エンジニアリングマネージャーのしごとを読んだ感想
エンジニアリングマネージャーのしごとを読んだメモ&感想を書くぞ
1章 新たな冒険
要約
はじめてマネージャーになったらまずやることが説明されてる章。自己紹介したり、チームや上司とコミュニケーションを取ったりする。関係者間の見解をスナップショットにとり、認識が違う部分を長期的に直していく。
感想
インポスター症候群 という言葉を初めて知った。向上心のある人が自分のことを詐欺師と思ってしまう現象のこと。
2章 まず自分を管理しよう
仕事の把握、整理整頓、優先度付け、実行、測定をできるようにするにはどうしたらいいかが書かれた章。 マネージャーになると、誰かと一緒に働くことが多いので、自分の成果物と言えるものが分かりずらいが、マネージャーの活動を4つに分類すると、振り返ったときに、生産性ある1日を過ごしたかどうか気づきやすくなる。マネージャーのアウトプット = あなたのチームのアウトプット + あなたが影響を与えた他のチームのアウトプット。
- 情報収集
- 意思決定
- ナッジング
- ロールモデル
情報収集
- 会社に何が起きてるか理解するために使う。
- 情報収集に正式にプロセスはない。コーヒーマシンで他のチームの同僚と喋ったり。
- 他のチームとの連携するために必要な情報など
意思決定
- マネージャーが何をするか?に対する疑いようのない答えの一つ
ナッジング
- ナッジングとは、議論に対して自身の観点を提供することで、決定に影響を与えること
ロールモデル
- スタッフや同僚に良い実例で示すことができる
感想
ナッジングという言葉を初めて知った。マネージャーの仕事の分類は、マネージャーって何の仕事する人なんだろうと思ったりしてたので勉強になった。
3章 人間と関わる
要約
この章は、スタッフ、上司と良いコミュニケーションすることと、委譲することからアウトプットを加速させる方法が紹介されてた章。委譲とは、タスクの責任を上司から部下に渡すこと。委譲をすることでマネージャー一人でやってたことがチーム全体でできるようになる。そうするとチームでできることが増えるので委譲は積極的にする。説明責任と実行責任があり、委譲するのは実行責任までで説明責任は委譲することができない。上司とのコミュニケーションは自分から積極的にすると良い。積極的に関わることで、キャリアの成長機会が増える。
読み返したいタイミング
- 委譲について考えたくなった時
- 上司のとのコミュニケーションの取り方について考えたくなった時
感想
パフォーマンスとは何なのか、それが何に依存してるのか、の話の詳細気になる。説明責任と実行責任という概念があるのは知らなかったので勉強になった。委譲という言葉はよく聞くけど、説明責任は委譲できないんだな。
4章 1on1
要約
1o1 についての準備やテクニックについて書かれた章。コントラクティングや、どういうことを1on1で話すかなどが書かれてる。コントラクティングとは、自分と部下が期待することを確認する質問一式で、どのようにサポートしていくか理解するためののもの。1on1 はスタッフとの関係の核となるものでマネージャーとして影響を与える最高の機会。進捗報告やセラピストになったりしないように注意。
読み返したいタイミング
- 上司として 1on1をする時
- 1on1の話題について考えたい時(4.4.4 会話の話題のアイディア)
感想
1on1 はスタッフとの関係の核となるもので、質の良い 1on1 が質の良い関係性が作られると書かれてあって、1on1 ってかなり重要な位置付けなんだな
5章 その人に合った仕事とは
要約
仕事にあった人を獲得するのではなく、人にあった仕事を探すための考え方について書かれてた章。人のモチベーション、要求の満たし方、スキル向上のために、発達の最近接領域についての考え方が書かれてる。発達の最近接領域は、学習者が継続的にスキルを向上させるために、学習者が支援ありでできるタスクを用意することが重要だという概念。
感想
発達の最近接領域という概念を初めて知った。委譲の話と近い。
6章 1年でいちばん輝かしい季節
要約
評価面談について必要なことについて書かれた章。評価面談をするための準備や当日やること、どう振る舞えばいいかなど書かれてる。
読み返したいタイミング
- 評価面談があるタイミング
感想
評価面談を受ける側としても、この章を読んでるとどう振る舞えば実りある面談になるか参考になりそうでよかった
7章 採用中!
