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アジャイルラガードに遭遇した話

2021/01/31に公開

アジャイルラガードとは

アジャイル開発に適応できず抵抗してくる人。イノベーター理論における区分の1つからラガードの名を取りました。
スクラムラガードとも私は呼んでいます

アジャイルラガードを一言で言うと

アジャイル版Staticおじさん

私のいるチームの前提

10人弱のチーム。全員エンジニア。マネージャーがいてマネージャーの判断でアジャイル開発を推進しています。
目的は生産性の向上とマネジメントの改善。またマネージャーの上の偉い人がアジャイル開発を推進している、と言うのもあります。
アジャイル開発を導入する最初の段階でアジャイルサムライみたいな基礎の本を会社の費用で買って課題図書として全員に配布しました。

私の役割

単なる開発者その1。
スクラムマスターという役割をマネージャーの方針でおきませんでした。
私以外全員アジャイル開発は初めて。私4チーム目。
私は特に数字に強くアジャイル経験があるのでチームの開発の可視化を担当。

アジャイルラガードさん

六本木の上場している大きい会社を2社経由して弊社にジョイン。
30代前半。技術力高し。アーキテクトもインフラもできる。
新技術へのキャッチアップ早い。むしろリードさえする。
小さいスタートアップならテックリードやCTOを名乗っているレベル。

私がかつて持っていた偏見

私は「アジャイル開発の導入に対して抵抗する人」というのがいるというのは知っていたけれど
staticおじさんのように、高齢で、過去の成功体験を捨てきれず、古い知識に固執し、学習を拒否する人。
だと思ってました。
なので上記の「現在進行形で学習し続ける、技量の良いエンジニア」がアジャイルに対して抵抗する存在になるとは思ってませんでした。

アジャイルラガードさんの所業

とにかく質問

私に質問して時間を浪費させるなどの問題行動を連発しました
「このチケット分析のグラフの意味はなんですか?」

「ポイントというのがまず分からないんですよね。意味があるとは思えないです」

アジャイルラガードさんの発言なのですが、私に取って最大の衝撃でした。
ポイントっていうのはアジャイルで見積に使う単位のあれです。常識レベルのワードです。
だって課題図書として配った本にバッチリ書いてある。つまり課題図書を斜め読みもしていないし、それを指摘しても言動を改めませんでした。アジャイル開発を鼻クソとしか思っていないし、それを隠そうともしない。
この後もアジャイルラガードさんはポイントを日数と交換可能な概念として扱おうとするなど、明らかにアジャイルど素人発言を連発しました。

「アジャイルラガードさんは仲間を呼んだ!」

アジャイルラガードさんは仲間を増やしました。
同じくアジャイル開発に懐疑的だった新卒君です。
ちなみのこの新卒君も課題図書を読んでませんでした。
しばくぞおい。

必殺技「ちゃんと成果を出せるんですか?」

スクラムのTRYは何かをして、その結果として出てきた何かを見て次の方策を決めるTRY&ERRORの繰り返しです。
つまり偵察であり弾着観測を目的とした行動が多くなる訳ですね。
そうした行動に対して成果が出るか?という観点で見ても意味がありません。
行動に成果を必須とするのはスクラムのアンチパターンです。

期限を決めて、失敗したら撤回しましょう

チャレンジをつぶすために、言質を取り、期限がきたら「成功とは言えませんね」「じゃあこのチャレンジはもうやめにしましょう」というための行動でした。
「目的はなんですか?成果は何が出れば成功ですか?じゃあ期限を決めましょう。期限までにその成果が出なかったら撤退ですね」というコンボをお出しになられました。

とにかくチャレンジを潰したい。そのために戦術として期限を決めて…というのは相手側の戦術として分かるんですが、このあたりで私の堪忍袋の尾が切れました。
というか先にアジャイル開発を推進していたマネージャーが気づいて1on1で厳重注意を行いました。
マネージャーの後援を得たので私が彼らのサボタージュに塩対応を取ってよくなったので問題は解決しました。

アジャイルラガードへの考察

アジャイルラガードさんたちはなぜそんな真似を?

興味あることにしか興味がない人だったのかもしれませんね。
だから自分の好きな技術やプログラムについては熱心に勉強するけど、アジャイル開発については一ミリも勉強したくないし、快適な現状を破壊する行為としか見ない。
あるいは「計測無くして改善なし」の原則すら知らないので、計測自体を無駄な行為としてなくさせようとしたのかもしれません。

アジャイルラガードへの対抗策

これはもう先人の教えの通りです。
権力の力を借りて黙らせ、結果で殴れ、です。
今回はマネージャーがアジャイル推進派だったので、その力を借りて彼らにマネージャーから注意してもらいました。また後ろ盾パワーで彼らが何か言っても塩対応ですませて良くなり彼らの対応に労力の浪費と精神的消耗を抑えられました。

説得は無意味

最初は切って捨てずにこれこれこういう意味があるんですよ。と私はちゃんと説明してました。
でも計測は無意味だ、それは完全に事象を表現している数字ではない。そんな完全ではない数字を見ても意味がない。みたいな話をされます。
計測無くして改善なし。というスクラムの源流のトヨタ式改善方式にも、スクラムのレトロスペクティブの基礎にも反する話ばかりされました。
スクラムの基礎を学ぶ課題図書さえ読んでいればそんな話は絶対に出ないはずなんですが、そもそも彼らは課題図書を読んでないし「納得できない」みたいな謎理論を振り回します。
あー彼らはアジャイルへの適性が低いタイプの人間なんだな、と思わざるをえませんでした。

比率

弊社は割と先進的な開発文化を持った会社です。少なくとも経営陣はそう思っているし、私もある程度はそう思っています。
なのに10人弱のチームで2人熱心なアジャイルラガードが現れたんです。
メンバーも経歴的にもstaticおじさんとは程遠いはずの人しかいないのに。
これはかなり衝撃的でした。

これは心が折れるわと思った

今回はマネージャーがアジャイル推進派だったのでその庇護が得られたのですが、これがなかったら心が折れていたでしょうね。
今回TRYとしてこの数値を監視します。そのためにこの表を作って毎日朝会で確認しますよ。
という提案をしたとしましょう。
これに対する反応はアジャイルラガードさんたち2人が否定的な反応をします。残りの人たちは無反応。肯定的反応はゼロです。
そんな状況で何かするたびにアジャイルラガードたちの否定的な質問ばかり食らったらそれはアジャイル推進している人の心が折れるだろうなと思いました。

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