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ゲームに使われるインタラクティブミュージックをディズニーリゾートに適用してみる【前編】

2023/08/02に公開

これから記録するのは中3の授業で調べ、高2だったかまでブラッシュアップしたインタラクティブミュージックについてまとめたものです。

内容としては、インタラクティブミュージックそのものについてと、それをディズニーリゾート内の音楽の分析に応用する、という内容です。

インタラクティブミュージックとは

本来音楽というのは、

  1. 再生する媒体があって
  2. それを聞く人がいる

この、2段階で最小限なり立つと思っています。
再生する媒体は、人でも CD でもなんだっていいです。
重要なのは、「再生する媒体 -> 聞く人」という流れがあることです。

一般的に思い浮かべる音楽のイメージはほとんどこのパターンだと思います。
たとえば、演奏会やドラマの BGM などです。
ドラマや演劇では、展開に合わせて音楽が動いていきますが、台本がある以上、あらかじめ決められた流れで音楽が動いていきます。

それに対して、

  1. 再生する媒体があって
  2. それを聞く人がいて
  3. 聞く人の行動によって
  4. 音楽が変化する

この、「再生する媒体 <-> 聞く人」の双方向の構図が成り立つのがインタラクティブミュージックです。

インタラクティブミュージックの例

一番わかりやすい例はゲーム音楽じゃないかなと思います。
じーくどらむすさんのこの記事の冒頭にもある通り、ゲーム音楽はプレイヤーの行動によって変化します。

このように音楽もプレイヤーが間接的に操作しているかのようにプログラムされている、それがゲームの音楽だ。[1]

詳しい具体例は、じーくどらむすさんの記事に全部任せます。
自己紹介記事にも書いた通り、この人ほどわかりやすくまとめてくれている人はいないので。

ざっくり説明するのであれば、ゲームプレイ中ってプレイヤーの行動はほぼ決まってないですよね。
ストーリー展開がほぼ決まっているノベルゲームでさえ、セリフ送りのタイミングはプレイヤーによって変わります。
そんな中で、音楽の長さを決めておくと、プレイヤーがセリフを読み終わる前に音楽が終わってしまうなんて寂しいことが起こるわけです。
単純にループするっていっても、音楽は始まりっぽいイントロがあるのであって、終わりっぽいアウトロがあるわけで、起承転結もたいていあるので、 どこかで場面と音楽のズレみたいなものが発生してしまうわけです
ループしても問題ない曲は、それはそれで展開がなく飽きられてしまいますし。
展開を作りつつ、しかし、ゲームのプレイ体験を損なわないように、つまり 違和感なく 設計されることを理想とするのがゲーム音楽です。
だからゲーム音楽は特に、インタラクティブミュージックにならざるを得ないのです。

(久しぶりに記事読んだらゼルダの伝説ToKについて追記されてたし、記事自体は5年前だし、びっくりしたよね。)

インタラクティブミュージックの分類

じーくどらむすさんはそもそも FF15 のインタラクティブミュージックを設計したとんでもない人なので、ちょっと調べただけの僕が分類する、しかもじーくどらむすさんと違う分類の仕方をするなんておこがましいとは思いますが、なにせ、ピンと来なかったんだから仕方ない。

共通点

まずは共通点から。
前提として、「 音楽的な時間軸上の遷移方法の分類 」を行います。
たとえば、ボタンを押した時とマップを移動した時、みたいなプレイヤーの動作は考慮しません。
重要なのは、ゲームBGMとして、違和感なく聴かせるための音楽的な技術であり、遷移方法です。
また、転調の仕方や、経過音の扱い的な音楽理論上の話も考慮しません。
カッコつけていうなら「 動的な音楽の遷移構造 」の分類です。
古典的な音楽理論でカバーできる 静的な 遷移構造は本題ではないということです。

相違点

異なる点としては、視点です。
じーくどらむすさんが、「どんな風に遷移しているのか」から分類しているのに対し、僕は「何が遷移しているのか」を元に分類しています。

まず、じーくどらむすさんは次の2つに音楽の遷移を分類しています。(noteには「開発者の間では[2]」と言っていますが、FF15の開発者なのか業界全体の開発者なのかわからないので じーくどらむすさんの 分類としておきます。)

  • 縦の遷移
  • 横の遷移

note を読んでくださいでもいいんですが、後々自分の分類にも関わってくるのでざっくり説明すると、「縦・横」の遷移は、トラックと DAW の時間軸上での操作だと思って構わないです。
縦の遷移はトラックを切り替える操作で、横の遷移はトラックの中のどの部分を再生するかを切り替える操作です。
ループなんかは DAW でやろうとするとループする範囲を指定して再生になるので横の遷移ですし、あとで説明するパートの入れ替えなんてのはトラックの音量調整にあたるので縦の遷移です。

独自の分類

じゃあ、自分がどうやって高校生の時に分類したかというと、

  • 曲の遷移
  • パートの遷移
  • インパクトの遷移
  • 展開の遷移

この4つに分類しました。
(実は曲の遷移は違う名前だったんですがわかりにくいので変更。)
違うと言いましたが、なんだかんだ曲の遷移とパートの遷移は縦の遷移、インパクトの遷移と展開の遷移は横の遷移に相当します。

じゃあわざわざ分けた意味がないじゃないかと言われそうですが、待ってください。
先述の通り、曲の遷移とパートの遷移は縦の遷移に含まれます。
しかし、この2つは大きく異なる構造と効果を持っています。
横の遷移の2つも同様です。
これについては詳しく後述します。

