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アフガニスタン紛争の犠牲者数の可視化と分析

に公開

目的

この記事では、information is beautiful にアップされている、アフガニスタン紛争の犠牲者数のデータを分析した結果を共有します。☺️

背景

Tableau のDATA SABAR プログラム の学習の一環で、独自のViz を作り、Tableau Public にアップしています。今回は4作目です。

Afghanistan Troop Casualties とは
アフガニスタン紛争の死傷者数の統計データで、2001年〜2009年の犠牲者数が記録されています。当時、アフガニスタンに駐留していた、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ポーランド、ルーマニア、イギリス、アメリカ各国の派兵数、犠牲者数に加え、民間人、タリバン兵、アフガニスタン軍の犠牲者数も統計に含まれています。😢

データは、Wikipedia のCanada in the War in Afghanistan 等を元に作られています。

統計の表形式が揃っていなかったため、今回は、民間人と駐留軍の犠牲者数、中でも犠牲者数が多かったアメリカ、イギリス、カナダの三つの国の犠牲者数、そして即製爆発装置(IED)による犠牲者数 を分析しました。

分析の設計

分析にあたり、以下の問いを設定しました。

  • アフガニスタン紛争に於ける民間人の犠牲者数は、どれくらいだったのか?
  • 死因別の犠牲者数はどうなっているのか?
  • 連合軍の犠牲者数は、どうなっているのか?
  • この内、アメリカ、イギリス、カナダの犠牲者数は、どうなっているのか?
  • 即製爆発装置(IED)による犠牲者数は、どうなっているのか?

結論

観察事項

アフガニスタン紛争に於ける民間人の犠牲者数は、どれくらいだったのか?

  • 民間人の犠牲者数は、2007年〜2009年の3年分のデータしかありませんでした。
  • 犠牲者数は右肩上がりで、2007年は1,523名でしたが、2009年には2,953名まで増加しました。

死因別の犠牲者数はどうなっているのか?

  • 死因は「連合軍によって殺害された犠牲者」、「反政府勢力によって殺害された犠牲者」、「間接的な犠牲者」の三つに分類されています。
  • 2007年は「反政府勢力によって殺害された犠牲者」が最多で、全体の45%以上を占めていましたが、2008年は54.77%、2009年には更に悪化し、全体の60.45%を占めるまでになりました。
  • 一方「連合軍によって殺害された犠牲者」は、2007年には41.30%でしたが、2008年には39.09%まで減少し、2009年には31.49%まで減少しました。
  • 「間接的な犠牲者」は、2007年は12.74%でしたが、2008年には約半分の6.14%まで減少しました。しかし、2009年には8.06%と微増に転じました。😢

連合軍の犠牲者数は、どうなっているのか?

  • 連合軍の中でも、アメリカ、イギリス、カナダの犠牲者数は群を抜いており、経年で増加傾向が観察されました。 😨
  • 特にアメリカは多く、2001年の犠牲者数は12名でしたが、2009年の累計犠牲者数は、918名に上りました。
  • その他の国の犠牲者数は、ほぼ同水準で、10〜40名で推移していました。

この内、アメリカ、イギリス、カナダの犠牲者数は、どうなっているのか?

  • 犠牲者の多かったアメリカ、イギリス、カナダに絞ると、アメリカは2006年から「殺害された人数」が増加傾向が観察され始め、2006年は98名だった犠牲者数が、2009年には288名にまで増加しました。
  • イギリスも同様で「殺害された人数」、「重傷者数」共に、経年で増加傾向が観察されました。
  • カナダは「殺害された人数」は30名前後で推移している一方、「全負傷者数」は経年で減少傾向にあり、2006年は180名だった負傷者数が、2009年には80名にまで減少しました。

即製爆発装置(IED)による犠牲者数は、どうなっているのか?

  • 即製爆発装置(IED)による犠牲者数は、右肩上がりで増加傾向が観察されました。
  • 過去8年間のデータを基に、2009年、2010年の犠牲者数を予測した所、102名の予測値となりました。

観察から得られた示唆

  • アフガニスタンへ派兵された兵士の数を見ると、米国を除き、3300名、1025名等、全て5の倍数になっており、実際の派兵数とは恐らく異なる と思われます。🤨
  • 経年で民間人の犠牲者は増えており、当時のアフガニスタン国内の混乱ぶり、厳しい治安情勢が伺えました。🤕
  • 「連合軍によって殺害された犠牲者数」は経年で減少傾向にあったものの、「反政府勢力によって殺害された犠牲者」数は増加傾向にありました。反政府勢力による激しい抵抗が伺えました。
  • 連合軍の中でも、アメリカ、イギリス、カナダの犠牲者数は群を抜いており、これらの国々はアフガニスタン以外の国・地域の紛争に於いても、多くの犠牲者を出しているであろうと予想されます。🤕
  • アメリカ、イギリスは経年で犠牲者数が増加しているのに対し、カナダは「殺害された人数」、「負傷者数」共に、経年で微減傾向にありました。このデータが事実だとしたら、犠牲者数の違いは何によるものなのか?を深掘りする価値があります。 🤔
  • 今回のデータは、当時、見聞きした一連の報道から推測される犠牲者数とはかけ離れており、実際はより多くの犠牲者が出たものと察せられます。 😱

今後の課題

  • 戦争という極限状況下では、TVやラジオといったマスメディアを通じ、大量のプロパガンダが流通するため、実態を把握することは、難しいと感じました。
  • 戦争に限らず、国や自治体等の公的機関が公開している統計についても、常に「本当だろうか?」という視点に立ちながら、分析にあたることが必要だと感じました。 🤨

学び

今回の分析を通じ、得られた学びは、以下の通りです。

  • 分析前の企画段階では、犠牲者数を国名毎にプロットしたライン・チャートぐらいしか思いつかず、正直、このデータから示唆を出すのは難しいなと思いましたが、DATA SABAR プログラムのハンズオンを見返し、可視化のヒントを得ました。 具体的には、ライン・チャートに加え、エリア・チャートでも表現することで、犠牲者数の推移だけでは見えてこない示唆が出てくるようになりました。
  • Tableau の操作スキル以上に、Viz を企画する設計スキルが不足している と感じました。😓 手を動かすスキルと、適切な目的を定め、Viz を企画・設計するスキルをバランスよく、訓練する必要を感じています。
  • 対策として、過去に解いたTableau 問題集を「ビジュアル・アナリティクス・サイクル」で整理した上で、再度、Viz を作る練習をしてみます。🤔
  • 今回の分析では、二軸化、エリア・チャート、バンプ・チャート、別名の編集、アナリティクス ペインの予測を使いました。
  • 粒度が大きいビューから、細かい粒度へドリルダウンしていく進め方が最も直観的で、分かりやすいと再確認しました。🤔
  • 元データのカラムは英語でしたが、日本語に直した方が断然、読みやすくなりました。細かい点ですが、読み手への気遣いとして重要な点だと思います。
  • 元データの「年」カラムは、文字列型でしたが、日付型に変換しました。忘れがちですが、必要な前処理です。
  • 小さなデータであれば、横持ちを縦持ちに変換する等の前処理はできるようになってきました。引き続き、練習を重ね、適切な前処理を短時間で企画・実装できるようになりたいです。

出所

Discussion