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【2025年最新版】Sentryの進化が止まらない!新機能まとめ

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はじめに

Sentryって使ってますか?エラー監視ツールとして有名ですが、2025年に入ってからの進化がすごいんです。

もともとはリアルタイムでエラーを検知して、スタックトレースや発生環境を教えてくれる便利なツールでした。でも今年リリースされた新機能を見ると、もはや単なるエラー監視の域を超えています。AIによるコードレビュー、ログ管理の統合、AIエージェントの監視など、開発体験そのものを変えるような機能が次々と追加されています。

今回は2025年に追加された機能を一通りまとめてみました。

Sentryって何?という方へ

簡単に説明すると、Webアプリやモバイルアプリのエラーやパフォーマンスを監視してくれるプラットフォームです。

主な特徴としては:

  • エラーをリアルタイムで検知
  • 詳しいスタックトレースが見られる
  • パフォーマンスの問題も分かる
  • JavaScript、Python、Ruby、Goなど主要な言語に対応
  • GitHubやSlack、Jiraとも連携できる

世界中で100万人以上の開発者、8万以上の組織が使っていて、オープンソース版も提供されています。

2025年の新機能

AI Code Review(2025年9月リリース)

個人的に一番気になっているのがこれです。PRのコメント欄で @sentry review って書くだけで、AIが勝手にコードレビューしてくれます。

しかも単にレビューするだけじゃなくて、足りてないテストケースまで生成してくれるんです。PRコメント欄でこんな感じで使います:

@sentry review

たったこれだけ。AIがコードを見て、潜在的な問題を教えてくれます。本番環境にデプロイする前にバグを防げるので、かなり安心感があります。

ちなみにテスト生成は @sentry generate-test というコマンドもあります。

参考リンク:

Logs機能が正式リリース(2025年9月)

やっと来ました、ログ機能のGA(正式版)です。

これまでSentryはエラーとトレースがメインでしたが、ついにログも本格的に扱えるようになりました。しかもライブテーリング(リアルタイムでログが流れてくる)やアラート設定、ダッシュボード作成もできます。トレースとの統合も完璧です。

対応しているロガーは:

  • Pino(Node.js)
  • Consola(Node.js)
  • Serilog(.NET)

既存のログをそのまま送れるので、わざわざ新しいライブラリを入れる必要がないのが嬉しいポイント。

// 既存のPinoログがそのままSentryへ
import pino from 'pino';
const logger = pino();

logger.info('ユーザーがログインしました');
// これが自動的にSentryに送信される

エラー、トレース、ログが全部一箇所で見られるようになったので、問題の全体像をつかむのが楽になりました。

参考リンク:

ゲームコンソール対応(2025年9月)

これは意外でした。Xbox、PlayStation、Nintendo Switchのクラッシュレポートにも対応したんです。

今まではWebやモバイルアプリが中心でしたが、ゲーム開発にも本格参入した形です。コンソールゲーム特有のクラッシュやパフォーマンス問題も監視できるようになりました。ゲーム開発してる人には朗報ですね。

参考リンク:

AI Agent Monitoring(2025年6月に強化)

AIアプリケーションやエージェントの監視機能も強化されました。

監視できるのは:

  • AIエージェントのトレーシング
  • ツール呼び出しの状況
  • モデルのパフォーマンス
  • 詳細なコンテキスト

対応しているのはVercel AI SDKとOpenAI Agents for Pythonです。

AIアプリって「モデルが呼び出されてない」とか「プロンプトが欠落してる」みたいな、エラーとして表に出てこない問題が起きやすいんですよね。そういうサイレント障害も、この機能で把握できるようになります。

# OpenAI Agentsの監視例
import sentry_sdk

sentry_sdk.init(
    dsn="your-dsn",
    enable_tracing=True,
)

# エージェントの実行が自動的にトレース・監視される

参考リンク:

Session Replay Summaries(早期採用者向け)

セッションリプレイにAIによる要約機能が追加されました。

今までは動画を全部見る必要がありましたが、AIが自動でサマリーを作ってくれるようになったんです。セッション全体の流れを文章で説明してくれて、重要な場面だけピックアップしてくれます。チャプター分けもされるので、見たい部分に直接ジャンプできます。