遷移方法の分類

ちなみに、まだ本題ではありません。
しかし、本題に入るために重要な知識なので悪しからず。

ここからは、具体的にそれぞれの遷移方法について説明します。

曲の遷移

これは 曲そのものを切り替える遷移 です。
単純に BGM 切り替えを考えた時に、最も直感的な遷移方法で、簡単に言えばフェードイン・フェードアウトで、曲を切り替える方法です。
たとえば、オープンワールドでのエリア BGM の切り替えや、よくある Youtube の動画 BGM の切り替えで見られます。
環境の変化に合わせて、曲を切り替える 感じですね。

イメージとしては、DAW に曲ごとにトラックを用意して、だんだんと音量を変えていく感じ。
だからこれは、縦の遷移 に分類されています(と僕は解釈しています)。

遷移の前後で大きく曲が異なるのが特徴 です。
なにより、自然な遷移が特徴で、フェード時間を伸ばせば伸ばすほど、音楽の切り替わっている感はなくなるのが使いやすいところ。
伸ばせば伸ばすほどと言いましたが、曲が大きく異なるので、音楽的な問題は当然起きてきますが

パートの遷移

これは、一つの曲の中で、再生するパートを切り替える遷移 です。
曲の遷移と異なるのは、曲の遷移は曲そのものを切り替えるのに対し、パートの遷移は曲の中のパートを切り替えるところです。
つまり、曲の遷移が DJ 的なことをやっているのにたいして、パートの遷移は Remix って感じですね。
案外、パートの入れ替えで印象が大きく変わるので、曲の遷移ではないですが、popo さんのゼルダの伝説の楽曲解説に同じモチーフでパートを変える手法が紹介されているので、興味があれば見てみてください。

https://youtu.be/EfEr4e6_ENE

普通に全部の動画面白いので、ゼルダの伝説 BotW/TotK の静的な音楽の詳しい解説が知りたい人は見てみてください。(ちなみに、ガノン戦のBGM解説の話はじーくどらむすさんの解説していた pre-end の概念も入ってる)

遷移のイメージは、DAW で曲のパートをオンオフする感じです。
なので、これも 縦の遷移 です。

フェードすれば、自然な遷移ができるとともに、元から一曲として作ることができたり、作曲時のベースを共通化できたりと、音楽的な問題が起きにくいにもかかわらず、ガラッと印象を変えられるのが特徴 です。

インパクトの遷移

これは SE (Sound Effect: 効果音) による遷移 です。
具体的には、「インパクトの遷移は例えばマリオシリーズの死亡BGMへの遷移の際の効果音やポケモンシリーズの戦闘BGMへの遷移の際の短いジングル、ファイナルファンタジーシリーズでの大ボス戦闘BGMからの変異の際のモンスターの咆哮などがある。」と過去の自分は書いてあるが、どうして出典を詳しく書いてないんだよ。
ともかく、プレイヤーの行動やゲームの進行によって、短い音を鳴らすことで、 これまでの音楽の流れをぶった斬り 、新しい音楽に切り替えることができる遷移です。

これまで流してきた曲に SE を鳴らしたいところに同トラックに貼り付けて、次の曲を流すイメージのため、これは 横の遷移 です。

大きく流れを変えることができる のが特徴です。
キャラクターの死亡・敗北・勝利、戦闘への移行、ボスの変異。
全て、ゲームの流れを大きく変えるものです。
ゲームの流れが大きく変わるなら、音楽の流れも大きく変わるのは当然です。
しかし、音楽の大きな変化はプレイヤーに違和感をもたらします。
だからこそ、短い音を鳴らすことで意識を音楽から逸らし、違和感を軽減するのです。
マジックで言うところミスディレクションですね。

展開の遷移

これは、曲の展開による遷移 です。
最も音楽的な遷移と言えるかもしれません。
というのも、通常の静的な音楽の展開は、時間が決まっている展開の遷移をしている といえるのです。
Aメロ・Bメロ・サビをゲームの進行によって切り替えるので、展開の遷移と名付けました。

これは、わかりやすい 横の遷移 です。

音楽的な問題が起きにくいものの、技術的に大変 のが特徴です。
というのも、通常の静的な音楽の展開と同様なものの、次にどの音源をどのタイミングから流すのかを考える必要があるからです。
この、どのタイミングからというのが難しく、ms レベルのズレが訳のわからない音の混入や無音の混入を引き起こすのです。
しかし、ゲームの展開に合わせて音楽が大きく展開してくのはやはり強力なのでしょう。
AAA タイトルのゲームでこの手法を使ってないゲームはないのではないぐらいだと思います(適当)。

ディズニーリゾートのインタラクティブミュージック的解釈について

やっと本題です。
ここまで、書いてきた曲の遷移を踏まえて、特に東京ディズニーリゾートの音楽について考えてみます。
と言いたいところですが、流石に長すぎるので分割します。

まとめ

覚えておいて欲しいのは、4つの遷移方法。
そして、これらは全て、プレイヤーの行動やゲームの進行によって違和感なく音楽の流れを変えるためのものである ということです。

脚注
  1. ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドのサントラを買う人が知らないゼルダBGMの裏側 ↩︎

  2. 「インタラクティブミュージック」という、ゲームと音楽の関係性。連載開始。 ↩︎

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