Salome Meca&Code Aster:インストール&動作確認
1.概要
この記事は下記3点を実施した際の記録です.
- Code Aster(ver.2021,Windows版)のインストール(2節)
- Salome Meca(ver.2021,Windows版)のダウンロード(3節)
- 上記2つのソフトの動作チェック(4節)
Code AsterとSalome Mecaの説明を簡単にしておきます.Code Asterはフランス大手電力会社eDFが開発したオープンCAEソフトです.構造解析,伝熱解析,他ソフトとの連携機能を利用した連成解析などを実施できます.フリーのCAEソフトですが,有料のCAEソフト(AbaqusやMarcなど)に負けないくらいの機能を備えています.
Salome-MecaはCode AsterをGUI上から操作するソフトです.Code AsterがソルバーでSalome Mecaはプリポストという関係になります.開発元はCode Asterと同じでeDF社が行っています.
私の場合,Code Aster(ソルバー)の方は使用する予定が今のところなく,必要なのはSalome Mecaのメッシング機能だけ(プリの機能だけ)なのですがCode Asterも今回はついでにインストールしています.Salome Mecaのメッシング機能(6面体メッシング,領域分割機能など)は,私の知る限りフリーソフトの中では一番優秀なので,Salome Mecaだけ必要だ,という方も多いと思います.
Salome Mecaだけ使いたい方はCode Asterのインストールは不要です.ただ,Code Asterをインストールしていないと,Salome Mecaを起動する際に「Code Asterが見つかりません」という警告文が毎回出てきます.私はこの警告文が気持ち悪かったので,Code Asterもインストールしています.Code Asterもインストールするとこの警告文は消えます(4節を参照のこと).
Salome Mecaの方はファイルサイズが大きいので,ご利用は計画的に.参考までに下記がCode AsterとSalome mecaのファイルサイズです.
- Code Aster:ファイルサイズ約1.5GB
- Salome-meca:ファイルサイズ約10GB
また,後述の「環境」の欄にも記載してますが,私の動作環境は下記です.
・OS:Windows 10 Home 64bit
・製品名:IdeaPad S540-14API
・CPU:AMD Ryzen 5 3500U with Radeon Vega Mobile Gfx 2.10 GHz
・RAM:8.00 GB
2.Code_Asterインストール
Code Asterのインストールは難しくないです.インストーラーがほぼ自動で全てやってくれます.
まずは,公式HPからインストーラーをダウンロードします(図1参照).インストーラーは「code-aster_v2021_std.msi」というファイルになります.お使いのブラウザやセキュリティソフトによっては,このインストーラーがウィルス認定されて,ダウンロードを阻まれるかもしれませんが,手動で許可をして下さい.
図1. Code Asterのインストーラーのダウンロード
「code-aster_v2021_std.msi」をダブルクリックしてインストーラーを起動します(図2).
図2. インストーラーの起動
インストーラーを起動すると図3のようなウィンドウが立ち上がります.「Next」を押して次に進みます.
図3. インストーラー起動画面
利用規約のチェックボックスにチェックを入れて,「Next」を押して次に進みます(図4).
図4. 利用規約への同意
Code Asterのインストール先を指定します.デフォルトのままでも良いですが,今回はDドライブへインストールしたいため,「Change」を押して次に進みます(図5).
図5. インストールフォルダの変更
今回はDドライブ直下に「code_aster_2021」というフォルダを作り,そこにCode Asterをインストールします(図6).インストール先を「D:\code_aster_2021\」に指定して,「OK」を押して次に進みます.
図6. インストールフォルダの指定
インストール先が「D:\code_aster_2021\」になっていることを確認し,「Next」を押して次に進みます(図7).
図7. インストール先の決定
「install」を押してインストールを開始します(図8).
図8. インストールの開始
インストールが終わると図9のようなウィンドウが立ち上がるので「Finish」を押してインストールを終了します.これで,Code Asterのインストールは完了です.
図9. インストールの終了
3.Salome-Mecaダウンロード
Salome Mecaはインストール作業は不要です.ダウンロードしてきたzipファイルを任意のフォルダに解凍し,対象のbatファイルをダブルクリックするだけですぐに利用できます.インストールを必要としないのでSalome Mecaが不要になったら,「右クリック」→「削除」でフォルダごと削除すれば良いです.
Salome Mecaが入ったzipファイルはCode Asterと同じ公式HPから入手できます(図10).zipファイルは「SM-2021-w64-0.4.zip」という名前です.約2GBほどあるのでダウンロードに結構時間がかかります.(解凍すると10GB程度なります)
図10. Salome Mecaのダウンロード
4.動作チェック
下記を実行することで,Code AsterとSalome Mecaの動作チェックをしました.
