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Clineの利用規約が更新されました

に公開

はじめに

以前Clineの利用規約が話題になっていましたが、先日ついに利用規約が更新されました。

話題になった経緯などは以下のブログに記載しております。
https://zenn.dev/shirochan/articles/9cb53e39cfa96f#利用規約(tos)について

サマリ

主要な更新内容をサマると以下のようになります。

  1. Cline.botがサービス利用規約を更新し、オープンソース拡張機能とホスト型サービスの違いを明確化しました。
  2. ユーザーが自分のAPIキーやモデルエンドポイントを使用する場合、Clineは入力トークン、出力トークン、コードなどのユーザーコンテンツを受信・保存しないことが明記されています。
  3. この場合はApache 2.0ライセンスのみが適用され、追加の利用規約はありません。

更新内容

clineのissueに以下のようなコメントが追記されました。

https://github.com/cline/cline/issues/3510#issuecomment-2951375084

利用規約を確認

https://cline.bot/tos

該当箇所を簡単にまとめると

ユーザーが作成・アップロードしたコード、プロンプト、レスポンス、ファイルなどのコンテンツの所有権は、ユーザー(または組織)が保持します。
ただし、Cline拡張機能をインストールして自分の管理するインフラを通じてモデル呼び出しを行う場合、Clineは入力・出力トークンやコードを受信・保存しません。
組織のメールアドレスでアカウントが作成された場合、書面による通知がない限り、その組織がすべての関連コンテンツを所有するものと推定されます。

そのまま引用するとここう書いてあります。

  1. User Content
    1. Ownership of User Content. As between you and Cline, you (or, if applicable, your Organization or other licensor) retain all right, title, and interest in and to every line of code, prompt, response, file, terminal output, or other material you upload to, generate with, or otherwise make available through the Service (“User Content”). However, if you install a Cline Extension and direct all model calls through infrastructure you control, Cline does not receive or store your input tokens, output tokens, underlying code, or other User Content. If an account is created with an organizational-domain e-mail address or otherwise identifies itself as an organizational account, Cline will, unless notified in writing by an authorized representative, presume that the Organization owns all associated User Content. Nothing in these Terms transfers any ownership of User Content to Cline.

該当箇所を日本語訳するとこう書いてあります。

ただし、お客様が Cline Extension をインストールし、お客様が管理するインフラストラクチャを通じてすべてのモデルコールを指示する場合、Cline はお客様の入力トークン、出力トークン、基礎となるコード、またはその他のユーザーコンテンツを受領または保存しません。

その他の変更点

テレメトリーに関する内容が追記されているようです。
追記されている内容を簡単にサマるとこんな感じでした。

  1. Clineはクリックイベントや使用パターンなどの非コードメタデータ(テレメトリデータ)を収集しますが、拡張機能の設定でいつでも無効化できます。
  2. オープンソース拡張機能を使用し、自分のインフラでモデル呼び出しを行い、ユーザーアカウントを持たない場合、テレメトリデータと一緒にユーザー情報は収集されません。
  3. 収集されたテレメトリデータの所有権はClineに帰属し、サービス提供・改善、研究・分析、第三者との匿名化された分析データ共有などに使用される可能性があります。

生成AIによる全文の比較

TOSの比較

Cline利用規約の主な変更点(6月6日更新)

1. サービス定義の明確化

2月24日版:

  • VS Code拡張機能とソフトウェア開発エージェント

6月6日版:

  • VS Code拡張機能に加えて「any other software plugin or extension provided on https://app.cline.bot/ or otherwise by Cline Bot Inc.」を明記
  • Cline Extensions」という新たな用語を定義

2. ユーザーアカウントの記述変更

2月24日版:

  • "Your account on the Service (your "User Account") gives you access..."

6月6日版:

  • "You may sign up for an account on the Service (your "User Account"). Your User Account may give you access..."(より任意性を強調)

3. ユーザーコンテンツの所有権に関する重要な変更

最も重要な変更点:

6月6日版で追加された条項:

  • However, if you install a Cline Extension and direct all model calls through infrastructure you control, Cline does not receive or store your input tokens, output tokens, underlying code, or other User Content.

これは、ユーザーが自分のインフラを通じてモデルを使用する場合、Clineがデータにアクセスしないことを明示した画期的な変更です。

4. データ使用権限の条件付き制限

6月6日版で追加:

  • provided, however, that when you purchase a per-seat Subscription on your User Account, this Section 3.2(b) will not apply during such Subscription

有料サブスクリプション購読者には、データの商業利用に関する制限が適用されなくなります。

5. テレメトリーデータに関する新セクション

6月6日版で新たに追加された重要なセクション:

  • テレメトリーはデフォルトでオンだが、拡張機能設定でいつでも無効化可能
  • オープンソース拡張機能を使用し、独自インフラでモデルを実行し、ユーザーアカウントを持たない場合、ユーザー情報は収集されない
  • テレメトリーデータの所有権はClineに帰属

6. キャンセル手続きの簡素化

2月24日版:

  • 少なくとも3日前の通知が必要

6月6日版:

  • before the start of the next Subscription Term」(具体的な日数制限を削除)
  • オンライン設定またはsupport@cline.botへの連絡で可能

7. 無料トライアル終了時刻の変更

2月24日版:

  • 11:59 PM Eastern Time

6月6日版:

  • 11:59 PM Eastern Time(同じ)だが、「using the same method you used to sign up or any other method we make available to you」を追加

まとめ

6月6日の更新は、特にプライバシー保護企業ユーザー向けの柔軟性を大幅に改善した重要なアップデートです。自分のインフラを使用するユーザーのデータプライバシーを明確に保護し、有料ユーザーには商業利用の制限を緩和するなど、ユーザーフレンドリーな方向への変更が目立ちます。

まとめ

今回のCline利用規約更新では、自分のAPIキーを使用する場合にClineがユーザーのコードやデータにアクセスしないことが明文化されました。これにより、プライバシーやセキュリティを重視する開発者や企業にとって利用しやすい環境が整いました。
また、拡張機能として使用する場合はApache 2.0ライセンスのみが適用され、追加の利用規約による制約を受けないことも明確になっています。テレメトリーデータについても収集内容と無効化方法が詳しく説明されており、ユーザーが自分で選択できるようになっています。
ぜひ皆さんも最新の利用規約を確認しみてください。そして自分の利用スタイルに合った設定でClineを活用してみてください。

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