データの関係性を示せるため、柔軟性が高く良さそうです。
ただ、個人的な違和感
データ参照も POST
REST API は、参照なら HTTP GET、更新なら HTTP POST を使うのが当たり前です。
GraphQL は、参照も更新も HTTP POST を使います。これに違和感があります。
query は、HTTP GET、mutation は、HTTP POST で使い分けできるようにしたいです。
終わりに
GraphQL の歴史を簡単に紹介しました。
まだそんなに使ったことがないので、良さ・悪さをしっかり理解していきたいと思います。
その他
https://silverbirder.github.io/blog/ でブログを書いています。よければみてください。
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