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100日後にRustをちょっと知ってる人になる: [Day 50]Wasm Workers Server

2022/10/18に公開約5,900字

Day 50 のテーマ

折返し地点の Day 50 になりました。思い返せば、Rust を勉強し始めた理由は WebAssembly を知ってる人になろうと思いはじめ、だったら Rust を知っておいた方が良さそうだ、という軽い気持ちでした。

今日はその動機のきっかけになった WebAssembly についてあらためて見てみようと思います。
というのも、ちょうど VMware がオープンソースのプロジェクトで Wasm Worker Server というものを今日発表したのです。その触ってみた内容をすこしまとめようと思います。

Wasm Worker Server

まず最初に、この Wasm Worker Server が何かを説明します。
一言で言い表すならば、サーバーレスの仕組みを提供するプロジェクトです。ただし、サーバーレスとして動作させる対象のワークロードは、ワーカー (Worker) と呼ばれる軽量な構成で組み上げられたものになります。

そして、このWasm Worker Server自体は自己完結型のバイナリとして実装されています。
これが単独で、ワーカーをホストしている WebAssembly ランタイムに対して HTTP リクエストをルーティングをします。

ワーカー (Worker)

継承な構成と紹介したワーカー (Worker) ですが、これはHTTP リクエストを受信して HTTP レスポンスを返すスクリプトまたは関数のことを指しています。
アプリケーション全体としては、このワーカーを複数組み合わせて開発することが可能です。それぞれのワーカーが特定のイベントをリッスンし、それに対する応答を提供します。アプリケーションを小さく分割した Microservices ならぬ Nanoservices と言えるようなもとも考えてもいいかもしれません。

このワーカーによる開発モデルはいくつかメリットが考えられます。

  • 🧑‍💻 容易な開発: より小さくより集中できるように設計可能
  • 🛠 容易なテスト: ワーカー毎に個別にテスト可能
  • 🚀 容易なデプロイ: シンプルなコマンド 1 つでデプロイ可能

Wasm Workers Server の始め方

以下ののようにシェルを実行し、Wasm Workers Server (wws) をインストールします。

curl https://raw.githubusercontent.com/vmware-labs/wasm-workers-server/main/install.sh | bash

正常にインストールできると、以下のようにヘルプを実行して使い方を確認してみましょう。

wws --help
Usage: wws [OPTIONS] [PATH]

Arguments:
  [PATH]  Folder to read WebAssembly modules from [default: .]

Options:
      --host <HOSTNAME>  Hostname to initiate the server [default: 127.0.0.1]
  -p, --port <PORT>      Port to initiate the server [default: 8080]
  -h, --help             Print help information
  -V, --version          Print version information

ヘルプを見ると非常に簡単なことが分かると思います。wws <対象のワーカー> これだけで起動します。

はじめての Rust ワーカー

Wasm Worker Server だけがあっても仕方がないので、ワーカーを作ってみたいと思います。
ただ、今日はチュートリアルに従って作り方を見ていこうと思います。

Dependencies

以下の 2 つを追加しています。

[dependencies]
anyhow = "1.0.65"
wasm-workers-rs = { git = "https://github.com/vmware-labs/wasm-workers-server/" }

anyhow

anyhowDay 49 で扱ったエラー処理を使いやすくするためのクレートです。anyhow::Error を使うことでエラー処理を簡単に扱えるようになります。

今日は、anyhow の使い方ではなく、ワーカーを作ることをまず第一にしたいので内容はスキップします。
ただ、この anyhow はエラー処理を行う際のデファクトなクレートとも言われているので、改めて使い方は確認しておきたいと思います。

wasm-workers-rs

wasm-workers-rs は GitHub リポジトリを参照しています。参照先の https://github.com/vmware-labs/wasm-workers-server/ の直下に配備されている Cargo.toml を取得しています。

wasm-workers-server のバージョン 0.5.0 では、以下のような依存関係が定義されています。

[package]
name = "wasm-workers-server"
version = "0.5.0"
edition = "2021"

