本当にあったアプリレビューの怖い話(広告を出して失敗する時)
個人アプリをリリースして3年が経ちました。アプリのレビュー数は1000件を超え、平均評価4以上のアプリに育っています。
今回は広告の適切なタイミングと恐怖体験(非当事者)について書こうと思います。
たまにSNS広告で「斬新なアプリ」の広告が流れてくることがあります。
何だか気になってダウンロードしてみたら、カクカクしているし、何だか質が低い。それで「うわー...」と残念な気持ちになってレビューを見てみると、低評価ばかり。でもランキングはかなり高かったりします。本当にこれが人気あるの?と思ったり。
この件について考えてみました。
謎のランキングの高さ
iOSの場合ですが、まずランキングが高い理由は、単純にダウンロード数が多いからです。お金(広告費)をかければダウンロード数が増えるので、一時的にランキングを急上昇させることは可能です。だから全てではないですが「ランキング」があてにならない場合もあります(私もたまにアプリがバズってランキングに入るのですが、なかなか定着せずに難しい)
裏切られたユーザーが取る行動
次にユーザーの心理を考えてみました。
これは私の個人的な意見なのですが、ユーザーが自らアプリストアで検索し、吟味した上でダウンロードしたアプリと、広告を見てダウンロードしたアプリとでは、アプリの質が同じでもユーザーが抱く感情が全く違うと思います。
例えば「ダイエット」で検索して探したアプリが微妙だった場合、おそらくユーザーはアプリストアに戻り、次のアプリをダウンロードして試します。ただ、これが広告に煽られてダウンロードしたアプリが微妙だった場合、ユーザーは「ムカツク」のです。
広告の画像や動画から、めっちゃ良いアプリだと感じて気持ちが高まっていたのなら、そのギャップに萎えます。広告の質が高ければ高いほど、萎えます。
その「萎え」の感情の行き場がないので、それを発散するために低評価レビューをつけるのではないでしょうか。つまり散々期待させて気持ちを上げておいて、最後に「ドーンッ」と奈落の底に突き落としているから。よくあるのが会員登録ができない、アプリが落ちる、重すぎる。質が低い。
特に、会員登録ができないのは致命的ですよね。広告で期待したユーザーが、あとは会員登録さえできれば素晴らしい体験が待っているんだ、と期待に胸を膨らませているのに、先に進めない。これはブチギレて当然です。そして、不思議なのはこれが結構あるんです!おそらくトップのワンマンで突っ走っちゃたのかなと。
マッチングアプリの写メのように
あとは「主体的」か「受動的」かによってもそれは変わります。アプリストアに並ぶたくさんのアプリ群、それらが全て同じ土俵で戦っています。あなたは審査官になって、上から順番にアプリページを開き、あなたの判断のもとダウンロードする。その場合は、なぜか微妙なアプリでもそこまで萎えまません。ストアの味気ない「画像」だけでは、ユーザーの感情を盛り上げることが難しいという理由があるのかも。そもそも斬新すぎる「画像」はアプリ審査に通りません。
ただ、ソファに座ってリラックスしながら、のんびりSNSを見ていたら突然流れてくる広告。オシャレで斬新なその内容に期待してダウンロードしたら、質の低いアプリが待っていた。それで裏切られた気持ちになるのです。例えば、マッチングアプリのプロフ写真は映えているのに、実際会ってみると...よくある話ですよね?私には「もちろん」分からない世界ですが...
