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従来型リーダーがスクラム開発を失敗させる

2022/06/20に公開

スクラムチームのリーダーの話

スクラム開発チームでリーダーはどうするべきか?どうあるべきか?という話をしていきましょう。

会社の等級制度を見てみよう

会社の等級制度をつらつらと眺めていて思ったのですが、下位のグレードは基本的に上位者の指示を前提としています。
すると大体こうなっています。
グレード1:新卒向け。ジュニアメンバー。上位者からの指導をあおぎ、上位者から指示された作業を遂行することができる。
グレード2:シニアメンバー。上位者から指示された作業を遂行することができる。
グレード3:リーダー、係長クラス。大きい作業を小さい作業に分解し、下位者に指示を出すことができる。

「リーダーが指示を出し、メンバーが従う」という構図になっていると思います。
リーダー以上は頭を動かす、メンバーは手を動かすという役割分担とも言えます。
当然組織設計もその前提で作られています。

この仕組みをオーダーアンドコントロールといいます。

つまり、リーダーが次にどの作業をすべきかを指示し、メンバーは指示された作業について指示されたやり方で着手し、指示された期限内に完遂することを期待されるわけです。
同時にリーダーには

  • 次に何をすべきか(What)
  • どのようにやるべきか(How)
  • いつまでに完遂すべきか(When)

の3つを指示することを求められます。
当然メンバーにとってはこれは上から降ってくる内容であって、自分が考えるべき内容とは考えられません。

メンバーの自己組織化とは

一方でスクラムにおいては「リーダー」は存在しません。
スクラムにおける役割とは、プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発者の3つだけです。
「リーダー」はいません。
スクラムマスターは上の3つの点を開発者に「指示」はしません。
プロダクトオーナーはチーム内に不在のケースもあります。
では開発者に対して誰が指示をするのでしょうか?

答えは自明で、指示はしません。
開発者が自分自身に上記3点を指示できる状態にすることをメンバーの自己組織化といいます。
※ チームの自己組織化とはまた別の概念

スクラム開発を始める前に

上記の自己組織化の点から、スクラムチームの開発者には What, How, When の3点を自分で決められる能力が要求されます。
つまりメンバーの全員に頭を動かす能力が求められるわけです。

ただし「今日からスクラム開発を始めるぞ!」と誰かが絶叫したら、その瞬間メンバーにそれらを行える能力のインストールが即時開始されるわけではありません。
スクラム開発の導入当初はある程度の移行期間が必要になります。
移行期間でできるようになる程度の技量がメンバーにあることが、スクラム開発を始めるための前提になります。

またある程度の期間を経ても、それらの能力が獲得できないメンバーも当然出てくるでしょう。
それらのメンバーをどうするか?という点を事前に決めておくことも必要です。
全社の全てのチームがスクラム開発というわけでないなら、スクラム開発ではないチームへの異動も選択肢の1つでしょう。

ではリーダーは何を指示するんだい?

何も指示しないよ。
というかスクラムチームの内側に従来型のリーダーは必要ない

スクラムマスター自体がリーダーなんだよ、サーヴァントシップ型の。

スクラムマスター自体がスクラムチームにおけるリーダーです。
ただし「指示を出す」「計画を作る」「チームを引っ張る」型のマネジメントはしません。
開発者に指示を出すのは開発者自身の仕事です。
計画作りもまた同様です。

チームを引っ張る人間はスクラムチームでは、導入期以外は不要です。
なのでリーダーとしてのあるべき姿が従来型チームとスクラム開発チームにおいては根本的に異なると言っていいでしょう。

ここを根本的に勘違いしているとスクラム開発は導入だけは成功しても早いうちに迷走を始めると私は経験的に考えています。

もし従来型リーダーがスクラム開発チームにいたらどうなるの?

従来型リーダーが存在する場合はそこまで問題ではありません。
リーダーがスクラムマスターとして振る舞うよう移行していけばいいだけなので。
問題となるのはリーダーが従来型リーダーとして振る舞い続けた場合です。

導入時にいた場合、全員が頭を使うべき状況であるにもかかわらず「頭を動かすのに慣れた人間」と「頭を動かすのに慣れていない人間」が同時に存在します。
つまり能力、経験、権威において隔絶した存在がチーム内に存在するわけです。

メンバーが何を言っても最終的にリーダーの意見の方が通ってしまう場合、だんだんとメンバーは考えなくなります。
あるいはリーダーに「お伺いを立てる」ようになります。
またリーダーはたびたびVeto(拒否権)の発動 を使うようになるかもしれません。
これではスクラムイベントが正常に機能しなくなります。

またリーダーとスクラムマスターが同時にチームに存在する場合(恐ろしいことに、たびたび見聞する)
スクラムマスターがチームを下から支えようとし、リーダーが上に引っ張ろうとしてしまえば、これもまたスクラムチームとして正常に機能しなくなります。
異なるタイプの2人の船頭が1つの船を操縦しようとしているようなものだからです。

結論

  • スクラム開発は頭を動かす人を増やすよ。チームに頭を動かさない人はいらないよ。
  • スクラム開発のリーダーのあり方は根本的に違うよ。引っ張るリーダーは不要だよ。
  • 従来型リーダーがスクラム開発チームの中にいると高確率で失敗するよ。

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