- Salome Mecaでモデル作成(プリの作業)
- Salome MecaからCode Asterへジョブ投入
- Salome Mecaで結果表示(ポスト処理)
まずはSalome Mecaの起動から説明します.Salome Mecaが入っていたzipファイル解凍すると,「run_salome.bat」というファイルがあるはずです.「run_salome.bat」をダブルクリックすることでSalome Mecaを起動できます.「run_salome.bat」をダブルクリックすると,図11または図12のようなウィンドウが立ち上がります.
図11. Salome Mecaの起動:警告文あり
図12. Salome Mecaの起動:警告文なし
Code Asterをインストールしていない場合は図11のようになり,Code Asterをインストールしている場合は図12のようなになると思います.図11には「Code Asterが見つかりません」という警告文が出てきていますが,メッシングなどのプリ機能だけを使用する際は,この警告文は無視しても問題ないと思います.ちなみに,Code Asterをインストールすると図11のような警告文は消え,図12のようになります.
Code Asterのインストール有無に関わらず,ちょっとだけ待つと図13のようなウィンドウが立ち上がると思います.そうすればSalome Mecaの起動成功です.図13のようなウィンドウが立ち上がるまでに少し時間がかかりますが,Salome Mecaの設定を弄れば起動までの時間を短縮するワザがあったはずです.ただ,今回はその作業は省略します.ググれば色々情報が出てきたはずです.
図13. Salome Mecaの起動成功画面
Salome Mecaの使用を終了する場合は,図13右上の「×」ボタンでも良いと思いますが,これはプロセスをkillする正式な手続きではありません.「README.txt」を読むとSalome Mecaの使用を終了する場合は「kill_salome.bat」を実行するのが正式な手続きのようです(図14).
図14. Salome Mecaの終了方法
「×」ボタンを押してもSalome Mecaを落とせることを確認しましたが,これだとプロセスがkillされない場合もあると思います.実際に別のソフト(AbaqusのGUI機能)を使用しているときに「×」ボタンではプロセスがちゃんとkillされず裏でソフトが動き続けていることがありました.手癖で「×」ボタンを押したくなると思いますが,「kill_salome.bat」でソフトを落とすように注意しましょう.
Salome Mecaの具体的な操作方法はこちらの記事でとても丁寧にまとめられています.今回の動作確認はリンク先の解析実施例をそのままなぞって行いました.既にまとめられた記事をトレースして記事にするのも手間なので,具体的な説明はそちらの記事に譲り,作業する上で詰まったところのみこの記事で解説します.リンク先の記事はver.2020のLinux版のSalome MecaとCode Asterについての解説記事です.一方,この記事で使用しているのはver.2021のWindows版です.若干の違いはあると思いますが,チュートリアルレベルの解析を実施するくらいでは殆ど違いは感じられませんでした.
Salome MecaとCode Asterの動作確認をする上で詰まったのは下記1点だけでした.
- Code Asterの最新stableバージョン(15.4.0)では解析が実行できない(図15).
図15. ジョブの実行エラー
解決法は下記です.
- 一つ前のstableバージョン(14.8.0)を使用する(図16)
図16. ジョブの成功
最新stableバージョン(15.4.0)で解析ができなかった原因は,私が単純に解析の設定ミスをしている可能性もありますし,ソフトそのもののバグかもしれません.今回は,原因について深く追求していません.(私の場合はCode Asterが利用したいというよりも,Salome Mecaのプリ機能を主に活用していきたいため.)
解析の成功例として,Salome Mecaでポスト処理をしている画面を図17に示します.片持ち梁の簡単な解析ですが,ポスト処理の操作が私の環境ではとんでも無く重たかったです.1500節点程度の解析ですが,マウスを使用した視点切り替えの操作がとてもモッサリしていました.
私のPCは5~6万円程度で購入したノートPCなので,まともなグラフィックボードを積んでいないことも動作が重い原因としてあると思います.15~20万円くらいのゲーミングPCなどを使用している方は軽快に動作させることができるかもしれません.
ポスト処理はParaViewなどの別のフリーソフトでもできるみたいなので,動作が重いと感じた方はそちらを利用した方が良いかもしれません.公式HPで,lightweight graphical solutionとしてParaViewのインストーラーがダウンロードできるようになっていたので,恐らく公式としてもParaViewをポスト処理のソフトとして使用することを推奨しているのだと思います.
ちなみに,Salome Mecaのプリの操作をする際は,動作が重いとは感じませんでた.今回の記事はこれで終わりです.ここまで読んでいただきありがとうございます.
環境
・OS:Windows 10 Home 64bit
・製品名:IdeaPad S540-14API
・CPU:AMD Ryzen 5 3500U with Radeon Vega Mobile Gfx 2.10 GHz
・RAM:8.00 GB
参考
[1]. Salome-Meca&Code_Aster公式ダウンロードサイト
[2]. Salome-Meca 2020の使いかたの基本(SSLV)
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