GitHub Copilot Coding Agent に実装を任せて、作業を並行化する
GitHub Copilot Coding Agent とは
GitHub Copilot Coding Agent は、GitHub が提供する Copilot 関連機能のひとつで、開発者の指示に応じて コードの変更や Pull Request(PR) の作成を自動で実行する自律エージェント です。
Coding Agent は、チャット上や GitHub の UI から自然言語で依頼を受けると、その内容をもとにブランチを作成し、コードを変更し、PR を生成します。ユーザーは生成された PR を確認してレビューやマージを行うだけで、通常の開発フローにスムーズに統合できます。
たとえば、次のような依頼が可能です。
- コードの修正や関数のリファクタリング
- ドキュメントやテストの追加
- 依存関係や設定ファイルの更新
- 修正を反映した PR の自動作成
Coding Agent はこれらのタスクを GitHub Actions 環境上で自律的に処理 します。
開発者は小規模な修正や定型的な変更を手動で行う必要がなくなり、開発の流れを止めずに別の作業を進められるようになります。
GitHub Copilot Coding Agent を利用できるユーザー
GitHub Copilot Coding Agent は、一部の有料プラン利用者のみ が使える機能です。
2025年10月時点では、次のプランで利用が可能です。
- GitHub Copilot Pro
- GitHub Copilot Pro+
- GitHub Copilot Business
- GitHub Copilot Enterprise
これらのプランに加入していれば、GitHub 上のほとんどのリポジトリで利用できます。
ただし、マネージドユーザーアカウントによって所有され、明示的に無効化されているリポジトリ では使用できません。
GitHub Copilot Coding Agent を有効化する方法
GitHub Copilot Coding Agent は、対象プランに加入していれば GitHub の設定画面から有効化できます。
1. 機能の有効化状態を確認する
まず、Copilot の機能設定ページ で Coding Agent が有効(Enabled)になっていることを確認します。
ページ内にある「Copilot coding agent」の項目が Enabled になっていれば、機能自体は利用可能な状態です。
2. 利用するリポジトリを指定する
次に、どのリポジトリで Coding Agent を利用できるようにするかを 設定ページ で指定します。
ページ内の「Repository access」項目で、次のいずれかを選択します。
- All repositories(すべてのリポジトリで有効)
- Only select repositories(特定のリポジトリのみ有効)
実装を任せるまでの流れ
GitHub Copilot Coding Agent は、GitHub 上の Copilot Agents ページ からタスクを依頼し、PR 作成までを自動で完了できます。
ここでは、エージェントパネルを使って依頼を行う場合の流れを紹介します。
1. Copilot Agents ページを開く
まずは Copilot Agents ページ を開きます。
ここから新しいタスクを作成し、Coding Agent に依頼を送ることができます。
また、GitHub 画面上部のナビゲーションバーからも同様に依頼できます。
2. 対象リポジトリとベースブランチを選択する
タスクを開始する前に、次の2点を指定しておきます。
- 対象リポジトリ:タスクを実行したいリポジトリを選択
- ベースブランチ:変更の基点となるブランチ(例:main や develop)
選択したベースブランチをもとに、Coding Agent は自動で新しい作業ブランチを作成し、そのブランチ上で変更を行ったうえで PR を生成します。
3. タスクを依頼する
ページ上の入力欄に、自然言語で依頼内容を入力して送信します。
4. PR が自動生成される
タスクが送信されると、Coding Agent がバックグラウンドで処理を開始します。
内部的には GitHub Actions 環境上で実行され、処理の進行に応じて PR が自動生成されます。
生成直後の PR は Draft 状態で作成され、タイトルの先頭に [WIP] が付きます。
タスクの処理が完了すると [WIP] のプレフィックスは自動で外れますが、PR の状態は Draft のままです。自分がレビュワーに設定されるため、内容を確認して問題なければ Draft を外して Open にし、通常のフローでレビュー・マージします。
生成されたPR
Coding Agent の処理は GitHub Actions 上で実行されるため、「View session」または、「Actions」タブから Duration(実行時間) や Premium requests(使用リクエスト数) を確認できます。今回の依頼では、処理完了までに約14分ほどかかり、消費したプレミアムリクエスト数は1です。
プレミアムリクエストは Copilot の課金単位のひとつで、Coding Agent のセッションごとに 1回消費されます。セッションは、ユーザーが「PR の作成を依頼したとき」または「既存の PR に変更を加えたとき」に開始されます。
補足:初回利用時のセットアップ
PR の生成後には、Copilot Coding Agent の初期設定を促すメッセージが表示されることがあります。
表示されたリンクをクリックすると、次のようなセットアップ用の Issue が自動で作成されます。
Issue を作成すると、Copilot が自動的にアサインされ、.github/copilot-instructions.md
を生成するための PR を作成してくれました。
このファイルは、リポジトリ内で Copilot Coding Agent がどのように動作すべきかを定義する設定ファイルで、「Best practices for Copilot coding agent in your repository」に基づいた初期セットアップを自動化してくれます。
初回利用時にこの Issue を進めておくことで、Coding Agent がより最適な状態で動作します。
5. PR 作成後のやり取りと改善サイクル
生成された PR に対しては、 @copilot
をメンションすることで、追加の修正や改善を依頼できます。
このように依頼すると、Coding Agent が再び GitHub Actions 上でタスクを実行し、同じブランチ上で修正を行い、PR を自動更新します。
セッションの詳細を確認すると、今回の修正依頼でプレミアムリクエストが1回消費され、この PR では、プレミアムリクエストが計2回消費されていることが確認できました。
GitHub Copilot Coding Agent への PR 作成依頼のバリエーション
これまで紹介した Copilot Agents ページからの PR 依頼以外にも、Coding Agent にはいくつかの呼び出し方があります。用途や環境に応じて使い分けることで、より柔軟にタスクを進められます。
Copilot Chat から依頼する
VSCode の Copilot Chat からも、Coding Agent に PR の作成を依頼できます。
Copilot Chat を開き、実行したい内容を自然言語で入力します。
このとき、プロンプトに #copilotCodingAgent
を追加するのがポイントです。
依頼を送ると、Copilot がエディタ内でコードの内容を調査し、「コーディングエージェントを開始しますか?」と確認してきます。許可することで、ローカル変更が自動でプッシュされ、新しいセッションが開始されます。
許可した後、作成された PR のリンクが返され、内容を確認できます。
その他の方法
その他にも次のような手段で、Coding Agent に依頼を送ることができます。
-
GitHub CLI から
gh agent-task create
コマンドで依頼する - GitHub Mobile から依頼する
- Raycast から依頼する
- GitHub MCP サーバー から依頼する
それぞれの詳細な手順や設定方法については、公式ドキュメント を参照してください。
利用コストと注意点
本文中でも触れたとおり、GitHub Copilot Coding Agent の処理は GitHub Actions 環境上で実行 され、各セッションごとに Premium リクエスト が消費されます。
-
GitHub Actions の実行時間(分単位)
セッション中の処理は Actions のランナー上で実行されるため、使用時間が課金対象になります。
長時間の処理や頻繁な依頼を行う場合は、上限に達する可能性があります。 -
Copilot の Premium リクエスト
1セッション(PR 作成または修正依頼)につき 1回消費されます。
(参考:GitHub Copilot における要求)
また、Self-hosted Runner では動作しない 点にも注意が必要です。Coding Agent は GitHub Actions の GitHub-hosted Runner 上でのみ実行 されます(参考:Copilot と他の機能との互換性に関する制限)。
GitHub Copilot Coding Agent に関連する最近の Changelog
Discussion