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【AI駆動開発】Cursor, GitHub Copilot他4AIツール3モード完全ガイド

はじめに

こんにちは。エンジニア 兼 講師のShotaです。

普段はエンジニアとしてAIツールを実案件に適用しながら開発を行い、 同時に講師として得られた知見を体系化して受講生の方にお伝えする活動をしています。

日々様々なAIツールを検証する中で、Cursorをはじめ、GitHub Copilot、Replit、Clineなど「これは使えそう!」と思うAIツールが出るたびに契約し、気がつけば月額課金の合計が日本円で10万円を超える月も...

使って検証して、実案件に適用して、改善点をまとめて、フィードバックして、また検証しての繰り返し。でも現実は厳しく、意図したとおりのコードがなかなか生成されない。プロンプトを微調整しては、コードを確認し、テストして...お金が溶けるだけでなく、時間も溶けていく日々でした。

「AIツールって本当に実用的なの?」一時期は失意のどん底状態に。

そんな試行錯誤の末に、なんとか発見した重要なポイント——AIツール活用の大前提でありながら、知らずに使っている人が多い「モード」の概念と使い分けでした。

本記事では、この"高額授業料"から学んだ主要4ツールの「モード」の概念と、開発現場での効果的な使い分け方法について体系的に解説します。

※本記事の内容は「AI駆動開発実践コース」での知見をもとにしています

AIツールの「モード」とは

AIツールの「モード」とは、異なる開発用途に特化した機能群のことです。開発者は自身のタスクに応じてモードを切り替えることで、AIの能力を最大限に活用できます。

主要な3つの用途とモード

開発現場で求められる用途は大きく以下の3つに分類されます:

# 用途 概要
1 新規開発 要件に基づいてAIがゼロベースでアプリや機能を構築するプロセス。
・開発プロジェクトの作成
・環境構築
・プロトタイプの実装

「こんな感じで(Vibeで)アプリを作って」と指示するだけでプロトタイプの実装まで行えることから、パイプコーディングと呼ばれる。
2 既存コード理解 既存コード(新規開発で実装したプロトタイプを含む)に関するAIとのQ&Aを通じて、コードの意図や仕様を理解するプロセス。

・既存コードの理解
・修正箇所の特定
・影響範囲の調査
3 既存コード修正 既存コード理解で得られた知見に基づく修正指示により、AIが既存コードに対して実際に修正や改善を加えるプロセス。

・機能追加・変更
・リファクタリング
・バグ修正

各ツールのモード対応表

# 用途 Cursor GitHub Copilot Replit Cline
1 新規開発 Agent Agent Agent Plan & Act (※)
2 既存コード理解 Ask Ask Basic Assistant -
3 既存コード修正 Manual Edit Advanced Assistant -

※ Clineには明確なモード分けがなく、Plan & Act方式を採用。これは他のツールのAgentモードに相当する新規開発に特化した設計。

ツール別特徴と選択指針

開発力による分類

各ツールを新規開発力と既存コード修正力の観点で分類すると以下のようになります:

🔴 新規開発力優位型:Cline

  • 新規開発力:★★★★★
  • 既存コード修正力:★★★☆☆

特徴:新規開発に特化した設計で、要件から一気にプロトタイプまで実装する能力に優れています。Plan & Act方式により、実装計画の策定から実際のコーディングまでを一貫して行えます。

制約:既存コードの細かい修正には向いておらず、以下の制約があります:

  • 処理が重い
  • PlanからActへの切り替えに手間がかかる
  • 修正前後のDIFFを適用前に確認できない(他のツールのManualやAdvanced Assistantモードではサポート)

このため、精密な修正作業には不向きです。

🔶 既存コード修正力優位型:GitHub Copilot

  • 新規開発力:★★★☆☆
  • 既存コード修正力:★★★★★

特徴:大規模リポジトリの運用経験を活かした既存コード修正に特化。複数ファイルに渡る変更を安全かつ効率的に行えます。

注意点:Agentモードは名称に反して、実際には「analyzing code, proposing edits, running tests, and validating results across multiple files」という複数ファイルの修正を主目的としており(参考:GitHub Copilot Features)、他ツールのManualモードに近い性質を持ちます。これは大規模リポジトリを運用するGitHubならではの設計思想と考えられます。

🔵 バランス型:Cursor & Replit

  • 新規開発力:★★★★☆
  • 既存コード修正力:★★★★☆

特徴:新規開発と既存コード修正の両方において高い性能を発揮。開発から保守まで幅広くカバーできる万能型ツールです。

開発スタイル別推奨ツール

新規開発がメイン業務の場合

推奨:Cline

  • 一気に開発するフェーズをAIに任せたい
  • 既存コード修正は手動 or 他ツールで対応
  • プロトタイピング重視の開発スタイル

既存コード修正がメイン業務の場合

推奨:GitHub Copilot

  • 丁寧な改善作業をAIに任せたい
  • 新規開発は手動 or 他ツールで対応
  • レガシーコード保守重視の開発スタイル

新規開発と既存コード修正の両方がメイン業務の場合

推奨:Cursor & Replit

  • 開発から保守まで一貫してAIを活用したい
  • ツールの習熟コストを抑えたい
  • フルスタックの開発スタイル

Agentモードでの要件伝達について

Agentモードを効果的に活用するには、「どう要件を伝えれば最小限の手戻りで実装できるか?」が重要な課題です。

主な課題

  • 要件が曖昧→意図しない実装
  • 一度に多すぎる機能→複雑化・品質低下

解決策
明確な要件効果的なスコープ分割により、開発タスクを適切な規模に分割して段階的に実装させることが重要です。

まとめ

AIツールの効果的活用には、適切なモード選択が不可欠です:

  • 新規開発:Agent系モード or Cline
  • 既存コード理解:Ask/Basic Assistant系モード
  • 既存コード修正:Manual/Edit/Advanced Assistant系モード

さらに、開発スタイルに応じたツール選択により、AI駆動開発の効果を最大化できます。重要なのは、各ツールの特性を理解し、プロジェクトの要件に最適な組み合わせを見つけることです。

適切なモード選択により、私自身も含め多くの開発者が経験する試行錯誤的なAI活用から脱却し、より効率的で品質の高い開発プロセスを実現できるでしょう。


補足:本記事の内容は2025年5月時点の情報に基づいています。AIツールの進化は非常に速く、現在はモード名が変更されていたり、機能がなくなっていたりする場合があります。

参考リンク

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