Google、Gemini 2.0技術をベースにした新オープンモデル「Gemma 3」を発表
Googleは本日、新しいオープンモデル「Gemma 3」を発表しました。これは同社のGemini 2.0モデルと同じ研究と技術を基に構築された、軽量かつ最先端のオープンモデルシリーズです。Gemma 3は、これまでで最も高性能で、移植性が高く、責任を持って開発されたオープンモデルとなっています。
Gemma 3の主な特徴
Gemma 3は、単一のGPUやTPUで実行できる最も高性能なモデルとして設計されており、以下のような優れた特徴を備えています:
- 複数のサイズバリエーション: 1B(10億)、4B(40億)、12B(120億)、27B(270億)のパラメータサイズを提供
- マルチモーダル機能: テキストだけでなく画像も処理可能
- 多言語サポート: 140以上の言語に対応
- 拡張された文脈窓: 最大128,000トークンの長いコンテキストをサポート
- 高度な推論能力: 同サイズクラスの他のモデルを上回るパフォーマンス
- 関数呼び出し機能: 複雑なタスクの処理が可能
技術的詳細
Gemma 3は、Geminiモデルと同じ研究基盤から生まれたモデルファミリーですが、より軽量で効率的に設計されています。ベースモデル(事前学習済み)とインストラクションチューニング済みの両バージョンが利用可能で、実用的なAIアプリケーション開発に最適化されています。
モデルアーキテクチャは「デコーダーのみ」の構造を採用しており、従来のエンコーダー・デコーダー型トランスフォーマーモデルとは異なるアプローチを取っています。回転位置埋め込み(Rotary Position Embeddings、RoPE)や近似GeGLU非線形性などの技術要素が組み込まれています。
単一デバイスでの実行性能
Gemma 3の大きな強みは、一般的なハードウェアでも効率的に実行できる点です:
- 最小の1Bと4Bモデルは、NVIDIA Jetson Nanoのような小型デバイスでも動作可能
- 中間サイズのモデルは、一般的なGPUやTPUで快適に動作
- 最大の27Bモデルでも、単一の高性能GPUやTPUで実行可能
これにより、クラウドリソースへのアクセスが限られた開発者や研究者でも、高性能AIモデルを利用できるようになります。
多言語・マルチモーダル機能
Gemma 3は、140以上の言語をサポートし、テキストだけでなく画像も処理できるマルチモーダルモデルです。これにより:
- グローバルな多言語アプリケーションの開発が容易に
- 画像認識と言語処理を組み合わせた新しいユースケースの実現
- より自然で文脈に即した対話体験の提供
が可能になります。
責任あるAI開発
Googleは、Gemma 3の開発において責任あるAI原則を重視しています。モデルは以下のような安全対策を含んでいます:
- 厳選されたデータセットによるトレーニング
- 厳格なチューニングプロセス
- 信頼性と安全性を確保するための包括的な評価
これにより、開発者はGemma 3を使用して、責任を持って信頼できるAIソリューションを構築することができます。
応用例と利用シナリオ
Gemma 3は、その軽量性と高い性能から、様々な応用シナリオに適しています:
- エッジデバイスでのAI: ロボティクスやエッジAIアプリケーション
- カスタマイズ可能なチャットボット: 特定のドメインや言語に特化したアシスタント
- コンテンツ生成と要約: 多言語での文書生成や要約
- 画像理解と分析: テキストと画像を組み合わせたアプリケーション
- 開発者ツールとコード支援: プログラミング支援や自動化ツール
利用可能性
Gemma 3は、オープンモデルとして研究者や開発者に公開されています。Google AI StudioやVertex AI、Hugging Face、Kaggleなどのプラットフォームを通じてアクセスでき、APIとしても利用可能です。
また、NVIDIAのGPUを含む様々なハードウェアプラットフォームで最適化され、サポートされています。
まとめ
Gemma 3は、Googleの最先端AI研究の成果を、より多くの開発者や研究者が利用できるようにするための重要なステップです。単一のGPUやTPUで動作する高性能モデルとして、AI技術の民主化と責任ある利用を促進することが期待されています。
マルチモーダル機能、多言語サポート、長いコンテキスト窓など、Gemma 3の先進的な機能は、次世代のAIアプリケーション開発に新たな可能性をもたらすでしょう。
この記事は2025年3月12日のGoogle発表に基づいています。最新情報については、Google AIまたはGoogle for Developersの公式サイトをご確認ください。
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