要約
採用活動を始めるにあたって必要なことが書かれた章。職務記述書や面接プロセスなど、質問のリストなど、採用関連のやるべきことがまとまってる。
読み返したいタイミング
- 面接プロセスに関わるタイミング
感想
採用の全体的な流れやプロセスがわかって勉強になった。評価の章と同じ感想だけど、自分が採用される側にとってもこの章は読んでいて勉強になると思う。
8章 ゲームオーバー
要約
人が去っていくときにどう振る舞えばいいか書かれた章。人が去るのは普通のことだが、それが良い理由の場合と悪い理由の場合がある。最終的に2択の選択肢を選ぶことになり、状況に応じてカウンターオファーについて検討する。辞めさせる場合や、解雇の場合についても書かれてる。
感想
良い理由の場合はいいが、悪い理由は、これまでの章にでてきたマネージャーの振る舞いができてない、信頼関係ができてないという感じがしたので、信頼関係やコミュニケーションはやはり大事。
9章 友人を作り、人に影響を与えるには
要約
自分のチームだけでなく、他のチームや部門、会社全体に影響を与えるためにはどうしたらいいか書かれた章。会社の中でネットワークラインを作ることで、素早くビジネスを調整できるので、ネットワークがあると良い。ネットワークを繋ぐことができたら、さらにメンタリングやコーチングでスキルを知見を共有して繋がりを広げたり強くしたりすると良い。
読み返したいタイミング
- コーチングやメンタリングをする側になったとき
感想
社内の誰にでもコーチングする、だったり、メンタリングする人を見つけてメンタリングする、であったりはなかなかハードルが高い感じがした。
10 章 人間って難しい
要約
チームメンバーから詮索されたり、組織的なぐらつきがあったり、人間関係的に難しいことが起きたときの対処法が書かれた章。
感想
この章で登場してくる状況は、結構人間関係的に酷い状況で、個人的にはあまり見たことがないので、ピンと来なかったが、実際同じ状況を対応するとしても、この章に書かれてることをやったらすぐ解決するという感じでもなく、根気強く頑張らないといけなそうなので辛そうだと思った。
11章 プロジェクトって難しい
要約
自分たちのチームのプロダクトのリリースが近いなどの理由で、チーム外からのプレッシャーを感じる場合の対処について書かれてる。組織が大きくなると、コミュニケーションのオーバーヘッドなどで、一人当たりの生産性はどうしても下がってしまうので、進捗や達成状況を透明化して、なぜ進捗が悪いか、みたいな議論を適切に話せる状況にしないといけない。
感想
プロジェクトを円滑に進めるためにトレードオフの話は、マネージャーじゃなくても意識しておいたほうがいい。優先順位付け大事。
良いものを速く欲しければ、高くつきます。良いものを安く欲しければ、遅くなります。速く安く欲しければ、品質は低くなります。
12章 情報の証券取引所
要約
情報を適切に扱う方法について書かれた章。マネージャーにとって情報はとても重要で、良い情報があればあるほど良い判断を下せる。ゲートキーパーとしての役割もあり、どの情報を渡して、どの情報を渡さないか、必要十分な情報を共有するにはどうすればいいか考える必要がある。密封箱にある情報の扱いを正しく理解することが重要。社内政治はみんなの利益のために活用できないといけない。社内政治は、意思決定をするときに、人や構造にうまく対処するために、交渉や調整すること。コンセンサスを作ること。
感想
情報を共有すべきの定義に、「センシティブな情報を秘密にしておけると信頼できるとき」とあって、意外と緩い気がした。密封箱に当たる情報がイマイチピンときてない。社内政治は、言葉的には悪い印象があるけど、調整と言い換えることもできると思うので、個人的には悪い言葉ではないと思う。
13章 コントロールを手放す
要約
手放すことについて書かれた章。自分と仕事にスペースを空ける方法について。チームの全てのタスクに首を突っ込んでたらどうにかなってしまうのでやめること。仕事以外のところでは、仕事のことは忘れて回復するようにすることが重要。睡眠も大事。8時間取ろう。体を動かすことや、リラックスする能力の向上も大事。手放すことで、委譲や時間を柔軟に使うことができる。
読み返したいタイミング
- 仕事のことばかり考えすぎだなと思ったとき
感想
「この惑星の上にいられるのは、限られた時間にすぎません。しかも時間ははかないものです。仕事は人生の一部にすぎません。」と書かかれていて、この惑星にいられるのは限られた時間しかないんだなと思わされてとても良かった。
14章 良いハウスキーピング
要約
チームや部門の良いハウスキーピングの方法について書かれた章。ハウスキーピングは、整理整頓という意味で、部門内のコミュニケーションラインを整理整頓して、コミュニケーションを円滑に進める方法について書かれてる。機能横断型のチームはサイロ化(情報連携を行い状態)するので、ギルドという共通のゴールを持ったグループを作ることや、トーク文化を作り部門内で知見やプラックティスを共有する。過去に決まったことを共有できるようにするには、ADRを書くなどがよい。
読み返したいタイミング
- チーム、部門のコミュニケーションを見直したいと思ったとき
- 機能ベースのチームにギルドのグループを作りたくなったとき
- ライトニングトークをしたいとき
- ADRを作ろうと思ったとき
感想
やはりコミュニケーション大事.... この本全体的にコミュニケーションの話が多い。やはりコミュニケーションは大事....