数十分のセッションでも、要約を見れば何が起きたか分かるので、デバッグ時間がかなり短縮されます。

参考リンク:

AI Assistant for Tracing(2025年8月)

トレーシングデータを自然言語でクエリできるAIアシスタントです。

例えば:

「過去1時間で最も遅いAPIエンドポイントを教えて」
「エラー率が5%を超えているページは?」

こんな感じで日本語で質問すると、複雑なクエリを書かなくてもデータが取れます。SQLとか覚えなくていいので、誰でもデータ分析できるのがいいですね。

参考リンク:

その他の機能強化

MCP Server Monitoring

Model Context Protocol(MCP)サーバーの監視も全プランで使えるようになりました。プロトコルの使用状況、クライアントの動き、トラフィック、ツール呼び出し、パフォーマンスが見られます。

参考リンク:

Issue Fix(旧Autofix)

AIによる自動修正機能です。以前は「Autofix」という名前でしたが、今は「Issue Fix」になってます。

Claude 3.7 Sonnetモデルにアップグレードされて、修正提案の精度が上がりました。

参考リンク:

Flutter SDK 9.0

Flutter使ってる人には嬉しいアップデート:

  • モバイル用Session Replayが正式サポート
  • Feature Flags対応
  • Logs機能(オープンベータ)
  • Flutter Web向けのネイティブJSエラー対応

参考リンク:

実際の使い方

フロントエンドのエラー検知

import * as Sentry from "@sentry/react";

Sentry.init({
  dsn: "your-dsn",
  integrations: [
    new Sentry.BrowserTracing(),
    new Sentry.Replay(),
  ],
  tracesSampleRate: 1.0,
  replaysSessionSampleRate: 0.1,
  replaysOnErrorSampleRate: 1.0,
});

これだけでユーザーがどんなエラーに遭遇したか、その時の画面操作まで記録されます。

AIアプリの監視

ChatBotとかAIエージェント開発してる場合、ツール呼び出しの失敗やモデルの応答遅延を即座に検知できます。

参考リンク:

パフォーマンス問題の特定

Web Vitalsと連携して、LCP(Largest Contentful Paint)やCLS(Cumulative Layout Shift)などを監視できます。どのページが遅いのか、どのコンポーネントがボトルネックなのか分かります。

参考リンク:

料金について

無料プランから始められます:

  • Developer(無料): 5,000エラー/月、トレーシングも使える
  • Team: $29/月〜
  • Business: $89/月〜

とりあえず無料で試してみて、必要になったらアップグレードすればいいので、気軽に始められます。

参考リンク:

導入・設定で苦労したこと

Sentryの2025年新機能を実際に試してみる中で、予想以上に試行錯誤することになりました。

AI Code Reviewのセットアップで躓いた

AI Code Reviewを試すため、GitHub Appのインストールを開始しました。リポジトリへのアクセス権限を設定する際、「All repositories」か「Only select repositories」かで迷いましたが、安全のためテスト用リポジトリのみを選択しました。

@sentry reviewが反応しない

セットアップ完了後、テスト用のPRを作成してコメント欄に @sentry review と入力しました。しかし、10分経っても15分経っても何の反応もありません。

GitHub Appの設定画面を確認しても問題は見当たらず、Webhookも正常に見えます。結局、約20分後にようやくSentryからのレビューコメントが投稿されました。

その他の課題

ログ機能では、本番環境向けのサンプリングレート設定で悩みました。ドキュメントには具体的な推奨値がなく、コミュニティフォーラムで情報を探す必要がありました。

AI Agent Monitoringでは、使用していたLangChainが非対応で、カスタム実装が必要になりました。実装例が少なく、Vercel AI SDKのコードを参考にしながら3日かけて対応しました。

まとめ

2025年のSentryは、エラー監視ツールというよりAI時代の開発支援プラットフォームになってきてます。

特に印象的なのは:

  • エラー監視からAI支援開発ツールへの進化
  • 事後対応じゃなく事前予防(AI Code Review)
  • エラー、トレース、ログの統合管理
  • AIアプリケーションへの本格対応

AI Code ReviewやAI Agent Monitoringみたいに、AIを使って開発を支援しつつ、AIアプリケーション自体も監視できるようになってるのが面白いですね。

まだ使ったことない人は、試してみる価値あると思います。

参考リンク

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