広告がネガキャンになる
このように、アプリの質が低い時に広告を出してしまうと、それは「ネガティブキャンペーン」に繋がってしまいます。広告が逆効果になってしまうのです。アプリにとってレビューは非常に重要で、低評価のレビューが多いとそもそもダウンロードしてくれません。この場合、お金を払って目先のダウンロード数と引き換えに、未来を捨てている行為と言えるでしょう。
ただ、スタートアップなんかは出資者の兼ね合いもあって、早く「結果」が必要です。ユーザー数とかダウンロード数とか。だから、早くその数字が欲しいがために、完成度が低くても広告を出して撃沈してしまうんだと思います。ただ、レビューはリセットできるのですが、最も重要なコメントは削除できません。
本当にあったアプリレビューの怖い話
特に怖いのが、低評価レビューをしたユーザーは、犯行現場に戻ってきます。そしてレビューが削除されたことを発見し、再度低評価レビューをする。「以前書いたレビューがなぜか消えていたので、再度投稿しますが」という文章を見かけた時は鳥肌が立ちました。こうなったらもう負けです、勝てるわけがありません。なので、くれぐれもお気をつけください(一応ですが、ストアに削除の「申請」を出すことは可能です)
最強の営業マンは利用してくれるユーザー
アプリの最強の営業マンはユーザー自身です。良いアプリを作れば、勝手に宣伝してくれるし、良いレビューを書いてくれます。だから良いアプリを作ってください。ただ、100%完全無欠なアプリを作れというわけではありません。ちゃんとユーザーに「価値」を提供していれば、少しの不具合であればユーザーは許容してくれます。私のアプリのレビューにも、「この部分は大変不満。でも他の機能は良い...」みたいな、複雑な感情をもったレビューもあります。
そんなレビューを見た新規のユーザーはどう思うでしょうか?最初からマイナスがあることを前提にアプリを使うので、より許容してくれやすくなります。「ダメな点もあるみたいだけど、結果的には良いアプリなんだな。使ってみよう」と。だからネガティブなレビューをする正直なユーザーも、時にはアプリに必要です。逆に星5のレビューしかないアプリは怪しまれます。
【余談】世界で一番厳しく残酷な、恵まれた日本人
ちょっと長いので、時間がある方は
【余談】世界で一番厳しく残酷な、恵まれた日本人
余談ですが、日本人がアプリやゲームのレビューで、大変厳しい評価をつけることは世界的にも有名らしいです。無料でアプリを楽しむことができているのに、こんな理由で星1にする!?ということはよくあります。他には、「応援しています!今後に期待して星3」とかいうレビューもあります。本人的に悪気はないのでしょうが、アプリは星3を付けられると評価が下がってしまうので、それならレビューなしの方がありがたいんです...
私なりに考えてみたのですが、日本って世界的にみても全ての質が高くて恵まれている国です。だから、無料で質の高いサービスを受けられることが当たり前だと思っていると推測しています。例えば、ツアーを使わない海外旅行をすると分かるのですが、日本の感覚でいると驚きます。憧れのヨーロッパなんて皆言いますが、街は落書きだらけで、店員さんも愛想ないし、露骨な人種差別もしてきます。無料のトイレはなく、夜は危険。スリもとてつもなく多くて、私は3回被害に遭いました(全て未遂)。だから、旅行自体は楽しいのですが、毎日ピリピリした感じで過ごす必要があって(じゃないとやられる)、日本に帰るととても気が抜けます。
だから、そもそも住んでいる「環境」のベースが違う。日本人は恵まれているんです。最低ラインの水準がとても高くて、だから無料でも良いサービスを受けられることが当たり前だと思っている。ここはもう、日本の治安含めて様々な環境が悪化しない限り、一生変わらないんじゃないかと思っています。啓蒙とか無理でしょう。やっと電話でのカスハラ対策とか言い出していますが、あんなの最初からガチャ切りでいいはずです。
なので、私達が勝負しているのは、世界で一番厳しく残酷な、恵まれたユーザーです。くれぐれも用心してください。「価値」の提供に自信がなければ、まだ目立たないでください。目をつけられるとボコボコにされます。ただ、「推し活」という言葉があるように、アプリの「ファン」になってくれると大変心強い。私もたくさん力を貰っています。
(こんなこと書きましたが、別にヨーロッパをディスりたい訳ではありません。事実私はそれでもヨーロッパが大好きです。電車で国境を簡単に通過できることは不思議な気持ちだし、楽しい。古い建物や街並みを維持しているので、ゴチャゴチャした日本より遥かに景観は良い。写真好きなのですが、撮ったらだいたい映えます。食事もビールも美味い。あと、弱肉強食の世界なので、自己主張が命。舐められたら負けなので、とてもメンタルが強くなって、生きている実感が湧きます。日本にいるより色んな感情が動くので、とても刺激的です。)
ちょっと余談が長くなってしまいましたね...本題に戻ります。
結論
当たり前の話ですが、アプリをリリースしても、まだ質が低い場合は「ネガティブキャンペーン」になるので焦って広告を出してはいけない。広告を出してダウンロード数が増えさえすれば、アプリで成功できるなんて、そんな簡単な話ではありません。
なので順番的には、
- 最低限バグを潰す(特に会員登録とクラッシュ)
- 良い「価値」を提供する(結局はここが重要です。なければ広告を出しても定着しない...)
- 最後に広告を出す
でも意外と焦る人がいるので、気をつけてください。
特に2がイマイチな場合、たとえ低評価は付けられなくてもユーザーが全く定着しないので、お金がもったいないです。
最後に、私も個人開発で日々悩みながら開発やマーケティングをしています。
お互い開発頑張っていきましょう。
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