# See more keys and their definitions at https://doc.rust-lang.org/cargo/reference/manifest.html

[[bin]]
name = "wws"
path = "src/main.rs"

[dependencies]
wasmtime = "1.0.1"
wasmtime-wasi = "1.0.1"
anyhow = "1.0.63"
wasi-common = "1.0.1"
actix-web = "4"
env_logger = "0.9.0"
serde = { version = "1.0", features = ["derive"] }
serde_json = "1.0.85"
glob = "0.3.0"
toml = "0.5.9"
clap = { version = "4.0.10", features = ["derive"] }

[workspace]
members = [
  "kits/rust",
  "kits/rust/handler",
  "kits/javascript"
]
# Exclude examples
exclude = [
  "examples/rust-basic",
  "examples/rust-kv"
]

wasmtimewasi-common などの WebAssembly ランタイムが含まれていることが確認できます。また、Web フレームワークの actix-web も含まれています。

なお、Cargo.toml では、以下のような書式により依存関係で GitHub リポジトリを指定する事が可能になっています。
wasm-workers-rs = { git = "https://github.com/vmware-labs/wasm-workers-server/" }

reply 関数

次に全てのワーカーに必要となる、Request<String> 構造体を受け取り、Response<String> を返す処理を定義します。
以下のように reply 関数として定義を行います。

use anyhow::Result;
use wasm_workers_rs::{
    handler,
    http::{self, Request, Response},
};

#[handler]
fn reply(req: Request<String>) -> Result<Response<String>> {
    Ok(http::Response::builder()
        .status(200)
        .header("x-generated-by", "wasm-workers-server")
        .body(String::from("Hello wasm!").into())?)
}

Wasm のコンパイル

もし、環境に WASI (wasm32-wasi) がインストールされていなければ、次の rustup コマンドでインストールします。
(参考: Day 20 - Rust で Wasm)

rustup target add wasm32-wasi

Wasm イメージを以下の cargo コマンドでコンパイルします。

cargo build --target wasm32-wasi --release

コンパイルが終了すると、target/wasm32-wasi/release/ ディレクトリの配下に Wasm イメージが出力されています。

ls -l target/wasm32-wasi/release/
drwxr-xr-x   5 yanagiharas  staff      160 Oct 18 19:22 build/
-rw-r--r--   1 yanagiharas  staff      198 Oct 18 19:23 day_50_wasm-worker.d
-rwxr-xr-x   1 yanagiharas  staff  2205795 Oct 18 19:23 day_50_wasm-worker.wasm*
drwxr-xr-x  31 yanagiharas  staff      992 Oct 18 19:23 deps/
drwxr-xr-x   2 yanagiharas  staff       64 Oct 18 19:22 examples/
drwxr-xr-x   2 yanagiharas  staff       64 Oct 18 19:22 incremental/

Wasm Workers Server の起動

生成された Wasm イメージのディレクトリまで移動し、Wasm Workers Server を起動します。

 cd target/wasm32-wasi/release
 wws .

起動すると、アクセスルートが表示されます。

⚙️  Loading routes from: .
🗺  Detected routes:
    - http://127.0.0.1:8080/day_50_wasm-worker
      => day_50_wasm-worker.wasm (handler: default)
    - http://127.0.0.1:8080/deps/day_50_wasm_worker-1adae05cbf212286
      => deps/day_50_wasm_worker-1adae05cbf212286.wasm (handler: default)
🚀 Start serving requests at http://127.0.0.1:8080

http://127.0.0.1:8080/day_50_wasm-worker にアクセスすると以下の画面が表示されます。

Day 50 のまとめ

今日は、ぼくが Rust を学び始めたモチベーションの WebAssembly について見てみました。
ちょうど、VMware Wasm Labs が今日 Wasm Workers Server を公開したので実際に触りながらまとめてみました。
WebAssembly による Cloud Native Application の未来を少し感じることができたかなと思います。

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