Kaigi on Rails 2025参加記: 「正解のない技術選定」とどう向き合うか
はじめに
2025年9月に開催された Kaigi on Rails 2025 に参加しました。
この記事では 参加を通じて感じたこと を紹介したいと思います。
エンジニアとしてだけでなく、クライアントと向き合う立場としても考えさせられる学びが多くありました。
その中で特に強く心に残ったのは、『 技術選定やアーキテクチャに絶対的な正解は存在しない 』という、一見当たり前のことを、実務や事例を通して改めて深く実感できたことです。
今回の学び(結論)
カンファレンス全体を通じて得た最大の気づきは、以下の2点です。
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唯一の正解は存在しない。常に状況依存である。
技術選定やアーキテクチャは、システム規模やチーム体制、その時の制約条件によって最適解が変わる。
「ベストプラクティス」と呼ばれるものも、絶対解ではなく その状況下でのベター に過ぎない。 -
判断を自分の業務と接続することで学びが深まる。
セッションを聴きながら「自分の過去の実装判断は本当に正しかったか?」と振り返ることで、単なる知識の獲得に留まらず、日常業務に直結する学びとなった。
セッションから得た気づき
非同期処理設計に唯一の正解はない
「Sidekiqの先にある非同期処理設計」では、バックグラウンド処理の複数パターンが紹介されました。
印象的だったのは、「どんな設計にも必ずトレードオフがある」 という点。
私自身もジョブキューの設計判断に悩んだ経験があり、この話は非常に刺さりました。
サービス分割は技術だけで決められない
「Railsアプリから切り出すべきか否か」では、技術的なメリットだけでなくチームのリソースや組織的制約も考慮に入れるべきと語られていました。
「できること」と「やり続けられること」は別物。
この視点は、実務における意思決定で忘れがちなポイントだと改めて感じました。
動的に開発することの価値
このオープニングキーノートでは、Rails が持つ 「動的に開発できる柔軟さ」の価値 が語られていました。
仕様が変わりやすい状況でも、小さく試し、素早くフィードバックを得て、次に進める。これこそが Rails の強みであり、ビジネスに直結する力でもあります。
つまり、堅牢さや統制よりも「変化に追従できるスピード」を優先する場面が確かに存在する。
これも「絶対的な正解はない」という今回の学びを象徴するテーマでした。
サービスクラス10年史から学ぶ判断の積み重ね
「サービスクラスをどう捉えるか」というテーマを10年の歴史を振り返りながら語る内容でした。
アーキテクチャの流行は移り変わるものの、その都度の判断の積み重ねがシステムを形作ることを示していて、とても共感しました。
UXとHotwire、選択の背景
このセッションではHotwire を採用するかどうかという具体的な技術選択を軸に、
その裏側にある 「ユーザー体験(UX)と開発コストのバランス」 について語られていました。
印象的だったのは、単に「モダンだから使う」のではなく、
そのプロダクトに必要な体験をどう実現するか を起点に考えるべきだという点です。
つまり、技術選定は手段であり、ゴールはあくまで「ユーザーに価値を届けること」。
この視点は、日々の案件でも常に忘れてはいけない原則だと強く感じました。
これからの業務にどう活かすか
今回の学びを経て、私は次のことを意識していきたいと思います。
- 「正解探し」ではなく、状況に応じた最適解を選ぶ姿勢を持つこと
- 技術的な理由だけでなく、チームのリソースや運用の持続可能性を常に判断基準に加えること
- 選択した後も「これで本当に良かったのか」と振り返り続けること
合同会社春秋について
今回の参加は、私が所属する 合同会社春秋 の研修の一環として行いました。
当社は 「技術偏重にならず、ビジネスの目的に寄り添った開発」 を大切にしています。
単なる技術導入ではなく、「そのクライアントにとって持続可能で価値のある解決策は何か」 を常に意識してプロジェクトに取り組んでいます。
春秋メンバーの集合写真。中央付近の短パン中年オジサンが私
クライアントの皆さまへ
開発パートナーをお探しでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。Raisはもちろん、LaravelやGraphQLなど色々強みを持っています!
私たちはクライアントのビジネスを理解し、状況に合わせた最適な技術選定を行い、長期的に価値を提供できるチームとして伴走いたします。
一緒に働きたい方へ
また、私たちは 共に成長しながら開発に取り組む仲間 も探しています。
「ビジネスに貢献できるエンジニアになりたい」「Rails をベースにスキルを伸ばしたい」という方は、ぜひご連絡ください。
おわりに
Kaigi on Rails 2025 は、ただ知識を得る場ではなく、自分の開発姿勢を問い直すきっかけを与えてくれるイベントでした。
絶対的な正解を求めるのではなく、状況に応じて最適解を選び続ける。
その姿勢を大切に、これからの業務にも活かしていきたいと思います。
来年もまた参加して、自分の視点をアップデートしていきたいです 💡
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