15章 デュアルラダー
要約
マネージメント側とIC側でそれぞれのキャリアアップのフレームワークを作る章。列に役割、行にコンピテンシーが書かれた表にまとめられたもの。このフレームワークは、あくまでもキャリアアップのための手引きになるもので、この表を埋めていけば昇進する、というものではない。昇給が決まるというものでもない。あくまでも参考の1つ。重要なのは、キャリアに対する会話を低くすること。
読み返したいタイミング
- このフレームワークを使ってキャリアについて考えたいとき
- 評価面談の時
感想
キャリアトラックがどのように報酬を決定するか、キャリアアップフレームワークは主観的なもの?というトラブルシューティングについて書かれてる内容が面白かった。
16章 現代の職場環境
要約
ダイバーシティやリモートワーク、ワークライフバランスについて書かれた章。ダイバーシティやインクルージョンを向上させるために、1. 自分に偏見があることを忘れない、2. 正しくない振る舞いには声をあげる、3. インクルージョンを守れる方法を追求する、の3つの原則をカギになる。ワークライフバランスを守るのもマネージャーの仕事。
感想
自分に偏見があることは忘れないようにしようと思った。無自覚な偏見があるかもしれない。
17章 スタートアップ
要約
スタートアップとマネージメントについて書かれた章。スタートアップでマネージャーとして働く場合、マネージャー第一号になる可能性が高い。その場合、エンジニア担当VPと肩書きが与えられ、エンジニアリング組織を作ることに責任を負う。プロセス、採用、コミュニケーション、デリバリー、プロジェクトのリソースの優先度付、CTOをプロダクト作りに集中させる、などエンジニアリングマネージャーの役割をフルボリュームにした責務が発生する。スタートアップでもマネージャーは重要なポジション。
感想
マネージャーがいないとエンジニア組織が回らなくなる、みたいな状況の予兆がありそうだったら必要そうだ。どのタイミングで必要になるかという判断が難しそう。
18章 クリスタルボール
要約
自分の未来やキャリアについて考える章。10年前から今日までを振り返り、これから先の10年について考えたり、直近の数年先のプランを考えるといった、エキササイズの紹介。デュアルラダーのコンピテンシーについて自己評価したり、スキルのバックログを作成したりする。さらにこのエキササイズをスタッフと一緒に考える。
読み返したいタイミング
- 自分の将来について考えたくなったら
感想
こういう自分の未来についてちゃんと考える時間を作れてないから作れるようにしたい。最近だと評価制度を公開してる会社とかもあるのでそういうの参考にするのも良さそう。
全体感想
エンジニアリングマネージャーが何する人かよく分かってなかったが、この本を読んで解像度が上がって、エンジニアリング組織を作る人だと分かった。コミュニケーション、採用、評価、委譲、働く環境、チーム作りなどを整える役割を持つ重要なポジション。この本は、エンジニアリングマネージャーになりたい人や新人エンジニアリングマネージャー向けの本だが、エンジニアリングマネージャーではなくても、エンジニア組織に興味があったり、エンジニアリングマネージャーと一緒に働く人がエンジニアリングマネージャーの仕事を理解するために読んだりしても面白いと思う。とても参考になる情報が多くて良い本だった。
この本読んだあとにEM関連の記事読むとおもしろい